アルツール・フォン・シュトライト 単語


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アルツールフォンシュトライト

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アルツール・フォン・シュトライトArthur von Streit)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。

CV.戸谷公次石黒監督OVA)、山内健嗣(Die Neue These

概要

銀河帝国軍人。「実な理性の人」と称され、才走ったところはないが篤実賢明な人物。

門閥貴族の領袖オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク公爵臣として仕えたが、リップシュタット戦役勃発時に公爵を離脱。戦役終結ののち、帝国の実権をにぎったラインハルト・フォン・ローエングラム元帥から知謀と見識をかわれて任用され、以後は終始その首席副官として側に仕える。

首席秘書ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ伯爵令嬢、次席副官テオドール・フォン・リュッケ親衛隊ギュンター・キスリング、従卒エミール・フォン・ゼッレら、3巻以降のラインハルトに随行して補佐する側近のなかの年長者務多忙なラインハルトの副官という重任を過不足なくこなす優秀な補佐役として重用された。

経歴

略歴
帝国486年
5月
クロプシュトック事件
オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク公爵の側近の士官
4月初頭 当時、准将リップシュタット戦役オーディン制圧ラインハルト営により拘禁されるも解放され隠棲
帝国489年初頭 ラインハルトのもとを来訪。首席副官・少将として任用される
3月17日 ガイエスブルク要塞ワープ実験に際し、ラインハルトに随行
7月7日 皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐事件を受け、未明に出勤
9月19日 最高戦略会議
“神々の黄昏”作戦へ参加決定
帝国490年2月 “神々の黄昏”作戦
ランテマリオ星域会戦
4月5月 バーミリオン星域会戦
帝国490年
帝国1年
6月
皇帝ラインハルト戴冠。
皇帝首席副官・中将
7月6日 キュンメル男爵邸行幸に随行。
キュンメル事件起こる
7月10日 御前会議に出席(地球兵決定)
帝国2年
1月
“大征”。
マル・アデッタ域会戦
4月5月 回廊の戦い
10月7日 新領土行幸に随行。
ウルヴァシー事件起こる
帝国3年
5月6月
帝国3年の征。
シヴァ星域の会戦
7月 皇帝ラインハルト危篤のち崩御。
ユリアン・ミンツ中尉らを訪問、皇宮への来訪をめる

ブラウンシュヴァイク麾下

時系列上では外伝1巻「を砕く者」にて、ブラウンシュヴァイクの側近として、クロプシュトック事件中の一件でウォルフガング・ミッターマイヤー少将を処刑しようとするを諌めた士官のなかに名が挙がっているのが初登場。

その後、本伝2巻「野望篇」のリップシュタット戦役勃発直前に、同様に准将として登場する(刊行上の初登場)。なお石黒監督OVAでは本伝中の時系列に移動されたクロプシュトック事件にて、ブラウンシュヴァイク邸の警備担当として初登場する。

勝算の薄い武力衝突を避け、巨大な犠牲をともなう内戦によってラインハルト(および帝国宰相リヒテンラークラウス)と雌雄を決するよりも、ラインハルトを暗殺して単直入にことを済ませるべきであると公爵に提言する。しかし、武力勝利による名誉と正当性に固執するブラウンシュヴァイクの意図にそぐわず却下され、さらに「勝てたとしても」という悲観的な表現を用いたことが勘気に触れてしまう。

直後にリップシュタット戦役の端緒となったオーディン制圧が発生すると、都を急遽脱出するブラウンシュヴァイクに忘れられ、おきざりにされる。結果ラインハルト営に捕らえられ、先の暗殺の提言をラインハルトの面前で追及されるも、なんら弁解せず必要な上申だったと述べ立てた潔さを賛美されて赦免された。

しかし、いちど捕まってから解放されたこと自体がむしろブラウンシュヴァイクの疑心を呼ぶことを恐れ、オーディンに留まり以後の戦役に与しないを選ぶこととなる。

ラインハルト麾下へ

彼の態度を買ったラインハルトからは、すでにこの時点で仕官の誘いを受けたものの、離反したとはいえ前日までの旧であるブラウンシュヴァイクを敵とすることまでは望まず、謝絶して自由の身となる。

その後は二度と世に出ないつもりで隠棲していたが、戦役終結後の3巻「雌篇」にて、ローエンラム独裁体制下での貴族財産収で困窮した族を助けるため、ラインハルトのもとに請願に訪れることとなった。

おりしも優秀な副官の欠如に悩んでいたラインハルトは、善処を約束する引き換えに改めてシュトライトに仕官をめ、少将の階級をあたえて自らの首席副官に任じた。この厚遇にシュトライトもラインハルトへの忠を誓い、以後、物語終了時まで一貫してラインハルトの首席副官を務めることとなる。

ラインハルトの首席副官として

その後、同巻のガイエスブルク要塞ワープ実験、4巻よりの“神々の黄昏”作戦などといったラインハルト行動にいずれも帯同し、総旗艦ブリュンヒルト>に乗り組む。5巻、バーミリオン星域会戦本戦では、ヤン艦隊の猛攻によって火の迫るブリュンヒルトからの脱出を独断で準備しラインハルトに提言したが、これは拒絶される結果となった。

ラインハルト登極後はそのまま皇帝首席副官(皇帝高級副官とも)にスライドし、中将に昇進。6巻のキュンメル事件、7巻~8巻の“大征”、9巻の新領土行幸、10巻のハイネセン征といった出来事においても随行する。新領土行幸中のウルヴァシー事件では、次席副官リュッケ少佐ともども偽報によって皇帝ラインハルトと引き離されるも、それと知って先行し<ブリュンヒルト>に合流している。

10巻、シヴァ星域の会戦では、皇帝不予の非常事態にあって大本営幕僚総監エルネスト・メックリンガー上級大将ともども戦闘中大本営を支える。また同巻のラインハルト崩御直前には、君の示でフェザーンベルンカステルホテルに逗留中のイゼルローン共和政府代表ユリアン・ミンツ中尉らのもとに使者としておもむき、危篤の皇帝ラインハルトが病するヴェルゼーデ仮皇宮まで招く役を担った。

人物

性格

沈着穏和、思慮深く賢明、そして破局を前にしても最善をつくす忠心の持ちバーミリオン会戦で旗艦脱出を進言した際に頑なにこばラインハルトの意志に一時逆らうことさえも承知で強引に<ブリュンヒルト>から脱出させようとしたように、君のため必要と考えれば、君自身のいっときの感情に反することもいとわない剛直さをもあわせもっている。

キュンメル事件の際には、ハインリッヒ・フォン・キュンメル男爵がゼッフル粒子の起爆スイッチを握るなかでも、随行員中の年長者としての落ち着きを見せて救援の到着まで時間をかせぐ方針を周囲に示し、キュンメル発させることのないよう皇帝ラインハルトを諌めようとすることもあった。

このように穏健篤実な年長者としての人格にスポットライトが当たることがもっぱらではあるが、犠牲を減らすためといえ敵将の暗殺を解決策としたり、その提言が容れられなかったことをゴールデンバウム王不幸と評するなどシビアな現実感覚も持ち合わせており、単に実な人物というにはとどまらない、ラインハルトに「知謀と見識」をめられただけのことはある悧さがうかがえる。

役割

ラインハルトまわりの事務や報告・命の取次を担う首席副官としてよく仕え、新王では軍人皇帝ラインハルト従武官的な役割を果たした。次席副官としてリュッケがいるものの、階級の差が大きく、実質的には副官シュトライトのさらに副官というべき立場であろうとされており、リュッケと両者合わせてかつてのジークフリード・キルヒアイスの役割を果たすものとみなされている。

沈着で実な人柄や年長者であること、物語上の役割からしてもラインハルト執事役」という雰囲気が強いが、実際にはラインハルトの私生活にまで関与している様子はない。皇帝日常生活を支える従長としてはウェンツェル・フォン・ハッセルバック男爵がいるが、こちらは出征などに随行する様子が見られず、近侍エミールがその役を担っていることもシュトライトの執事感を強めている。

その立場上、特に出征中にはラインハルトの様子をもっとも近くで見ているひとりでもあり、皇帝となったラインハルトがときおり病するようになると陛下気は、胃酸のようなものだ。溶かすものがなくなれば、を溶かしはじめる」とリュッケに述懐したことも。

本来の役割は上記した首席副官の職務であるが、登用時にラインハルトに「統帥本部の一員に名をつらねよ」と言われたように、時に必要な進言をなす参謀的な役割も期待されていたようである(かつての副官としてのキルヒアイスの役割を考えれば当然ともいえる)。“大征”中のマル・アデッタ域会戦前に、皇帝自ら同盟軍最後の戦力を相手取る必要はない、という常識的な進言を行う役を引き受けたのはその代表例といえるだろう。

こうした進言は軍事的なものにとどまらず、一度などはラインハルトに、独身君に臣下が遠慮してしまう点や「皇統の存続を安泰ならしめ」政策の継続性をたもつ必要性といった理由を挙げて結婚をすすめ、微妙にうるさがられたこともある(退出後にラインハルトが「解放感に浸った」)。皇子アレクサンデル・ジークフリードの誕生時、出征中のラインハルト名前を考えるよう進言したのも彼である。

ブラウンシュヴァイク公の部下として

ブラウンシュヴァイクの部下だった時期から忠臣として帝国貴族社会でも知られていたようで、ラインハルトの首席副官としての登用には、力面だけでなくシュトライトを要職で遇することによる政治的効果を期待した総参謀長パウル・フォン・オーベルシュタインからも賛同を受けている。

とはいえブラウンシュヴァイク麾下では同格のアンスバッハ准将行動立ち、シュトライトがどのような役割にあったのかは明らかでない。ただ、リップシュタット戦役ブラウンシュヴァイクの甥のフレーゲル男爵麾下にあったレオポルド・シューマッハと何らかの縁があったものか、ローエンラム成立後に推薦して帝国准将の地位を与えている。

銀英伝ファンからは、同じくブラウンシュヴァイクからの離反組ということで、彼の提言と類似の行動断で実行し捕らえられるや然と仕官を乞うたアントン・フェルナーの図太さと対照的に見られることも多い。なお、ブラウンシュヴァイク麾下当時から原作終了時まで、シュトライトとフェルナーのあいだには一切の接触が見られず、両者がどのような関係だったかはまったく不明(この点アンスバッハもほぼ同様で、要するに彼ら3人は同じ時期に同じようにブラウンシュヴァイクの臣下だった、という点を除いて実はなんら関係性が見えなかったりする)。

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