バーナビー・コステア(Barnaby Costea)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
自由惑星同盟軍人、大佐。エコニア捕虜収容所所長。宇宙暦788年10月時点で59歳、目尻がわずかにさがった茶色の目、ひとにぎりほどの白髪が交じる短い黒髪と同色の硬い口髭を持つ中年の軍人。
40年以上の長い軍歴を持つ叩き上げの軍人で、第二次ティアマト会戦での従軍経験を持つ。のちにエコニアでの捕虜叛乱事件をきっかけに不正が明らかとなり拘禁された。
軍専科学校を卒業し、宇宙暦745年12月に16歳で第4艦隊(司令官フレデリック・ジャスパー中将)所属の最年少兵士として第二次ティアマト会戦に参加。以後ノンキャリアの軍人として軍歴を重ね、46歳(775年前後)で少佐に昇進し、788年までに大佐・エコニア捕虜収容所所長の地位にまで昇った。
このエコニア捕虜収容所で、コステアは不正に手を染める。彼は幾年もかけて予算を横領し、350万ないし360万ディナールほどの金銭をフェザーンの銀行の匿名口座へと収めていった。しかし788年11月、参事官としてヤン・ウェンリー少佐が収容所に赴任したその日の夜、事態は大きく変化することとなる。
帝国軍捕虜による叛乱事件の発生である。
捕虜中の自治委員長クリストフ・フォン・ケーフェンヒラー大佐とヤンの推測によれば、コステアは辺境の捕虜収容所に”エル・ファシルの英雄”が赴任してくると聞き、彼の不正を調べるための秘密監察官ではないかと思い込んだらしかった。ヤンにそんなことできるわけがないのだが疑心暗鬼にとらわれ、なかば自棄になった彼は、不都合な存在を強引に抹消してしまうべく陰謀を巡らせたのである。
コステアは捕虜のプレスブルク中尉に、ケーフェンヒラーの不正をあばくのに協力すれば特赦の対象にして半年以内に帝国へ返してやる、と使嗾し、捕虜による叛乱を起こさせた。彼らは副所長ジェニングス中佐を人質にとり、コステアはその身代わりとして参事官ヤン少佐(と立候補した参事官補フョードル・パトリチェフ大尉)を送り込んだ。ヤンたちはそこで、すべてを見抜いていたケーフェンヒラーからコステアの不正と陰謀について聞かされることとなる。
そしてコステアは、叛乱者のいる東一七号棟への攻撃を開始し、叛乱者もろともヤンを消そうとはかった。彼は管制室から部下にヤンたちを探し出すよう厳命したが、彼らはすでに脱出しており、まずパトリチェフがプレスブルクを連れてコステアの前に姿を現し、さらには動転する彼の背にヤンが銃を突きつけた。コステアは上官への叛逆と糾弾することで危地を脱そうとしたが、プレスブルクに締め上げられたあげくにパトリチェフに平然と脅迫されては、罪を認めるから助けてくれ、と懇願するほかなかった。
その後、コステアはプレスブルクの監視のもと所長室で軟禁されることとなる。やがてタナトス軍管区司令マシューソン准将の代理としてムライ中佐がやってくると、彼はムライの心証を良くしようとする一方でヤンやプレスブルクらを糾弾し、自身の階級をも持ち出そうとしたが、謹厳きわまるムライの前では被審問者のひとりという立場に甘んじざるをえなかった。
それでもコステアはどうにかしてヤンやケーフェンヒラーを陥れて事態を打開しようと考えていたようだが、その日の夕食後、あまりにも早く、公金横領容疑での拘禁がムライから言い渡された。彼はむろん飛び上がって抗議したが、ムライはすでに到着以前の段階で公金横領の証拠を固めており、弁解の余地はなかった。コステアは正式な軍法会議のために拘束され、ついでというべきか、軍部も辺境の捕虜収容所人事の風通しを良くする必要を感じることとなった。
一兵卒のころに上官だった”行進曲”ジャスパーを尊敬しており、エコニアでも所長室にジャスパーの肖像写真を掲げている。当時、コステアはジャスパーからじきじきに声をかけてもらったことがあるらしく、その時の感激をのちのちまで覚えていた。その上で総司令官の立場にあった英雄ブルース・アッシュビー元帥については、批評の対象にならない神様のようなもので、ただ信仰するだけだったと語っている。
ヤンからは初対面で「ややかたくるしそうな印象」を覚えられているが、これについては「ヤンの目に”だらしない”と映るようでは、軍人としては問題がありすぎるだろう」と相変わらずヤンには口が辛い地の文に評されている。ヤンは所長としてのコステアについて、無能ではないが温厚で気前がよいというほどではなく、まじめで忠実なあまりに捕虜たちの小さな望みもつぶしてしまいがちなのではないか、ゆえに捕虜たちからは怨まれているのではないか、と推測した。そのヤンはといえばわずか21歳にして少佐であり、口さがない兵士からは「(コステアにとっては)おもしろいはずがないさ」などと言われていた。
副所長ジェニングス中佐には良い感情をいだいているとはいえなかった。官僚的才能を持ち、コステアの少佐昇進より10歳も早く中佐の階級にあるのだから無理もないことで、ジェニングスの習慣である夜間の巡回についても、不眠症を利用した「上司にたいするいやがらせ」と考えていたようである。その他、部下にあたる収容所幹部としては警備主任ボーリイ少佐がいる。
掲示板
3 ななしのよっしん
2019/10/15(火) 14:09:34 ID: 89HEKeA/iy
OVAだと第一印象は好人物だったのに次の回からいきなりクズになって挙句黒幕だったのは草
4 ななしのよっしん
2020/07/20(月) 22:17:22 ID: pzaFa3xPuA
目立った被害者がいないような組織内の着服みたいな悪事に手を染める人は
小心というか密かに良心にも咎めて他の部分では真面目でいい人らしく振舞う
そんな感じに見えた
5 ななしのよっしん
2023/10/17(火) 16:21:00 ID: e+MNPiUjev
>小心というか密かに良心にも咎めて他の部分では真面目でいい人らしく振舞う
めちゃくちゃ耳が痛いw
ちょっと悪さしたりすると必要以上に真面目になったり、人によくしないとマズいと思っちゃうんだよな。。。
この人はさすがにヘルダー大佐みたいに「叩き上げ故の高い戦闘能力」は有していなかったな。もっていたらパトリチェフはともかく、ヤンはボコられちゃうし。
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最終更新:2025/12/11(木) 15:00
最終更新:2025/12/11(木) 14:00
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