SCP-3004とは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト(SCiP)である。
概要
| SCP-3004 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| OC | Neutralized→Keter |
| 収容場所 | --- |
| 著者 | kinchtheknifeblade |
| 作成日 | 2017年4月16日 |
| タグ | 3000 k-クラスシナリオ 儀式 宗教 強制力 昆虫 有機体 種族 |
| リンク | SCP-3004![]() |
| SCPテンプレート | |
15世紀から17世紀までアイルランドにて活動していたドルイド系カルト教団『セトレイディ(歌い手たち)』の儀式と関連する一連の異常現象。絶滅種『Cicadetta luculenta (通称:ステンドグラスゼミ。以下もこの呼称で記載する)』のライフサイクルをテーマにしていた儀式[1]を彼等は行っていたとされるが、SCP-3004事象はその儀式中に顔面の開口部、つまり顔の穴という穴からステンドグラスゼミが現れるというものである。当然こんなことになれば窒息死するのだが、周りで儀式を行っている人たちは必要な犠牲(あるいは生贄)と見なし、特に違和感を覚えることもなく儀式を続行する。
この事象はSCP-3004-1とされる神格存在、あるいはレベル3ピスティファージ実体とされているなにかが我々の世界に入り込もうとした際に起きたものと推定されている。しかし財団の前身組織のいくつかが共同でSCP-3004に繋がるもの、つまりセトレイディやその儀式、ステンドグラスゼミの存在に至るまでを、いくつかのアノマリーを用いてまでも徹底的に撲滅に至らしめたため、SCP-3004は無力化された(Neutralized)とされた。といっても、このSCP-3004を無力化しようとした背景には単に財団の前身組織が異常存在を人々の目に触れさせまいとしたという活動理念以上に、この撲滅に関わった前身組織の多くがキリスト教と繋がりが深く、アイルランドの全国区で広まっていたセトレイディの文化と影響力をも一緒に撲滅したかったため、その理由付けとして『異常事象の根絶』がお題目となった、という点も否めないようだ。
信仰を喰らうもの
ところで、しれっと「ピスティファージ実体」と書いてみたものの、おそらく読者諸兄は「いや、ピスティファージ実体とは何なのか説明せよ」と思っただろう。ピスティファージ実体(Pistiphage Entity)とは、「信仰を喰らうもの」、すなわち自身の存在が人々の信仰に紐づく神格存在である。ニコニコ大百科を読み進める諸兄であれば、『東方Project』の神々に近い存在と思っていただければ理解も早いだろう。
上述の経緯でSCP-3004事象は起きなくなったと思われていたのだが、SCP-3004-1実体はセトレイディの信仰をごはんとしていたため、今度はキリスト教の信仰をごちそうになるようになった。とりわけイギリスの王立協会系のキリスト教や、ローマ・カトリック系のキリスト教の信仰はアイルランドのセトレイディの信仰となんだかんだで習合していた[2]こともありイギリスやアメリカのキリスト教の儀式では特に事象発生率は高いようだ。
SCP-3004事象も現代に起きるためにより詳しくどんな事象が起きるのか理解されていった。まず、非異常性の信徒、つまり普通のキリスト教徒たちが起こす、しかしてキリスト教の規範から思い切りズレた儀式、それがSCP-3004事象である。この事象に関与した人々は、それが自傷行為を伴っていても中断を強く躊躇い[3]、またこの儀式中に亡くなった人は、その死因によらず自然死とみなされる。内容は
- キリスト教の聖痕に対応する傷を子供に負わせつつ、司祭がその子供の頸動脈を噛みちぎって殺害。傷痕からSCP-3004-2が多数這い出してきた。
- 子供たちが司祭の歯を抜く。子供たちと司祭はSCP-3004-2を嘔吐。
- 思春期の全男性の去勢。陰嚢は信徒にスカラブリオ(衿飾り)として配布され、去勢された男性はセミの鳴き声を出しながら失血死。SCP-3004-2が捨てられている精巣を持ち出す。
- 妊娠した女性が大量のSCP-3004-2と、王冠をかぶった赤ちゃんを出産。むろん赤ちゃんは亡くなっている。
更に儀式を目撃した人たちは自分たちの信仰に新たな関心を示し、家族や友人を説得して教会に連れて行くようになる。
SCP-3004-2は先程のステンドグラスゼミに似ているが、木材とガラスで作られた「セミの形をした」なにかである。一応、「生きている」と見なしているようなので財団からは生命体扱いされている模様。セミはどこかのタイミングで消え去るが、財団はSCP-3004-2はSCP-3004-1への給餌を行ったり、SCP-3004-1の指示を聞いて動いていると見られている。もともとは前述のステンドグラスゼミがSCP-3004-1のエサ集めを行っていたが、財団の前身組織がステンドグラスゼミを絶滅に追い込んだため、かわりとなるSCP-3004-2を生み出したようだ。
財団はこのSCP-3004を撲滅するため、プロトコル・ダムナティオ・アド・ベスティアス[4]を制定。Thaumielオブジェクトと大規模記憶処理でキリスト教そのものを世界から根絶することでこのSCP-3004を今度こそ撲滅に追い込もうとしている。
余談
- ピスティファージ実体仲間として、SCP-1710-JP(『ショパン・ゴジラ』)が存在する。こちらもセミの神様である。SCP-3004はまだ世界に顕現していないが、SCP-1710-JPはポーランドにて顕現してしまった。この顕現によってヴェールは崩壊し、財団と世界オカルト連合は世界中の人々に『異常』の存在を認め、人類史は新たなスタートを切る、というのがカノンハブ『1998年』の設定である。
- ピスティファージ実体はSCP-JP(日本支部)ではそこそこ人気の設定だが、SCP-ENではSCP-6777(『バーチャルライバー一富士ばくぅ』)くらいしか類例が存在しない。SCP-3004はキリスト教の信仰をエサにするが、SCP-6777はYoutubeの登録者数を糧にしている。『推す』こともまた、一つの信仰なのかもしれない。
- イマーゴ(Imago)とは『成虫』の意味。もしかしたら、一度消えたかに見えたSCP-3004-1は新たなSCP-3004-1を産み、それが成虫になったのが今のSCP-3004-1なのかもしれない。
- 本オブジェクトは『SCP-3000コンテスト』参加作品である。
関連動画
まだありません
関連リンク
関連項目
- SCP Foundation
- ピスティファージ実体
脚注
- *一般的には、乳歯が初めて抜けた子供に対して、成人期に入ったと祝福するような儀式。
- *キリスト教がアイルランドに布教を試みた際、当初は撲滅ではなくセトレイディを傘下にしようと試みていたようである。
- *普段昆虫恐怖症を示す人であってもこの儀式に対して忌避感を示さない。
- *『Damnatio ad bestias』はローマ帝国において異端とされたキリスト教徒への死刑執行方法のこと。キリスト教徒はもはや人ではなく獣であるから、同じ獣に殺させようという意で動物に踏ませたり食わせたりすることで死刑を行っていた。
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