正規雇用とは、労働に関する言葉である。
概要
定義
雇用期間の定めをせずに使用者が労働者を直接雇用してフルタイムで労働に従事させつつ必要に応じて残業や業務内容の変更や勤務地の変更を依頼することを正規雇用という。
直接雇用とは、業務に関する指揮命令をする者と賃金の支払いをする者が同一の存在である雇用形態のことをいう。
フルタイムの最も典型的な例は1日8時間で週5日勤務といったものである。
正社員
正規雇用の会社員を正社員と呼ぶ。
法律で定められた呼称ではない
正規雇用という言葉は法律で定められておらず、労働行政を担当する官公庁や企業の間で慣習的に使われて定着した言葉である。
労働基準法などの労働法では正規雇用労働者も非正規雇用労働者もすべて一括で労働者と扱われる。
長所
正規雇用は、非正規雇用にくらべて賃金や福利厚生に恵まれていて待遇が良い傾向にある。
正規雇用は、雇用期間や労働時間が長いため、雇用保険や社会保険に加入することができる。
また、正規雇用は解雇規制で守られるので、収入の安定性が高く、自動車ローンや住宅ローンを組みやすく、銀行からの融資を受けやすい。
また、正規雇用は解雇規制で守られるので、「使用者に嫌われると解雇されてしまうかもしれない」と考えずに済み、使用者に対して平静な気分でいることが容易である。そのため「仕事に利益をもたらすかどうかよりも使用者に好かれるかどうかの方が重要だ」と考えずに済み、仕事に利益をもたらすかどうかについて集中することができ、職務専念義務を果たしやすく、企業の生産性や国家の労働生産性Y/L(実質GDPを労働量で割った数値)を高める存在になる。
また、正規雇用は解雇規制で守られるので、気骨ある労働者になりやすく、必要に応じて使用者に意見を具申することができ、上意下達(トップダウン)の組織だけではなく下意上達(ボトムアップ)の組織も作り上げることができ、組織内の情報流通の促進をもたらしやすくなる。
短所
正規雇用は、非正規雇用にくらべて責任が重くなりがちで自由が少なくなりがちである。残業を依頼されやすく長時間労働になりやすいし、不得意な分野の業務への配属を命じられる可能性もあるし、見知らぬ土地への転勤を命じられる可能性もある。
戦闘的な労働組合が存在する企業なら正規雇用労働者の負担が軽減される可能性があるが、御用組合だけが存在する企業や労働組合が存在しない企業では正規雇用労働者の負担が重いままになりやすい。
正規雇用は、解雇規制に守られるので、景気の調整弁にすることが困難である。正規雇用が一般的な社会になれば、好景気の時に雇用を拡大して収益を増やしすことが難しくなり、不景気のときに雇用を縮小させて費用を削減することが難しくなり、企業が税引後当期純利益を増やしにくくなり、使用者(株主)の利益を高めにくくなり、株主資本主義(株主至上主義)を実現しにくくなる。
多様な正社員
働き方改革の一環として生まれる
2016年頃から日本政府は働き方改革を目指すようになった。その一環として厚生労働省は「多様な正社員」という概念を定義し、従来の正社員から離れた働き方を肯定するようになった[1]。
多様な正社員とは、短時間正社員と職務限定正社員と勤務地限定正社員とに分けられる。
短時間正社員
親などの介護で忙しい人は、短時間正社員を選択することでプライベートの時間を作り出すことができる。
職務限定正社員
職務限定正社員とは、担当職務が限定されている正社員のことをいう。
不得意な分野の業務への配属を命じられる可能性が全く存在しない。
勤務地限定正社員
勤務地限定正社員とは、勤務地が限定されている正社員のことをいう。
見知らぬ土地への転勤を命じられる可能性が全く存在しない。
関連項目
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
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