ロキソプロフェン 単語

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ロキソプロフェン

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ロキソプロフェン(Loxoprofen)とは、非ステロイド性抗炎症薬である。先発医薬品名はロキソニン®

概要

有機化合物
ロキソプロフェン
ロキソプロフェン
基本情報
英名 Loxoprofen
化学 C15H18O3
分子量 246.30
化合物テンプレート

ロキソプロフェンは、プロオン系の非ステロイド性抗炎症薬NSAID)である。炎症に関与する酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻し、抗炎症作用・鎮痛作用・解熱作用を示す。痛み止めとして汎用される。

三共株式会社現在第一三共株式会社)が創し、1986年3月にロキソニン®錠、ロキソニン®細粒の製造販売が開始された。また、リードミカ株式会社が三共株式会社と共同開発したロキソニン®パップ、ロキソニン®テープは、それぞれ2006年1月2008年3月に承認された。ゼリー状のロキソニン®ゲル開発され、2010年6月に承認を取得。ジェネリック医薬品も供されており、内液やポンスプレーもある。保険薬局ドラッグストアではロキソプロフェンの一般用医薬品の購入も可だが、ロキソプロフェン以外の成分が入っている製品もあるため、薬剤師と相談すること。

効能・効果

ロキソプロフェンは、炎症や術後の消炎・鎮痛に用いられる。ロキソニン®およびロキソプロフェン製剤の医薬品添付文書より、2021年4月時点での適応を以下に示す。なお、一般用医薬品についてはロキソプロフェン単剤のロキソニン®Sのみ掲載。

医療用医薬品

経口剤(錠剤・細粒剤・液剤)
  • 下記疾患ならびに症状の消炎・鎮痛
  • 手術後、外傷後ならびに抜後の消炎・鎮痛
  • 急性上気炎(急性気管支炎を伴う急性上気炎を含む)の解熱・鎮痛
外用剤(パップ剤・テープ剤・ゲル剤・スプレー剤)
  • 下記疾患ならびに症状の消炎・鎮痛
    • 変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫・疼痛

一般用医薬品

経口剤(錠剤)
  • 頭痛、月経痛(生理痛)、痛、抜後の疼痛、咽喉痛、痛、関節痛、神経痛、筋肉痛、肩こり痛、痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷痛の鎮痛
  • 悪寒・発熱時の解熱
外用剤(パップ剤・テープ剤・ゲル剤・ローション剤)
  • 痛、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘など)、打撲、捻挫

用法・用量

関節リウマチや痛などの消炎・鎮痛、手術後や抜後の消炎・鎮痛では、通常1回60mg(1錠)を1日3回経口投与する。頓用の場合、1回60~120mg(1~2錠)を経口投与する年齢や症状に応じて適宜増減する。腸に負担がかかるため、できるだけ空腹時投与は避け、頓の間隔は4時間以上ける。

急性上気炎の解熱・鎮痛では、頓用で1回60mg(1錠)を経口投与する(原則として1日2回まで)。年齢や症状に応じて適宜増減するが、1日量は最大180mg(3錠)まで。できるだけ空腹時は避け、食事を摂ったあとに内することが望ましい。投与間隔は4時間以上ける。

外用剤のうち、パップ剤やテープ剤は1日1回患部に貼付するゲル剤は1日数回患部に塗擦するスプレー剤は1日数回患部に噴する。パップ剤は皮膚への刺が少なく保湿効果もあるため、皮膚症状を起こしにくいと考えられる。テープ剤は立ちにくく剥がれにくいため、関節など動きのある部分にも使いやすい。ゲル剤やスプレー剤も関節に適した剤形といえる。ただし、いずれも損傷した皮膚や膜、湿や発のある部位には使用しないこと。

一般用医薬品の用法用量は、医療用医薬品の用法用量に準ずるため割愛する。詳しくは、PMDAや製造販売元のウェブページ、あるいは購入した製品に添付されている文書を参照すること。

作用機序

炎症は病原体の侵入や組織の損傷に対する生体の防御反応であるが、痛みや発熱をきたし、正常な細胞も破壊される。炎症にはプロタグランジン類(PGE2など)の生理活性物質が関与しており、シクロオキシゲナーゼ(COX)などの酵素がその生合成を担っている。

NSAIDsの多くは、COX-1およびCOX-2を阻PGE2合成を抑制することで、炎症を鎮め、鎮痛作用・解熱作用を示す。同じく炎症を抑える作用のある副腎皮質ステロイドべ、NSAIDs副作用が少なく扱いやすいため、臨床では汎用されている。また、ロキソプロフェンはプロドラッグであり、生体内で活性化されてから作用を示すため、ほかのNSAIDsより消化管障害を起こしにくいとされる。

禁忌・副作用

NSAIDsPGE2などの産生を抑制することで抗炎症作用を示すが、PGE2細胞を守る液の分泌促進や・消化酵素の分泌抑制に関与している。したがって、PGE2の産生が阻されるとの防御機が低下して消化管障害をきたすおそれがあり、消化性潰瘍の患者には投与禁忌となっている。

NSAIDsによりCOXが阻されプロタグランジン類への代謝が抑制されると、代償的に別経路での代謝が促進され、気管支を収縮させるシステイニルロイコトリエンが増加する。その結果、NSAIDsを原因とする気管支喘息NSAIDs喘息)を引き起こすことがあるため、NSAIDs喘息の患者やその既往歴のある患者への投与も禁忌である。

PGE2PGI2の産生抑制は腎血流量や糸球体ろ過速度の低下につながり腎臓に負担をかけるため、重篤な腎機障害のある患者にも投与禁忌PGF2αPGE2の産生抑制は胎児の動脈管閉鎖を招くため、妊娠末期女性への投与も禁忌

副作用は、腹痛の不快感、食欲不振、悪心(吐き気)、浮腫(むくみ)、発、蕁麻疹などがある。みぞおちの痛み、かったり血が混じったりした便、息苦しさ、足のむくみなどがあれば、医師薬剤師に相談すること。頻度は不明だが重大な副作用として、ショックアナフィラキシー中毒性表皮壊死融解症(TEN)、急性腎障害うっ血性心不全、消化性潰瘍、菌性髄膜炎、横紋筋融解症などの報告がある。

同種同効薬

ロキソプロフェンは非ステロイド系抗炎症薬NSAID)である。較的知られているNSAIDsとして、アスピリンバイアスリン®)、ジクロフェナクボルタレン®)、インドメタシンインシン®)がある(販売名は一例)。ただし、バイアスリン®は血栓の形成を抑える抗血小板として使用される。

また、NSAIDs化学的構造からさらに細分化でき、ロキソプロフェンはプロオンNSAIDsに分類される。ほかのプロオンNSAIDsとして、イブプロフェンブルフェン®)、フルルプロフェン(フロベン®)、ケトプロフェンモーラ®)、ザルトプロフェン(ペオン®)、ナプロキセン(ナイキサン®)、オキプロジンアル®)、イブプロフェンピコノール(ベシカ®)、フルルプロフェンアキチル(ロピオン®)などがある(販売名は一例)。注射剤として臨床に供されているものもあり、性疼痛などに使われている。

NSAIDs全般の概要は、非ステロイド性抗炎症薬の記事を参照。

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最終更新:2024/04/19(金) 17:00

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