概要
北陸本線の特急「雷鳥・スーパー雷鳥」の485系の置き換え用として設計・製造された。なお、民営化後のJR製特急車両としてはJR西日本が最後発となっている(最初はJR九州の783系)。
最後発となったものの、後のJR西日本特急形電車の標準仕様を意識して計画され3両編成の組成が可能な1M2Tが0.5Mシステム登場まで一貫して採用された。一方、後述する高速仕様は683系以降は準備工事に留めるなどしている。また、当時のJR西日本の車両は1M2Tシステムで共通化しているため、285系とは編成内混結が可能となっている。
2010年代以降に登場した287系や273系なども681系で採用された仕様を踏襲している。
日本の交直流車両としては初めてVVVFインバータ(GTO)を採用した車両でもある。
車体には普通鋼が使用されているが、後にコストダウンと高調波問題の関係でマイナーチェンジした683系へと移行すると、車体はアルミダブルスキン構造へと変更された。なお、普通鋼を採用したのは特急車両の格を意識した塗装の都合でもある。
最高速度は130km/hである。元はくたか用のW編成及び元北越急行所有の2000番台は160km/hであった。高速運転を視野に入れて開発されたため低重心化が徹底されており、曲線運行速度も初期振り子車両の381系に匹敵する本則+20km/h(半径600m以上)を達成している(半径600未満で+15、半径700以上で+25)。
なお、160km/h運転を視野に入れたのは「スーパー特急」計画が北陸にあり、それに対応する為でもあった。だが結局はフル規格で北陸新幹線の建設が進められる事となった為、力を持て余している状態でもある。
2015年3月14日のダイヤ改正に合わせて全編成の方転が行われている。
2024年春の北陸新幹線敦賀延伸開業でサンダーバード・しらさぎに余剰車が出て廃車も発生している。疎開留置中の車両もあり今後の動向が気になるところ。
各番台概要
先行試作車(→1000番台)
1992年7月に1編成が投入され、臨時「雷鳥」として導入された。当初は9両固定編成であったが、2001年の先頭車改造で量産車同様に6+3編成となった。この際、6号車と7号車は先頭車改造によりサハからクハに変更され、1500番台が付与された。
編成番号は金沢所属時代がU01(9両編成)→T07(6両編成)+T18(3両編成)、京都転属後はW01(6両編成)+V01(3両編成)となっていた。
2015年2月以降に、「しらさぎ」編成仕様の帯が追加され、その後「THUNDERBIRD」のロゴが塗りつぶされた。2015年3月14日のダイヤ改正からは、同年6月頃まで金沢所属車と共通運用で、「しらさぎ」の運用に就いていた。その後、元北越急行所有車の塗装変更が終了したため、2015年7月に京都に返却。W01編成は、「サンダーバード」色へ再度変更の上、京都所属の683系0番台と共通運用で「サンダーバード」運用に復帰した。一方、V01編成は「しらさぎ」の運用から外れた後も塗装変更されず、運用に復帰することなく同年9月9日に681系初の廃車となった。W01編成も2019年に廃車となった。
当初は「WEST EXPRESS 銀河」の種車として使用する案もデザイナー側にはあったが、JR側の意向で使用されることなく廃車となった。
- 編成図(登場時)
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 クハ680 モハ681
-100サハ680 サハ681
-100モハ681 サハ680
-200モハ681
-200サハ680
-100クロ680 - 編成図(量産化改造・方向転換)
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 クロ681
-1000サハ680
-1100モハ681
-1200サハ680
-1200モハ681
-1100サハ681
-1100サハ680
-1000モハ681
-1100クハ680
-1000 - 編成図(6+3改造)
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 クロ681
-1000サハ680
-1100モハ681
-1050サハ680
-1300モハ681
-1100クハ681
-1500クハ680
-1500モハ681
-1300クハ680
-1200 - 編成図(北陸新幹線金沢開業後)
6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車 クハ681
-1500モハ681
-1100サハ680
-1300モハ681
-1050サハ680
-1100クロ681
-1000
0番台
先行車の1000番台のフィードバックを受けて関空アクセス用の281系を挟む形で製造。1995年に登場し、同年4月のダイヤ改正(阪神・淡路大震災により3月から延期されていた)より特急「スーパー雷鳥サンダーバード」として営業運転を開始した。基本編成6両+付属編成3両の形態を採る。また1997年には特急「はくたか」としても営業運転を開始している。なお、「サンダーバード」用編成は683系0番台導入時に、元「はくたか」編成は「しらさぎ」運用開始前後に、683系と車内設備の仕様を合わせる編成の組み換え、改造が行われた。
当時、「サンダーバード」編成と「はくたか」編成では一部仕様が異った為、「サンダーバード」編成は「はくたか」運用には気密性の関係で就けなかった。この為旧T04-06・T14・16・17編成をW03-05・13-15編成とする際には気密性を高める改造が行われている。
2014年8月20日に京都から金沢に9両(W06+W16)が再転属し、元はくたか・サンダーバード編成の大半には2015年2月以降に「しらさぎ」へ転用を見越し、「しらさぎ」編成仕様の帯が追加された。
しらさぎ化された元はくたか編成は帯追加の他にも「White Wing」のロゴが覆われている状態で、サンダーバード編成は「THUNDERBIRD」のロゴを残した状態で、ダイヤ改正前の「はくたか」・「サンダーバード」等の運用に就いていた。そして、ダイヤ改正直前に「しらさぎ」編成化されたすべての編成のロゴが塗りつぶされ、ダイヤ改正以降は主に「しらさぎ」の運用(+間合いで「ホームライナー大垣」運用)に就いている。
同時に「サンダーバード」運用から「しらさぎ」に転用されたW12・13、V12編成が、金沢に再転属し、W07・08、W17編成となった。
ダイヤ改正後の2015年3月14日から同年6月頃までは、青帯を纏っている681系はT11編成とW16→T12編成(当時、現V12編成)の2編成にまで減少した。
W14編成は、同ダイヤ改正直後、「しらさぎ」塗装で「しらさぎ」の運用に入っていたが、T13編成として「サンダーバード」塗装に変更の上転用された。その後W17→T14編成と入れ替わりでW14編成に戻り、「しらさぎ」運用に復帰した。
T14編成はW17編成として「しらさぎ」運用に就いていたが、先述の通りT13→W14編成と入れ替わる形で「サンダーバード」運用に復帰した。
2015年のダイヤ改正以降、唯一の京都所属の0番台となったV11編成は一時期、先述の1000番台W01編成と共に「しらさぎ」塗装に変更され、「しらさぎ」運用に就いていた。
2019年にかつてV13編成として配置されていたT12編成がV12編成として再々転属、復帰している。
現在、T11・T14・V11編成にはリニューアル工事が施工されており、681系で原色の「サンダーバード」塗装を保つのは、京都所属のV12編成のみである(ただし「THUNDERBIRD」のロゴは残っていないため正確には原色ではない)。
「サンダーバード」編成は金沢所属編成はT編成(TはTHUNDERBIRD)、京都所属編成はV編成を、「しらさぎ」編成は「はくたか」編成時代のW編成(WはWhite Wing)をそのまま名乗っている。
なお、先述の通り、転属や他列車への転用が多数行われたため、編成番号と先頭車の車番の末尾が一致している編成はT11編成の1編成のみであった。
2023年3月18日に「サンダーバード」用のT11・T14編成は北陸新幹線敦賀開業に備え683系4000番台とともに京都に転属。0番台は「しらさぎ」用のみが金沢に残存していた。
2024年3月16日のダイヤ改正以降も引き続き「しらさぎ」運用に入る一方、七尾線運用(能登かがり火)からは撤退し全編成が京都へ転属。転属に伴い編成番号も変更された。
このダイヤ改正に先立って2024年3月14日にW08編成が運用を離脱し吹田へ廃車回送。3月17日の吹田総合車両所撮影ツアー展示後に廃車(なお、W08は2024年1月1日に七尾線で地震によりパンタ損傷を受けた編成である)。同様にW05編成が京都転属に際して廃車前提のW91編成となり、その後吹田へ廃車回送された。
他にW12編成が3月11日に向日町へ回送されて車両転削を受けたのち、近キトV44編成となって3月15日に運用に復帰した。
一部の付属編成はダイヤ改正以後は運用を外れて疎開留置されている(金沢からの転属車は野洲、京都車は宮原に疎開)。このうち、サンダーバード向けリニューアルを受けずに旧塗装のままであったV12編成は7月29日に向日町から吹田へ廃車回送され、V15編成も8月22日に廃車回送された。以後付属編成はリニューアル車及びV41編成以外は疎開留置されているが、経年から錆が目立つ車両が多い。
2024年12月に「しらさぎ」運用が683系0番台化されたことに伴い681系6両編成は車齢が他より若く「らくラクびわこ」幕のあるW11・W12編成を除いて順次「サンダーバード・しらさぎ」予備車もしくは廃車となっており、W13・W14編成が宮原へ疎開回送、W15編成が吹田へ廃車回送されている。宮原疎開車のうち、0番台トップナンバーのW13編成は1月27日に吹田に廃車回送された。
一方、これに前後してW12編成が吹田を検査出場したほか、W11編成と共に防犯カメラが設置された。2025年1月6日以降は683系4000番台の代走としてW12編成+V41編成が一部「サンダーバード」運用にも充当されている(1月下旬に付属編成が一時的にV14に変更)が、W12編成の代走運用は3月2日にW11編成へ一時的に交代した。
京都転属による車番変更 | |||
基本編成 | 付属編成 | ||
W01→W11 | W11→V43 | ||
W02→W12 | W12→V44 | ||
W03→W15 | W13→V41 | ||
W04→W16 | W14→V42 | ||
W05→W91 | W15→V15 | ||
W06→W13 | |||
W07→W14 |
- 編成図(登場時)
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 クロ681
サハ680
モハ681
-200サハ680
-200サハ681
-200クモハ681
-500クハ680
-500モハ681 クハ681
2000番台
元北越急行所有。JR西日本のOEMであるが、JR西日本の許可を得て独自の塗装を行っていた。1997年の登場から2015年3月13日まで在来線特急時代の「はくたか」に使用されていた。
北越急行所有時代の愛称は「スノーラビットエクスプレス」(ちなみに、JR西日本所有車の愛称は「ホワイトウイング」)。
基本編成がN01・02編成、付属編成がN11・12編成を名乗っており、編成番号は683系8000番台と連続する形を採っている。
北陸新幹線開業後の2015年3月14日に683系を含んだ北越急行所有の全車がJR西日本に売却された。その後に「しらさぎ」塗装への変更がされ、現在は主に「しらさぎ」の運用に就いている。2024年3月16日以降も敦賀以南で0番台と共通運用が組まれ、3月14日にN11編成が金沢から回送された。
京都転属後はN01・N02編成がW21・W22編成に、N11・N12編成がV21・V22編成を名乗っている。
なお、V21編成はダイヤ改正以後は敦賀→野洲で疎開留置となっていたが、9月6日に京都へ返却回送され、9月9日に廃車回送された。
一方のV22編成も5月22日に向日町から宮原に疎開回送され、その後野洲へ移動。野洲から京都へ移動後9月6日に吹田へ廃車回送された。
6両編成は2024年12月時点では2編成とも残存していたが0番台同様に「しらさぎ」運用を外れており、網干総合車両所宮原支所に疎開留置。W22編成はその後2025年2月17日に吹田へ回送され、3月2日の吹田公開日に検査明けの683系A03編成と共に元北越急行所属車が並ぶ形で公開された。
配置状況(2025年3月時点)※青字はリニューアル編成
吹田総合車両所京都支所
基本編成 | 付属編成 | 充当列車 | |
0番台 | W11・W12 |
V11・V13・V14 | サンダーバード・しらさぎ・らくラクびわこ |
※V11編成は2月5日に吹田へ回送(検査入場or廃車については不明)。
運用離脱・疎開留置車
基本編成 | 付属編成 | |
0番台 | W14(宮原疎開) |
V42・V43・V44(向日町留置) |
2000番台 | W21(宮原疎開) | ――― |
車歴
- 0番台基本編成の車歴
1995.3.15 1997.3.14 2002.1.11 2009.8.20 2011.3.12 2015.3.15 2024.3
金沢T01~T06 T01~T06 T01~03、T06 T01~03 W01~05
W06~08(元W11~13)W01,W02 W01,02
W03,04(元T04,05)W01~04
W05(元T06)W01~05 京都 W11~13
(元T01~03)W11~16 - 参考:0番台付属編成(サンダーバード向け落成車)の車歴
T08編成→T11→V13
T09編成→T12→V12→W17→T14→V14
T10編成→T13→V13→W16→T12→V12
T11編成→T14→W13→V41
T12編成→T15→V11
T13編成→T16→W14→T13→W14→V42
T14編成→T17→W15→V15
※0番台付属編成(はくたか向けW11・W12)は2024年の京都転属まで金沢所属で編成番号変更はなかった(帯色変更のみ)。転属後は前述の通りW11→V43、W12→V44となっている。
廃車
編成 | 最終配置 |
V01編成(1000番台) | 吹田総合車両所京都支所(2015年9月9日付) |
W01編成(1000番台) | 吹田総合車両所京都支所(2019年) |
W08編成(0番台) | 金沢総合車両所運用検修センター(2024年) |
W91編成(0番台) | 吹田総合車両所京都支所(2024年3月29日) |
V12編成(0番台) | 吹田総合車両所京都支所(2024年7月29日回送、7月30日廃車) |
V15編成(0番台) | 吹田総合車両所京都支所(2024年8月22日回送、8月23日廃車) |
V22編成(2000番台) | 吹田総合車両所京都支所(2024年9月6日回送、9月10日廃車) |
V21編成(2000番台) | 吹田総合車両所京都支所(2024年9月9日回送・廃車) |
W15編成(0番台) | 吹田総合車両所京都支所(2024年12月1日回送・12月5日廃車) |
W16編成(0番台) | 吹田総合車両所京都支所(2025年1月7日回送) |
W13編成(0番台) | 吹田総合車両所京都支所(2025年1月27日回送) |
W22編成(2000番台) | 吹田総合車両所京都支所(2025年2月17日回送) |
お絵カキコ
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681系2000番台 スノーラビット |
関連動画
関連項目
- JR西日本/國鐵金澤
- 683系
- サンダーバード(列車)
- はくたか(列車)
- しらさぎ(特急)
- おはようエクスプレス・おやすみエクスプレス
- びわこエクスプレスらくラクびわこ(列車)
- ダイナスター(列車)
- 能登かがり火
- 新幹線鉄道規格新線
- 鉄道車両一覧
- 北陸新幹線
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