母の国使命完遂決断式とは、1998年1月に行われた世界平和統一家庭連合(統一教会)の内部行事である。
概要
1998年1月に埼玉県で開催された統一教会の内部行事であり、教団の宣教師が献金の重要性を熱く訴えたことで知られる。
このうち「ハッキリ」を連呼する宣教師はハッキリ宣教師としてニコ動ユーザーに認知されている(タグ検索→ハッキリ宣教師
)。日本語の言葉遣いがややたどたどしく、音声で聞くとイントネーションも少し特徴的である。この人物については本記事の末尾で改めて紹介する。
わたくしが持っているこの所有が、天のものであるか、サタンのものであるか、それをはっきり知らなければなりません。天のものとして分別しておかなければなりません。ですから所有権を転換しなければなりません。所有観念をはっきり、はっきり、はっきり悟らなければなりません。
(※「わたくしが持っている」は本来なら「自分が持っている」と表現すべきであろう。「所有」とは財産を指す)
天の側に立つことができないならば、わたくしの先祖のすべてを殺す立場になる。わたくしの後孫たちをすべてを殺してしまう立場になります
(※「わたくしの先祖」や「わたくしの後孫」は本来なら「自分の先祖」「自分の後孫」と表現すべきであろう。「あなたが統一教会に献金しないと、霊界に存在するあなたの先祖が苦しみ、あなたの子孫が苦しむ」と主張している)
今日この時間この誓約書にすべてを書いて 自分の夫の名前 妻の名前 電話番号 所属 そいで自分の所有権の内容、これは自分の名前、名前である、もう自動車から家、ビルディング、そして田んぼ、畑、もうすべてのものを全部書きなさい、わかりました?
(信者たち:「はい」)
わかりました?
(信者たち:「はい」)
大きく答えてください、わかりました?
(信者たち:「はーい!」)
(※信者の全財産を目標としている教団の姿勢が浮き彫りとなっている)
われらゆくんだ~ みむねみち~
(信者たち:わ~れ~らゆくんだ みむねみち~)
ハレルヤ~!
(※教団歌「み旨の応援歌」を仲良く歌っている。歯を締めろは「母の使命を」の空耳。ハレルヤやアーメンは一般のキリスト教でも使う言葉で、それぞれ「主を褒め称えよ」「その通りです」の意味)
2022年夏の追加情報
2022年7月8日に安倍晋三射殺事件が発生し、統一教会に関する報道が行われるようになり、そのさなかにTBSが新たな事実を報道した(記事
)。
本来のイベントの進行は、ハッキリ宣教師と信者が一緒に「み旨の応援歌」を歌って会場の雰囲気を盛り上げてから、ハッキリ宣教師が「今日この時間この誓約書にすべてを書いて・・・」と誓約書への記入を求めるという順番だったようである。
大変な父の国を救うために、特別、精誠のこもった献金を捧げることになりました。自分の土地を売ってでも父の国を助ける、その者は神の国において福を受ける者となるであろう
(※ハッキリ宣教師が感極まってすすり泣きながら絞り出すように語っている。統一教会の教義内で、韓国は「父の国」「アダム国」、日本は「母の国」「エバ国」と呼ばれる。また、1998年1月の韓国は前年に発生した通貨危機の影響が大いに残っていて大不況に陥っていた。すなわちこの発言が行われていた会合「母の国使命完遂決断式」の名称が掲げる「母の国の使命」とは、大不況の韓国を救うために日本の信者が献金を捧げることであった)
今月25日まで1家庭1万2000ドル(約160万円)、この特別精誠献金をきょうから勝利しないと、明日埼玉4800、いま現在本当に恥ずかしい、その結果(献金額)の内容があります。きょう集まった皆さん、自分が持っているすべてを書いて天の前、祭壇に供えて
(※この「1家庭1万2000ドル」というものは献金のノルマのようなものであったとされる。1998年1月は平均して1ドル130円なので(資料
)、それから計算すると156万円になる)
動画の提供者と教団の反応
これらの発言が記録された映像は、「あまりにひどい」と感じた当時の信者が隠し撮りして、全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士のもとに持ち込んだものである(動画1
、動画2
)。
世界平和統一家庭連合は、2022年7月20日に、この映像について取材したTBSに対して「いきすぎた指導だったと認識しています。いまはそのような集会・献金はおこなっておりません」とコメントしている(記事
)。
ハッキリ宣教師
ハッキリ宣教師の本名は金明運(キム・ミョンウン 김명운)とされている。
1998年1月の当時は埼玉教区長だったようである。1999年から数年間は第7教区(兵庫・鳥取・岡山)の教区長を務めていたとされる(記事
)。つまり日本統一教会の幹部だった。
そのあと、金明運は日本統一教会を辞めて家庭平和協会(Family Peace Association:FPA)に入ったとされる。家庭平和協会は文鮮明の三男である文顕進(文顯進)が統一教会から独立して設立した宗教団体である。
2023年10月14日には家庭平和協会の下部組織である「統一を実践する人々」に所属し、韓国忠清南道の天安市で開催された「2023コリアンドリーム忠南 統一実践フェスタ(2023 코리안드림 충남통일실천 페스타 행사)」の実行委員長を務めている(記事
)。このイベントは朝鮮半島の2国家を統一させようとする運動の1つである。
金明運はYoutubeに天馬TV(천마TV)
というチャンネルを開設しており、様々な動画をアップロードしている。
関連動画
関連項目
- 世界平和統一家庭連合(統一教会)
- み旨の応援歌 - ハッキリ宣教師が熱唱している教団歌
- エバ国家
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