お客様のビジネスをダウンさせるには62分あれば十分です 単語

ハンコウセイメイ

2.4千文字の記事

お客様のビジネスをダウンさせるには62分あれば十分ですとは、クラウドストライク社の提供するセキュリティソフトを宣伝する際のキャッチコピーである。

概要

クラウドストライク社は、「CrowdStrike Falcon」というEDREndpoint Detection and Response、端末となるパソコンサーバーにおける不審な挙動を検知し、速な対応を支援する)機を備えたクラウドベースセキュリティー製品を販売している。

同社は2024年グロバル脅威レポートの調結果を2024年2月に発表し、サイバー攻撃ブレイクアウトタイムが前年の84分から62分へと短縮されたと報告していた。(なお、報告された中での最短時間は2分7だった)

ブレイクアウトタイムとは、攻撃者が最初の侵入を果たしてから、他の端末への攻撃を開始するまでの時間のこと。ネットワーク内の他の端末へ攻撃をばら撒かれる事態は「ラテラルムーブメント(展開・横展開)」と呼ばれており、この段階に入ると対処が非常に困難になり被害は大きく広がってしまうとされる。

ブレイクアウトタイム内にサイバー攻撃を検知して速に対処できなければ、攻撃者はビジネスを容易にダウンできるからが社の製品で対策しましょう」という意味合いである。この事件の前ではあるが、ニコニコも数時間もかからずにデータ削除され、ニコニコミュニティは失われた。

これだけならば何の変哲もないキャッチコピーで済んだのだが、後述する大規模システム障害事件の発生により、大きな注を浴びることになる。

システム障害の発生

  1. 2024年7月19日クラウドストライク社が誤ってバグの含まれたFalconパッチを配布。
  2. 世界中の推定850万台のWindowsマシンがこのパッチを適用した結果、BSoDブルースクリーンオブデス)のループに陥り、世界規模のシステム障害が発生。
  3. クラウドストライク社およびマイクロソフト社は、問題が発生してから3日後の7月22日に正式な対処方法を発表。システム障害7月25日時点で約97、同7月29日時点で約99が復旧したと報告された。

クラウドストライクCEO、世界的障害は「サイバー攻撃」ではないexit

結果として、クラウドストライク社は「お客様のビジネスダウンさせるには62分もいらない」ことを自身の手で明してしまい、トップページに記載されていた上記のキャッチコピーも「クラウドストライク社の犯行明」などと揶揄されることになってしまった。

システム障害の影響範囲

多くの企業や組織がクラウドストライク社のソフトウェアを使用していたため、世界中で大規模な混乱が発生した。

航空輸送

銀行

医療

メディア

政府

日本での影響

影響を受けなかった地域・企業

余談

この事件でを受けた航空会社をに、サウスウエスト航空は一切の被害を受けなかった。この理由はWindows 3.1Windows 95が現役で稼働していたからである、すなわち「CrowdStrikeインストールできるようなPCで基幹システムが動いていなかったから」である。

なお、クラウドストライク社はグロバル脅威レポートの内容自体には問題なかったと考えているようで、システム障害事件の後も同社サイト内では「ブレイクアウトタイム62分」という表現は普通に使われ続けている。

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