株式会社武蔵野とは (カブシキカイシャムサシノとは) [単語記事]

株式会社武蔵野 (かぶしきかいしゃむさしの) は、日本の企業である。同名の企業がいくつか存在するが、本記事においては1.を解説する。

東京都小金井市に存在する、清掃サービス (ダスキンのフランチャイジー) およびコンサルティングを主な事業とする企業。代表取締役社長は小山昇。
埼玉県朝霞市に存在する、弁当、おにぎり、パンなどの食品製造とスポーツレジャー施設の運営を主な事業とする企業。
東京都狛江市に存在する、鉄筋のガス圧接、溶接、その他雑鍛冶を主な事業とする企業。
東京都新宿区に所在する、テナント・ビル・駐車場管理を主な事業とする企業。

株式会社武蔵野 (かぶしきかいしゃむさしの) は、日本の企業である。ダスキンのフランチャイズ事業と中小企業の経営改善のための経営支援事業を中核としており、一般的には後者のコンサルティング会社として知られている企業である。

概要

1956年創業、1964年設立。現在の代表は小山昇。創業当初はふじ薬局という名前の薬局を営んでいたが、1964年にダスキンと東京第一号加盟店『ダスキンムサシノ』として契約。この後、環境衛生事業を中核とする会社となるが、1989年に小山昇が代表に就任するころこのような惨状だったという。

私が社長になったとき、「株式会社武蔵野」は正真正銘の落ちこぼれ集団でした。
困ったことに、社員の20%が不正をしていました。
ミーティングと称してファミリーレストランに集まっては「どうすれば不正できるか」を話し合っていました。
会社車両を不正に乗り回し、湘南にサーフィンに行く社員までいました。すべて本当の話です。

会社情報 - 経営コンサルティングの株式会社武蔵野, 2023/07/29閲覧

この状況を立て直そうと小山が社内改革を行い、会社は再び規律を取り戻し再び増収増益をあげられるようになった。この経験から人間心理を理解した小山は株式会社武蔵野をダスキンのフランチャイズに押し止めず、コンサルティング会社としても売り出すようになる。

武蔵野のコンサルティングの特徴

武蔵野のコンサルティングは事業であるため、その全貌はウェブサイトでも明らかにはなっていない。ただし、現在に至るまで多くの企業のコンサルティングを行ったことから、その一部は知られている。基本的に武蔵野のコンサルティングを受けた企業は、

社員に素手でトイレ掃除をさせる
絶叫しながら会社の経営方針 (経営計画書) を読み上げさせたり、自分は幸せであるなどと復唱させるなどの朝礼を行う
環境整備として、ホコリひとつ残らないように掃除をさせる
昼は客先に行くのだからと朝8時から会議

といったような内容のことを社員に指示する傾向があるようだ。また、「営業は客先に行くのだから事業所に椅子はいらない」と机だけを置かれるということもあるとか。

大胆なコストカットを指示されることも多いといい、これは小山自身、自社の出張ルールを見直して「日帰りより宿泊のほうが安い日数になるならあいだの日を遊びに行かせてでも宿泊させ、交通費をカットする」など細かいルールの見直しにも余念がない (参考) 。

実際に企業個々に指導する内容でも、「動線に関する指摘」や「チラシごとにプレゼントを変えることによる認知経路の把握」「不要な植栽の撤去」など効率をとにかく良くする内容が目立つ。一例として福岡県に存在するリフォーム会社、株式会社古賀組を見てみよう。この企業は2021年8月26日の小山昇のX (旧Twitter) でのPostより、2018年 3月3日に株式会社武蔵野のコンサルを受けたことがわかっている。このときの小山の指導項目が65個あるが、これを実行した一覧表を入り口に明示している。

基本的に「経営陣と従業員のビジョンを合致させる」「職場環境づくりに取り組み、仕事のパフォーマンスをあげる」という、それ自体は大事なことを主張しているが、実際に行われる内容はかなり強烈である。なお、素手のトイレ掃除は手の傷から雑菌が入って不衛生なだけでなく非常に非効率である。

そして、「経営計画」「環境整備」「コストカット」は株式会社武蔵野のコンサルティングでも核となるようで、以下のコンサルティングを受けた企業にもその影響が強く強く見られる。

代表的なコンサルティングを受けた企業

有限会社知床遊覧船 (しれとこ村グループ)

有限会社知床遊覧船を代表とするしれとこ村グループの諸企業の代表であった桂田精一は株式会社武蔵野の経営サポート会員としてコンサルティングを受けていた。小山をして「有名百貨店で個展を行うほどの元陶芸家で、突然ホテル経営を任され、右も左もわからないド素人」と評された桂田は言われたことをすべてすぐ実行したという。

このように強く薫陶を受けたためか、桂田はかなりのコストカットを強行しており、ベテラン船長5人と交代させて豊田徳幸を船長として雇入れ、しかしその豊田にホテル業務も兼任させたという。予約管理に必要なパソコンの購入も延期したという。後に事故を起こすKAZU Iについてもオイル交換も自分で行うことで業者の手数料をカットし、座礁箇所は修理せずに修理したと報告し、船の衛星電話もコストカットのために無くして船長の携帯電話を連絡手段として採用した。はたして、2022年 4月23日にKAZU Iは多数の乗客を載せて事故を起こし、豊田船長も行方不明となってしまう。

株式会社ビッグモーター

株式会社ビッグモーターも株式会社武蔵野と取引があることが明らかとなっており、環境整備と経営計画書の唱和には力を入れていたという。

環境整備点検は評価が低いとその場で店長が降格を命じられるといい、そのために従業員は環境整備の前日になるとサービス残業は当たり前で清掃を行ったという。本部から人が来るからと店舗前の街路樹をのこぎりで切る者までいたといい、実際に道路のビッグモーター店舗前だけ枯葉剤が散布されて街路樹が無くなっているという事案が起きていることが指摘されたさい、2023年 7月25日会見で当時の社長・兼重宏行 (記者会見当日を持って辞任) が環境整備であるといいかけて重役に制止されるという場面もあった。