ティームドラ大陸の神々 単語

ティームドラタイリクノカミガミ

3.2千文字の記事

この項では、ブライアンラムレイの創造した古代大陸ティームドラにおける神々を、月神グリース(Gleeth)を中心にして解説する。

作品世界の概要

始原の大陸ティームドラ(Theem'hdra)、あるいはティームドラ大陸[1]とは、ブライアンラムレイが創作した古代大陸で、ハイボリア[2]ハイパーリア[3]ムーアトランティス、ウスマル(Uthmal)[4]よりも古い「失われた世界」にあたる。
この大陸舞台にしたシリーズは『始原の大陸 (The Primal Land)』シリーズと題されている。
数字的に何年ほど昔に存在したのかは諸説ある上に全てが憶測で「わからない」というのが公式設定[5]あるいは「正確な数値は、ここでは重要ではない」[6]なのだそうだ。
普通ファンタジー系事物とクトゥルフ神話の諸存在が両方棲まう混沌とした地で、ラムレイの設定ではここが夜鬼の原産地ということになっている。
夜鬼の他にもティームドラから移住したものがいるため、ドリームランドにはティームドラの地の伝承が多少は伝わっている。

この地名の初出タイトルがいきなり『クトゥルーの館/クトゥルフの館/The House of Cthulhu[7]で、アーライ[8]を略奪しようとした愚か者が報いを受けるという話。他のクトゥルフ神話系神々はイブ=ツトゥルガタノトアムノムクァ等が有名。

これらの悪神に対し、以下に挙げるティームドラの地でのみ知られる神々は、氷の神々など一部の例外を除いてまともで慈悲深い存在とされている。

月神グリースの概要

『エンサイクロペディア・クトゥルフ』での表記はレース。編纂者のダニエルハームズ頭文字のGを発音しない。

『始原の大陸』ではグリースと呼ぶのは極めて一般的で、グリースの姿・本体イコールそのものと考えて間違いないだろう。ちなみにこの時代のはクレーターの数がだいぶ少ない[10]
神自体の別名は〈月神〉(God of The Moon または moon-god)で、それに〈古き〉(old)や〈ものが見えぬ〉(blind)といった接頭語がくっつく。稀に〈微笑む〉(smiling)[11]〈ものの聞こえぬ〉(deaf)なんてのも。

旧支配者ムノムクァグリースの関係については作中でも意見が分かれており、『幻夢の狂月/Mad Moon of Dreams』exit[12]でも登場人物の間で混乱を引き起こしていた。
魔道士の書/The Sorcerer's Book』[13]に登場する魔道士達は両者を同一視していたが、作中でのグリースのルーン(moon-rune)[14]は強力な守護の効果を持っていた。
対して、ハイパーリア月神レニクア [15]との関係はそもそも話題にされたことがない。

グリースを高神として信仰していたのはスム=イー(Suhm-yi)族だが、とある事情で男女一人ずつしか生き残っていない。
『スム=イー/Isles of the Suhm-Yi』[16]は、その生き残りの男性アミィル・アルン (Amyr Arn)がグリースへ祈願しようとする話。
この月神は「が聞こえぬ」という形容詞に反し、スム=イー神官に対しては普通コミュニケーションが取れるのだが、ともかくいつも寝ているうえに寝起きには飲み込みが極端に悪くなるのが玉に瑕。また、人間には根本的に興味がないようで、信仰者がある程度の数いなければコミュニケーションに応じないという問題も。アミィルと最初に会話した際はまるっきりコントだった。

『スム=イーの』と『シャドの妖術/Sorcery in Shad』[17]ではグリースの力であるテレポート系の魔術を見せてくれる。一見地味だが、天空からその「盲目の」眼であらゆる事物を「視る」ことができるので、物語上の使いどころは劇的かつ適切。詳細こそあまり明かされていないものの、起きているときの信仰者への活躍は確かである。
の狂』で邪悪ぶりを見せつけたムノムクァと同一神物とは思いにくいが相はいかに。

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関連項目

脚注

  1. *こちらは来健次の訳語
  2. *英雄コナン世界
  3. *クラーク・アシュトン・スミスギリシア神話のヒュペルボレイオスから名前を借りて作った古代世界
  4. *ラムレイ先生造語らしい。ティームドラ大陸について説明するときには、この地名を「みんな知ってるよね?」という口調でシレッと混ぜるのがお約束のようだ
  5. *『All Over クトゥルー』exitブライアンラムレイへのインタビューより
  6. *『旧神郷エリシア 邪神王クトゥルー煌臨!』exitより
  7. *1973年、未訳。啓氏のブログに粗筋が載っている:
    [クトゥルーの館 | 凡々ブログ]( 2015.02.01 )exit
  8. *Arlyeh。『エンサイクロペディア・クトゥルフ』での表記はアルイエ。ティームドラ大陸におけるルルイエで、大陸北東のに位置する
  9. *クフリッサの地名はラムレイの別作品『Khai of KhemKhai of Ancient Khem』(1981)でもちょろっと言及されている
  10. *シャドの妖術』の描写
  11. *クトゥルーの館』より
  12. *1987年、未訳。デイヴィッドヒーロー&放浪卿エルディンが活躍する『英雄シリーズ』のひとつ
  13. *1984年、未訳。啓氏のブログに粗筋あり:
    [魔道士の書 | 凡々ブログ]( 2015.02.02 )exit
  14. *現代の新語としてのmoonrunesは西欧人が東アジア系の文字して呼ぶ言葉
  15. *Leniqua。言及作品はクラーク・アシュトン・スミスの『三十九の飾帯盗み/The Theft of the Thirty-Nine Girdles』(1958)。『ヒュペルボレオス極北神怪譚』収録
  16. *1984年、未訳。
  17. *1991年、未訳
  18. *オーガスト・ダーレスアナグラム。『タイタス・クロウの事件簿』収録の『名数秘法/Name And Number』によれば、クロウは彼と一緒に働いたことがある
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