旧支配者、またはグレート・オールド・ワンズ(Great Old Ones)とは、
ラヴクラフトと友人たちによるクトゥルフ神話の源流に、リン・カーターの行った設定に関しては「クトゥルフ神話」を参照のこと。
ここでは、ダーレス以降の設定を元に旧支配者に関する概要を説明する。
ダーレスによって、そしてその後にリン・カーターによって取りまとめられたクトゥルフ神話の神々は、大別すると3つに分類できる。
旧支配者の歴史については、「旧神と呼ばれるクトゥルフ神話における善神に対して、旧神の創造した混沌たるアザトースとウボ=サスラ、そして彼らから生み出された邪神・旧支配者たちが叛乱を起こしたものの、旧支配者はその戦いに敗れ、旧神の手によって惑星や別次元に封印され様々な自由を奪われてしまった。しかし旧支配者は未だ復権を諦めておらず、いずれ来る帰還のときを待ち続けている」とする設定がある。
なお、神話内で創造主として設定されることが多いアザトースも、「旧神によって造られ、造反の際に知性を奪われたために眠りと貢物を貪る白痴の神となった」とする作家と、「旧神をも造った万物の創造主であり、元から知性などない」とする作家、「悪意を持つ創造主である」とする作家...といった形で設定が分かれている。例えば、ブライアン・ラムレイは「旧神が旧支配者を封印したものの、アザトースには何もしていない」としている。ちなみに、近年の作品では「旧神がアザトースをはじめとした旧支配者の創造主」という設定の採用率はやや低くなってきている。
以上のように、旧支配者の誕生経緯や設定に関しては作家間、作品間で大きく異なっている。
しかし、「旧神 対 旧支配者の対立」「旧支配者の封印と復活の待ち望み」という設定はかなりメジャーなものであり、細かい部分の違いこそあれど多くの作品で採用されている(もちろん、これが絶対の設定ではないため、この設定から外れた作品もある)。
また、旧支配者間での対立関係や主従関係もあり、一枚岩のカテゴリーではないとされている。
なお、古き者と異なり旧支配者という訳は原文の意から外れるものだが、この訳語は旧神に反した神々が、地球における先住権を持つ事からきている。
宇宙そのものを旧くは支配していたという意味ではなく、本来は地球外から訪れた「外なる神」と呼ぶ方が相応しいといえる。また、旧支配者には彼らの従者にあたる小神(下級のオールド・ワン)や、従属種族の長であるLesser Old Oneが含まれる場合がある(下級のオールド・ワンとLesser Old Oneは文字上の違いはないが、文脈によって示すものが上記のように異なってくるため、一般的に日本語訳の際には区別されている)。
基本的には人間のことなど歯牙にもかけないほどの権能を持つが、作中で人間に割とあっけなく撃退されたり、神にしては残念な扱いを受けたりすることもある。また、人間の理解や理性、倫理や道徳を超えた未知の存在であり、宇宙の本質的な恐るべき側面を現した存在であるように描写されることが多い。
見た目に関しては一概に言えないものの、触手を持っていたり、虫や蛇、軟体生物のような見た目をしていたりする存在が多い傾向がみられる。
一般的に旧支配者が直接的な行動を取ることはないのだが、旧支配者の使者とされるナイアルラトホテップは自由を許され、ヨグ=ソトースやシュブ=ニグラスは人間や眷属の招請に応じてホイホイ現れては子作りしている。
クトゥルフに至っては地球に幽閉されているのだが、その活動を縛っているのは星辰の活動とクトゥルフ自身が身を守るために施した呪法に過ぎず、棲家たるルルイエが浮上する度に短時間とはいえ人類は滅亡の危機に晒されていることになる。
作家によっては旧支配者を地水火風を象徴する神性に区分する者もおり、その区分の代表的存在もしくは首領として以下の4体が挙げられる。
しかし、彼らがその属性内で最も強大であるかは定かではない(注釈の通り、作家・作品間で地のカテゴリーを中心に神性の属性の分類揺れが多く、またそもそもカテゴリーがはっきりしない神格も多いため。とはいえ、彼らが属性内でも特筆すべき権能を持つ存在であることは間違いない)。
では、何故この神性が象徴として扱われるかといえば、それは、彼らが互いに憎しみ合い争う間だからであろう。
ナイアルラトホテップはクトゥグアと、クトゥルフはハスターと争っており、人間が彼らに対抗する手段として、時折その対立を利用する場合が特にダーレスの作中に多く見受けられる。
ただし、この属性区分には異論も多くある(水属性のクトゥルフが海底に封じられているのはなぜなのかといった設定面からの異論や、そもそもなぜこの邪神がこの属性なのか分からないといった根拠不足を理由とした異論が出されている)ため、近年では属性設定を無理に行わず、対立関係のみを抜粋して用いる作品も多い。
クトゥルフ神話TRPGでは、外なる神(=宇宙の法則を司る概念的存在を旧支配者から分離したカテゴリー)には劣るが、人類にとっては十分すぎるほどの脅威となる、肉体を持つ神のような存在としている。例えば、アザトース、ヨグ=ソトース、シュブ=ニグラス、ウボ=サスラなどは外なる神、クトゥルフ、ハスター、クトゥグア、ツァトゥグアなどは旧支配者となっている。
そのため、少なくともTRPGにおいての旧支配者は厳密な意味の神ではなく、むしろ強大な宇宙人といった方が正しいイメージである。一般的に旧支配者の活動規模は惑星単位、最大で銀河単位となるのに対し、外なる神は宇宙全体にその権能を持つ。
ただし、この区分けは必ずしも厳密なものではない模様で、小説作品に採用されることはあまりない。実際、ニャルラトテップは外なる神とされているが、定義上は旧支配者と取ることも可能であると指摘されているほか、版によって外なる神か旧支配者かの区分が変わる神格もいる。
外なる神より劣る存在とはいえ、基本的には人間や科学技術が対抗できるような存在ではない(打ち倒すことも不可能ではないが、多くの人を犠牲にする必要があったり、入念な事前対策が必須であったりする)。むしろ外なる神よりも信者数や地球で活動する眷属は多いため、(ニャルラトテップを除けば)ゲーム内では外なる神以上に直接的な脅威となりやすいといえる。
特に、クトゥルフやハスター、クトゥグアといった旧支配者の中でもとりわけ強力とされる存在が顕現しようものなら人類存亡の危機となり得る。故に、旧支配者の復活を目論むカルトや眷属の計画を挫くことがゲーム内での目標となることが多い。
旧神とは外なる神と共に敵対しているが、旧神が彼らの創造主という設定は採用されていない。
以下リストでは、TRPGなどで外なる神とされている存在は外なる神のページにまとめ、旧支配者とされている存在について説明を載せている。
以下に、旧支配者とされる神性を列挙する。ただし、基本的に神話体系に組み込まれる作品に登場する神性のみを記載しており、アメコミ作品やクトゥルフ神話を元ネタとした作品に登場する神性は逆輸入されていない場合記載していない。
なお、ラヴクラフトは彼らの名前の読みは仮のもので、実際には人間の発声器官で発音する事はできないとしていたものの、必ずしもそうでなくなりつつあるようだ。
ラヴクラフト作品において、人類が繁栄を極めるよりも以前、この地球上を支配していた神ならぬ存在のこと。基準についてはやや曖昧。
こちらに該当する存在はそれぞれの種族名で呼ばれることが多く、旧支配者と呼称される例は少ない。
※以下の動画は簡潔にまとまっていますが、一部、複数作家の見解を混同している箇所があります。
詳細は、本項、Wikipedia、実際の作品を確認してください。
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最終更新:2025/12/16(火) 11:00
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