カーニー号事件とは、第二次世界大戦中の1941年10月17日に発生した事件である。
1939年9月より勃発した第二次世界大戦により、北海と大西洋はドイツ海軍vsイギリス海軍の戦場と化した。ドイツ海軍はUボートを放ってイギリス船団の撃滅を狙い、イギリス海軍はそれを阻止しようと様々な防衛策を採っていた。そんな中、中立国アメリカは1939年11月よりキャッシュ&キャリー法を採用。これは「どの交戦国にも平等に武器を売るが、武器の引き取りは自国の船で行う」という方式だった。しかし、実のところこれは制海権を持つイギリス海軍にしか得が無い不平等なものだった。もしドイツの商船が来れば、優勢なイギリス海軍に撃沈されるからである。また1940年7月には、ルーズベルト大統領がイギリスに対してあらゆる援助を行うと宣言。中立とは名ばかりの露骨な肩入れであった。更にアメリカは戦場となっている大西洋に艦隊を投入し、堂々とイギリス海軍に協力。Uボートを追跡したり、位置情報を通報するなどやりたい放題だった。国際法違反の肩入れにはアメリカ国内からも疑問の声が上がり、チャーチル首相も「中立精神の違反」と苦言を呈したが、狂気のルーズベルト大統領は止まらなかった。
中立を盾に暴走するアメリカだったが、対するドイツはアメリカ艦艇への攻撃を控えて終始紳士的な対応をしていた。しかし現場のUボートにとってアメリカ艦艇は非常に邪魔な存在なのは間違いなかった。そして1941年9月4日、米駆逐艦グリアがU-652を追い回した事がきっかけでUボート側が初めて怒りの反撃を行った(グリア号事件)。これに対しグリアも爆雷を投下して反撃したが、双方被害は無かった。ルーズベルト大統領はラジオ演説でグリア号事件を取り上げ、世論を反戦から参戦へ持っていこうとしたが失敗。そこでルーズベルト大統領はUボートを海賊認定し、攻撃ないし捕獲を大西洋艦隊に命令。より過激な挑発を行うようになった。
1941年10月、アメリカのグリーブス級駆逐艦カーニーはアイスランドのレイキャビクに停泊していた。10月15日、アイスランド南西部にてイギリスのSC-48船団がUボートの群狼戦法に襲われ、カナダ軍の護衛を圧倒しているとの情報が入り、僚艦3隻とともにレイキャビクを出撃。翌16日に現場へ到着すると、米駆逐艦群はUボートに対して爆雷攻撃を開始した。正式に参戦していない中立国が攻撃を加えるのは明確な国際法違反であり、この時点でアメリカ側に正義は無かった。爆雷投下は一晩中続き、Uボート側の行動を制限。10月17日午前4時15分、ついにブチ切れたU-568はカーニーに向けて4本の魚雷を発射。1分39秒後に1本がカーニーの右舷に命中し、船体に大穴が開いて大破。爆発で乗員11名が死亡し、22名が負傷(うち8名が重傷)した。前部機関室が浸水した他、全電源を一時喪失して午前4時42分まで遭難信号を発する事が出来なかった。乗員の手馴れたダメージコントロールによって応急修理が完了し、駆逐艦グリアの護衛を受けて退却。10ノットの速力でよろよろとレイキャビクに向かった。夕方には駆逐艦モンセンが護衛に加わり、10月19日にレイキャビクに入港した。
このカーニー号事件はグリア号事件に続く、二回目のUボートの反撃であった。ルーズベルト大統領は本事件も反独の材料にし、「正当な理由も無くドイツ潜水艦が駆逐艦カーニーを攻撃した」と演説。グリア号事件と同様に嘘をついて世論を参戦へと持っていこうとした。しかし海軍委員会やメディアの調査で嘘を暴かれて失敗。平和を愛する米国民たちは後に米駆逐艦ルーベン・ジェームズが撃沈された時でさえ反戦を貫いた。アメリカが、というよりルーズベルト大統領だけが狂気に駆られていた訳である。
ところが外国ではルーズベルト大統領の嘘を鵜呑みにし、「日本はドイツの違法攻撃を黙認した」と断定。枢軸陣営を危険視する動きが見られた。ちょうど事件の翌日である10月18日に近衛内閣から東條内閣へ交代した事もあり、イギリスのメディアは「政権交代は枢軸国の強い要望によるもの」と報道、証拠としてカーニー号事件を提示した。根も葉もない謎の噂が広がったが、日本は黙秘を貫いた。
10月30日、アメリカ海軍のノックス長官は「カーニーが被弾した時には既にドイツ潜水艦と積極的に交戦していた」と発表。大西洋において独米が宣戦布告無き戦争状態に入っていた事を明かした。対するヒトラー総統は直ちに「グリア号事件とカーニー号事件、この二つの事件によってドイツを攻撃した」とド正論を発表し、アメリカを非難した。ヒトラー総統は相当カッカしていたようで、約2ヵ月後にドイツが対米宣戦布告した際、カーニー号事件を口実にしている。
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最終更新:2025/12/08(月) 14:00
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