ズーブル級揚陸艦とは、ソビエトロシアが誇る世界最大のエアクッション揚陸艦である。
ソ連海軍の計画名は12322型エアクッション小型揚陸艦「ズーブル」。どこが小型だ
ズーブルとはヨーロッパバイソンのこと。NATO名はポモルニクであり、こちらはトウゾクカモメのことを指す。
通常、一般的にはホバークラフトとも呼ばれるエアクッション揚陸艇は、車両などをたっぷり積んだ母船から荷物を積んで上陸地点までを往復することを任務としており、決してそれ単体で運用されるものではない。
しかし、ズーブル級はそういった西側的運用思想とは全く違う艦艇である。ズーブル級の運用思想は
送り届けるために存在する。
まず単独で、というようにズーブル級は母船を必要としない。
ホバークラフトであるため燃費は普通の船より悪いので300海里(540km)程度の進出距離しか持たず[1]、海の荒れ模様にも普通の艦艇ほどには強くはない[2]、どちらかと言えば内海や近海向けの装備ではある。
しかしそれは他の特徴を得るために仕方ない欠点であり、その性能が単独で発揮できることが大事なのである。
積載量はエアクッション艇としては最大の150tを実現。
MBTなら3台、IFVなら8台(とその乗員80名)、歩兵だけなら360名積むことができる。
本格的な揚陸艦の積載量には劣るものの、それでも後述のスピードを考えれば驚異的な数字である。
スピードは驚異の最大63kt[3]を誇る。シーステート4(波高にして1.25~2.5mほど)であっても30ktの速力を出すことができる。ズーブル級よりはるかに小型なLCAC-1(最大70kt、最大積載量70t)よりやや劣る程度でこの速度と考えるとその凄さがわかるだろう。
この速度を達成すべく、浮上用のリフトファンに2基、推進用にダグデッドファン直結で3基の計5基のガスタービンエンジンを搭載している。
武装も充実しており、30mmCIWS×2、140mm22連装ロケットランチャー×2、4連装対空ミサイル×4と豊富であり、対艦ミサイルや航空機から自らを守りつつ、上陸前の露払いや上陸後の掩護もできるという全点豪華盛り仕様である。
運用としては空挺とあわせ味方主力が到達するまでの先遣隊としてより強力な戦力を投入したり、あるいは複数隻運用し敵の背後に機甲部隊を配置したりといった速度と積載量を生かした内容が考えられていた模様。
なおこのようにとんがった故に強力なズーブル級であるが、運用コストだけで4000tクラスのフリゲートとどっこいな上にガスタービンエンジンが曲者で手がかかるという、とてもお金のかかる仕様であったためウクライナでは全艦退役している。
当初ソ連海軍では20隻の購入を考えていたが経済危機によりその数は減少。計10隻が建造され、ソ連崩壊後は6隻がロシア、4隻がウクライナに引き渡された。
現在は前述のとおりのコストの高さもあり、ロシアでは2隻運用中、ウクライナでは全艦退役している。
また、旧ソ連の本国使用軍事技術バラ撒きの常習犯であるウクライナ[4]により中国との間に計4隻の本級の売却が決まっており、1番艦は2012年に引渡し、2番艦は建造中、残り2隻は中国にてライセンス生産される予定であるという。
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最終更新:2025/12/21(日) 12:00
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