大星淡とは (オオホシアワイとは) [単語記事]

大星淡とは、漫画およびテレビアニメ『咲-saki-』『咲-saki- 阿知賀編 episode of side-A』の登場人物である。

担当声優は斎藤千和。

概要

金髪、ロングヘアーでどこか日本人離れした風貌をしている少女。
絶対王者として君臨する白糸台高校の団体戦チームで大将を任されている一年生。
インターハイ団体戦２連覇を成し遂げ、麻雀部の層も厚い白糸台が、突如として入学1ヶ月の実績もない新人を大将に抜擢したことは話題になり、県大会の様子から前年度の天江衣や神代小蒔、荒川憩といったスーパールーキーと並ぶ存在として他校から警戒されている。
ただ、公式戦の記録が少ない選手のため、打ち筋や実力は未知数の部分が多い。

性格は、天然かつ天真爛漫。先輩の宮永照に懐いており、いつも「テルー」と呼んで子犬のようにじゃれている。
良くも悪くもフランクで、先輩にも普通にタメ口を使ってしまうため、部長の弘世菫から注意されることもある。
チームメイトとも仲はよいが、麻雀については自分と宮永照以外を見下すような発言が多く、
全国大会ですら自分が負けることを全く想定していないなど、過剰なほどの自信を持っていることが伺える。
そのあたりは日ごろの人懐っこいアホの子ぷりと麻雀部内の練習試合での実績ゆえに黙認されている様子。

本編『咲-Saki-』では、インターハイ王者・白糸台高校の大将という以外に殆ど情報も出番も無かったが、
スピンオフの『咲-Saki-阿知賀編』のインターハイ準決勝でがっつり登場し、一躍脚光を浴びた。
日常的なアホの子っぷりと部員とのお菓子をめぐる心温まるエピソードを収めたスピンオフ『咲日和』は必見。

余談だが、阿知賀編以前は断片的な情報すら殆ど無く、顔しか知られていない状態だったのだが、
アニメ一期最終話のEDでちらっと流れた全国大会で登場する選手の顔見せ的な数秒のシーンで
金髪をなびかせ宇宙オーラを放っていたこと(後にこれが東京地区大会決勝の様子だと判明)や、名前の"大"星淡の繋がりから、強力な能力を持ついわゆる『魔物』や『牌に愛された子』の一人ではないか？　と注目された経緯がある。
（『牌に愛された子』は天江衣、宮永照、大星淡、神代小蒔で「天照大神」になる、という当時のファンの間の仮説による）

このように、身内視点ではアホの子だが、他校の選手の淡に対するイメージとして何度も出てくる「金髪が広がるようになびいて暗黒宇宙オーラが広がっていく」「不敵な笑み」もまた、絶対王者宮永照の後継者と目される力を持つ彼女の真実の姿である。

インターハイ準決勝

初セリフは、先鋒戦から控え室に帰ってきた三年生の宮永照に「おかえりテルー」とまさかのタメ口、しかも、照にベタベタし放題で読者に大きな衝撃を与えた。（咲アニメ一期で極悪人ツラだった照が、ぼんやりのほほんと「お菓子買って来た」と控え室に入ってきたのも含めてダブルで衝撃だった）
一応ある程度、敬語も混じった話し方ではあるが、風紀が厳格（もっとも最近の描写ではユルい印象になりつつあるが…）な白糸台麻雀部で何故この喋り方で許されているのかは謎(インターミドルに出た様子が無いところやその風貌から、帰国子女ではないかという説も）。

弘世菫が出場した次鋒戦の観戦の際の

　照「菫のクセ…見つからないね…」
　淡「まったくもって！」（？を浮かべてポカーン）

という照とのやり取りや、

　淡「私は実力から言えば高校 100年生だよ？（ばばーん」

と言って菫に呆れられたりなど迷ゼリフが多く、性格は天然でアクティブで難しいことを考えるのが苦手、いわゆるアホの子である。麻雀については生意気を通り越して他人を見下しているような言動が多く、自信過剰な面も伺えるが、不運にも大失点を喫した副将の亦野誠子に、

　淡「亦野先パーイ、私のためのハンデ付けおつかれさまでーす」（ニヤリ）

と普通に聞いたら厭味のようなことをさらっと言っても、亦野からは両頬をひっぱってふにふにと遊ばれ「私のためにも勝ってくれよ」と返されるなど、チームの先輩たちとはかなり仲が良く、マスコット的に扱われているフシさえあるほど。

ただ、自身の強さに対する傲慢なまでの自信を隠す様子は無く、副将戦で新道寺女子の白水哩が見せた能力「リザベーション」により、大将戦で自分が倍満を受けることを知っても「倍満くらいくれてやる」と言い切るほど。
興味を持つほど強い相手に出会えば「イケてるじゃん！」と目をキラキラ輝かせて潰しにかかるが、弱い相手は名前すら覚えない。さらに大将戦では、地区予選から今までずっと本気を出して来なかったことも明らかになった。

能力

絶対安全圏

大星淡の持つ常時発動型の支配系能力。
淡の背後から暗い宇宙が広がって場を覆い、淡以外の他家の配牌が強制的に5シャンテン以下になる。能力の効果はそれだけで、淡本人の配牌が良くなるわけではなく、他家も引きが悪くなったりシャンテン数が進まなくなるというようなことはないため、配牌以後は普通に麻雀が打てる。
ただ、現実の麻雀では、配牌時の平均シャンテン数は3～4程度(調べ方によるが統計的にはだいたいこれくらいとのこと)とされているため、必ず5シャンテン以下になるのはテンパイまでの大きなハンデと言える。
なお、『絶対安全圏』とは、正確には「他家が最速でテンパイできるまでの絶対に振り込まない安全な順目」のことであり、正式名称は不明。

使用制限もデメリットも無く常時発動できるため、淡は麻雀部内の練習試合から公式戦までいつも使用しているらしく、すでに他校やマスコミも「淡戦では常に配牌が5シャンテン以下になる」と認識しているほど。
これを破る方法は、淡の支配力を超える能力で突破するか相殺するしかなく、白糸台内部でも必ず突破できるのはオーラス時の渋谷尭深のみと言われている。
淡自身、破られるとは全く思っておらず、宇宙オーラに文字通りの風穴を開けて満貫2シャンテンの配牌を得た鶴田姫子から4順目でロン和了を奪われた時は、うそでしょ！？と驚愕して顔を伏せてしまう。
が、直後には目をキラキラさせて「イケてるじゃん！」と褒め、目の前に現れたひさびさの強者を倒せる喜びに期待を膨らませている。

あくまでも絶対安全圏は妨害能力でしかなく、淡本来の攻撃能力はチーム戦略で決勝まで温存する予定だったのだが、リザベーションに続いて清水谷竜華の不可解な手順の和了まで受け、いつもの一方的な展開をひっくり返された前半戦の終盤、ついに……

　「関西最強だか北部九州最強だか知らないけど、どんどこずんどこアガってくれちゃって！
　　そろそろ耐えるのも限界かも……やっちゃってもいいよね？」

以下ネタバレ

ダブリー 270度

本気を出した淡の支配能力。使用制限の無いダブルリーチを連発する『魔物』クラスの超攻撃型能力。
ただし、能力発動時のダブルリーチは必ず役無しのリーチのみで、この時点では確定和了は無いため速度も遅いが、
『絶対安全圏』を常時発動したまま使用できるため、他家は安牌の無いダブリー相手に5シャンテンスタートという
手作りが非常に困難な状況を強いられる。
さらにこの後、とあるタイミングで淡が暗カン（ルール上、リーチ後でも待ちの変化しない暗カンは可能）した時、
その直後数順以内に出アガリかツモで和了する。そして暗カンした牌がカン裏ドラとして4枚すべて乗る。
この能力には、カン材を集める効果も付随しているため、誰にも止められなければ暗カンした時点で
ダブリー裏ドラ4の跳満が確定し、次局もダブリー、暗カン、跳満、その次も……と連荘し続ける。
カンする前に処理できれば止められるのだが、淡の支配力を突破するか相殺できなければそれも容易ではない。
また、和了確定能力も厄介で、暗カン直後は完全安牌以外はすべて危険牌になる。
とくに不要牌・余剰牌は確実にアタリ牌という凶悪さである。
実際、初見の鶴田姫子は不穏な気配を感じつつもテンパイのうえ安牌が無かったため、カン牌のカベを利用して押した結果振り込んでいる。

淡が自信過剰とも思える他者見下した言動を取る理由はこの隠し能力ゆえのもので、トップクラスの支配力を持つ。
弘世菫曰く、白糸台で淡のダブリーを破れるのは宮永照のみと断言。全国でも高校生で他にいないと思っていたほど。
（ただし照はさらりと「たぶん10人くらいいると思う」評していたが……）
そのうえ校内の練習試合でも滅多に使っておらず、公式戦では県大会決勝で1度しか見せていない。
使用した理由も「だってタカミに総合獲得点で負けたくなかったんだもーん。テルはいいけど！」だったりする。
このたった一回の甘さが、後に淡を苦しめることになるとは……

名前のダブリー 270度は、後半戦に入り数度見たあとカンのタイミングに気付いたフナQこと船久保浩子が仮に命名。
場の4列の山牌の並びを四角形と捉え、局を進めて最後の山牌に入る直前の「角」で淡が暗カンをすると和了確定能力が発動する。
曰く、ダブリーして「角を曲がった」合計が90度×3回でカンをしたから、ダブリー 270度とのこと。
もちろん正式名称じゃなく、白糸台メンバーは単に淡のダブリーと呼んでいた。