トルカータータッソ(Torquator Tasso)とは、2017年生まれのドイツの競走馬である。
主な勝ち鞍
2020年:ベルリン大賞(G1)
2021年:バーデン大賞(G1)、凱旋門賞(G1)
父Adlerflug、母Tijuana、母父Toylsomeという血統。父は独ダービー馬で2020年の独リーディングサイアー。ジャパンカップに出走したItoやIquitosの父でもあるが2021年に急死している。母は未勝利馬だが、4代母がUrban Seaや*キングズベストを産んだ名牝Allegrettaであり、GalileoやSea the Starsとも同じファミリー。父もAllegrettaの全妹Alyaの孫なので3×4の全姉妹クロスが発生しており、ファミリーラインがこれでもかと強調されている。母父は英国馬でGI1勝(仏・フォレ賞)。総じて日本では馴染みの薄い、いかにもドイツの生産理論で構築されたという血統である。
馬名の由来はイタリアの叙事詩人トルクァート・タッソ(1544~1595)からであるが、手続き時のミスで「Torquator Tasso」という衍字が入った馬名になった。
デビューは3歳5月と遅く、4着に敗れたが2戦目で初勝利。3戦目のドイチェスダービーは同父のIn Swoopにこそ敗れたが9番人気で2着と善戦する。続くバーデン大賞では1番人気ながら3着に敗れたが、GIベルリン大賞でイン突き早め先頭から押し切る強気の競馬でGI初勝利を手にする。その後GIバイエルン大賞を2着として3歳を終える。
4歳初戦のGIIRPグルッペ大賞では6着と大敗してしまうが、続くGIIハンザ大賞ではきっちり巻き返して勝利。GIベルリン大賞では末脚が間に合わず2着となり連覇を逃してしまうが、バーデン大賞では早め先頭から同年の独ダービー馬Sisfahanを退け勝利。この勝利で陣営は凱旋門賞遠征を決行する。
しかし本馬は13番人気(JRAと現地オッズで倍率は結構違うが13番人気だったのは同じ)。出走は14頭だったのでブービー人気である。Adayar、Hurricane Lane、Tarnawa、Snowfallなど欧州有数の実力馬が揃う中で、GI2勝とはいえ英愛仏より一枚落ちるドイツ馬、しかも国外に出たことがなく力関係も謎、トドメに鞍上のレネ・ピーヒュレク騎手が凱旋門賞の騎乗経験ゼロとあっては致し方ないことではあった。
10月3日、この日は東西ドイツ再統一の日のロンシャン。重馬場の中開催された第100回凱旋門賞。トルカータータッソは12番枠からスタートし、枠なりの中団外に落ち着く。レースは人気のAdayarが引っ張り、日本馬クロノジェネシスが続く展開。トルカータータッソはじっと控え、フォルスストレートを抜けたコーナーから仕掛ける。残り300mで末脚に火がつき、100mあまりでトップスピードまで加速。力尽きたAdayarとクロノジェネシスが後退するのを待ってましたと言わんばかりに突っ込んできた人気のTarnawaとHurricane Laneの外から猛然と襲いかかる。内2頭も譲らず叩き合いになったが、最後に力強く前に出たトルカータータッソがそのまま押し切って勝利。ブービー人気からの大金星を挙げた。
「これはすばらしい、超すばらしい」レースが終わった後マルセル・ヴァイス調教師は興奮気味に語った。ピーヒュレク騎手はイギリスのアン王女からトロフィーを受け取るとき「彼はレース始終とても落ち着いていて最後の直線に入るとすぐトップギアに入ったよ」と語った。
ドイツ馬の凱旋門賞制覇は2011年の*デインドリーム以来10年ぶり、東西ドイツ時代も含めて3頭目という快挙となった。丁度この年は1年延期となった東京五輪でドイツ勢が馬術競技にて3個の金メダルを獲得。人馬一体の馬術王国であるドイツは競走馬でも世界に誇る勲章を手に入れた、と言ってもいいだろう。
レース後はジャパンカップ参戦プランもあったが、最終的には年内は出走せず休養することとなった。
5歳初戦は前年と同じくRPグルッペ大賞から始動したが、やはり休み明けが良くないのか伸びが見られず7頭中6着に敗戦した。
7月初頭のGIIハンザ大賞では3番手の好位置から最終コーナーで仕掛けると直線で大外の外ラチ沿いから一気に先行馬を交わし、そのまま2着馬に3馬身半差つけてゴール。去年と同じローテーションで復活を果たした。
続けてイギリスに遠征しキングジョージVI世&クイーンエリザベスS(GI)に出走。6頭中4番人気での出走となったが、直線外から追い込み、勝ったPyledriverにこそ2馬身3/4差で及ばなかったものの3着Mishriff以下を8馬身離しての2着に健闘した。
本国に戻り、連覇を目指してバーデン大賞に出走したが、ここでピーヒュレク騎手が専属契約を結んでいるハンス=ゲルト・ウェルニッケという馬主の所有馬で前年のバイエルン大賞の2着馬であるMendocinoに騎乗することになり、本馬はランフランコ・デットーリ騎手に乗り替わった。5頭立ての予定から1頭スクラッチして4頭立てとなり、本馬が1.4倍、当年のドイチェスダービー馬Sammarcoが3.2倍、本馬の3走前のレースであるRPグルッペ大賞で勝利したAlter Adlerが6倍、Mendocinoが7.9倍となった。
レースでは2番手で先行して800m地点から自ら動き、直線ヨレながらも一瞬抜け出したが、そこへ大外からMendocinoが強襲。本馬も止まりはしなかったが最後は相手の伸びが勝り、アタマ差の2着に惜敗した。レース後、デットーリ騎手は「この馬には重い馬場で前が止まることが必要。悪くはなかったが、4頭立てのレースではなくて彼のスタイルに合ったレースの方が良い。レースを作る上で出来る限りのことはした」と語った。なお、デットーリ騎手は直線で規定回数を1回上回る6発のムチを入れたことが原因で9月18日~10月1日の14日間の騎乗停止処分を受けている。
次走は10月2日の凱旋門賞。ピーヒュレク騎手が契約上の理由で再びMendocinoに騎乗するため、本馬もデットーリ騎手が続けて騎乗することになった。レースは後方から進め、最後の直線で大外から追い上げたが、前を行くAlpinistaとVadeniを捕まえきれず3着。引退レースとしてジャパンカップに出走する可能性も示唆されていたが、結局このレースを最後に引退することが発表された。通算16戦6勝・GI3勝。
Adlerflug 2004 栗毛 |
In the Wings 1986 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
High Hawk | Shirley Heights | ||
Sunbittern | |||
Aiyana 1993 鹿毛 |
*ラストタイクーン | *トライマイベスト | |
Mill Princess | |||
Alya | Lombard | ||
Anatevka | |||
Tijuana 2011 栗毛 FNo.9-h |
Toylsome 1999 栗毛 |
Cadeaux Genereux | Young Generation |
Smarten Up | |||
Treasure Trove | The Minstrel | ||
River Jig | |||
Tucana 1999 栗毛 |
Acatenango | Surumu | |
Aggravate | |||
Turbaine | Trempolino | ||
Allegretta | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Alya=Allegretta 3×4(18.75%)、Northern Dancer 4×5×5(12.5%)、Mill Reef 5×5(12.5%)、Sharpen Up 5×5(12.5%)
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最終更新:2025/03/08(土) 15:00
最終更新:2025/03/08(土) 14:00
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