きさらぎ駅とは、ネット上のオカルト系都市伝説(いわゆるネットロア)に登場する駅である。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」(現在の「5ちゃんねる」)の「オカルト板」に、2004年に投稿された一連の書き込みが元になっている。
この「オカルト板」に存在したスレッド(掲示板)「身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ26」に2004年1月8日の夜23時14分に投稿された、レス(書き込み)番号98から始まった。
この書き込み主(レス番号137からは「はすみ ◆KkRQjKFCDs」というハンドルネームおよびトリップを使用)がまず書きこんだ内容は、「いつも通勤に使っている電車のつもりで某私鉄の電車に乗っていたのだが、いつもは長くて7・8分で駅に停まるのに、20分間ずっと駅に停まらず走り続けている」という携帯電話からの相談書き込みだった。他の乗客はみんな眠っていて声をかけづらいという。
「はすみ」氏が現状の説明書き込みをしているうちに、電車はトンネルを抜けてからスピードを落として0時25分ごろに「きさらぎ駅」に停まった。「はすみ」氏は迷ったもののその駅で降りてしまう。その駅は無人駅で、時刻表も前後の駅を示す表示も無かった。その内、電車は「はすみ」氏だけを「きさらぎ駅」に残して発車してしまった。「はすみ」氏はしかたなく一人で駅の外に出るが、草原や山が見えているだけで本当に何も無いところだった。
家族に電話して迎えに来てもらおうとするが、家族も「きさらぎ駅」の場所がわからないため迎えに来られない。iモード(当時ドコモの携帯電話で利用できたインターネット接続サービス)でタウン情報を調べようとしてもエラーが出たという(当時のiモードでは、GPSでの測位情報に対応して現在地の周囲のタウン情報を提供するサイトを閲覧することができた)。家族からの勧めで110番に電話してみたが、いたずらと見なされて叱られて終わった。
線路沿いに歩いて帰ろうとするも、遠くから太鼓を鳴らすような音や鈴のような音が聞こえてきて徐々に近づいてきたり、片足だけの老爺が見えたが消えてしまったりと、不気味な事が起き始める。1時間半ほど歩いたところで線路は「伊佐貫トンネル」に続いていた。後ろから近づく音におびえた「はすみ」氏はそのトンネルに入ることにする。
トンネルを抜けると、誰かが立っていた。親切な人で、車で近くの駅まで送ってくれるのだという。だが、「ここは比奈だ」と、はすみ氏曰く「絶対にありえない」ことを言われる。さらに、車はどんどん山の方に入っていき、その人も全く話してくれなくなったうえに意味不明な独り言をつぶやき始めた。
携帯電話のバッテリーがもう切れかけている、様子が変なので隙を見て逃げようと思う……という書き込みを最後に、「はすみ」氏の書き込みは途絶えた。
基本的には創作怪談系の話だと見なされている。「はすみ」氏の書き込みには矛盾点もある。「11時40分の電車に乗ったと思う」と語っているが、最初の書き込みがまだ夜11時14分である点が挙げられる。
また、「新浜松からの乗車」と書き込まれていることから、乗車した電車は遠州鉄道である。しかし、遠州鉄道の駅間距離はおおむね1~2km程度で、「長くても7~8分」ほど走り続けることは無い。
また、「快速列車?」「特急か各停の間違いじゃないの?」という書き込みに対し、はすみ氏が「ご指摘の通り、乗り間違えた可能性もある」と言っている。しかし、遠州鉄道は全列車が新浜松駅から終点の西鹿島駅まで各駅停車で運行される。そのため、日常的に使っていれば「乗り間違え」に思い至ることはほぼ無い。このように、一部の地元民や鉄道ファンからは(無粋かもしれないが)ツッコミを入れられている。
なお、「さぎの宮駅」が名前の元とする説もある。こちらは遠州鉄道に実在する駅で、住宅街と水田に囲まれた、のどかな郊外の駅である。窓口があり、20時30分までであれば駅員もいる。
また、「比奈」は同じ静岡県内の岳南鉄道(富士市)に実在する駅名である。浜松からは距離がかなりあるため、はすみ氏の言う通り「絶対にありえない」場所である。トンネルの「伊佐貫」は地名としては無いものの、浜松市内には「伊佐見」、静岡市清水区には「伊佐布」という名前の地区は存在する。
他にも、テレビ番組『何だコレ!?ミステリー』では、現在の磐田市にあった、廃線となった光明電気鉄道の「匂坂(さぎさか)駅」や、同線を転用した区間にある天竜浜名湖鉄道の「伊折トンネル」が言及された。「笛と太鼓の音」から周辺地域で行われている「遠州大念仏」も紹介されている。
遠州鉄道側もきさらぎ駅とコラボする動きを見せており、後述する「裏世界ピクニック」に広告がジャックされたりもしている。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/sbs_shinya/status/1261620205752483842
書き込みが続いている当日から「ネタだ」と指摘している人もいた。ただし創作だとしても掲示板でリアルタイムで書きこまれた不気味な雰囲気の話として優れた部類に入るものであったし、スレッドの趣旨からして当日「ネタだ」と指摘していた人は無粋ものとして扱われていた。
その後も様々な場所でこの「きさらぎ駅」について語られていった。「きさらぎ駅に降りてしまった」と語る派生的な投稿も複数なされたが、それらの出来は玉石混交であったようだ。
さらには、複数のオカルト系の創作作品などで題材として使用されるようになった(『裏世界ピクニック』『怪異症候群3』など)。中には台湾や香港など、海外の作品もある。また複数言語版のWikipediaに「きさらぎ駅」の記事が作成された。このように、「きさらぎ駅」は徐々に「有名な都市伝説」となっていった。
物語の舞台となった鉄道会社が「遠州鉄道」だったことに加えさぎの宮がモデルだという話も出てきた為か近年では遠州鉄道でのコラボが行われ、2022年では遠州鉄道協力の元「きさらぎ駅」という映画も収録された。こちらは遠州鉄道の他、ワープ先?のきさらぎ駅では上田電鉄、その後のシーンで碓氷峠鉄道文化むらも撮影に協力している。B級映画っぽさもあるがアマプラなどで見ていただけると幸いである。
掲示板
98 ななしのよっしん
2024/01/30(火) 12:07:22 ID: X8gsA+bBAl
映画版きさらぎ駅はあのCGでも結構面白かったからありだと思うけどなぁ・・・怖さと言うか後半ギャグに振り切ってるからあれでいい感じだと思う
99 ななしのよっしん
2024/05/25(土) 15:28:15 ID: tR9M/qQjjh
「きさらぎ駅はあるぞ」って、「クリスマスになったらサンタさんがプレゼントを届けに来てくれるよ」レベルでフィクションだとバレバレだから、正直聞いても全く怖くはない。
100 ななしのよっしん
2024/05/25(土) 15:36:54 ID: tR9M/qQjjh
元ネタは、静岡県浜松市にある「さぎの宮駅」らしい。
きさらぎ駅のグッズが売ってるそうなので、よかったら。
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最終更新:2024/11/09(土) 05:00
最終更新:2024/11/09(土) 05:00
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