蔡瑁とは (サイボウとは) [単語記事]

蔡瑁とは、後漢末期に活躍した武将である。姉が二人居り、上の姉は諸葛亮の舅として有名な黄承彦の妻、下の姉は最初の主君である劉表の妻。『襄陽紀』に因ると字は徳珪。

概要・正史

蔡瑁の一族は古くから荊州一帯に割拠しており、その家勢は蔡瑁の父・蔡諷の頃からいよいよ盛んであった。

さて、劉表が詔勅により長江南岸即ち荊州一帯の平定に着手した時、ここは群雄が割拠する戦国の世であった。
そこで劉表は荊州の有力豪族蔡瑁とその謀臣蒯越・蒯良と共謀し、荊州北部の平定に成功する。以来、蔡瑁は劉表の片腕として辣腕を振るい、その家勢は蔡瑁の姉が劉表の後妻に迎え入れられるとさらに強まった。

しかし姉が劉表との間に子・劉琮を儲けることで事態は一変した。というのも劉表は既に腹違いの長子・劉琦を成していたためである。儒教の習いにより長子・劉琦が世継となることから、蔡瑁は姉や甥の張允と画策して劉表や荊州臣民を懐柔し、さも劉琦より劉琮もが世継に相応しいと喧伝したのである。
その頃劉琦は家中の不穏を受けて、黄祖が甘寧に横殺された地・江夏の太守となり、この工作から逃れようとした。いよいよ劉表が危篤となると劉琦も任地から帰郷せざるを得なくなったが、先述の謀略が既に極まっていたために、劉琦は劉表家の門より立ち入ること罷りならず、かくして劉琮が劉表の後を継ぐことになったのである。

北の強国・魏がこの機を見逃すはずがなかった。劉表の死没と断絶の後継争いに好機を見た曹操は間もなく大動員令を発し、荊州に侵攻したのである。もとより傀儡で立てられた劉琮に覇気はなく、劉琮は直ちに降伏した。
降伏後、蔡瑁は曹操と旧知の仲であったため、蒯越・蒯良と共に高官として取り立てられた。元より荊州に大きな地盤を有し、長江近辺や水軍諸法に詳しい蔡瑁は魏国にあっても辣腕を振るい、長水校尉・漢陽亭侯に取り立てられるなど、曹操と旧知であることを差し引いてもかなりの高官の位を得たという。
正史伝終わり。

概要・演義

筋書きはさほど変わらない。しかし劉備が一時劉表に身を寄せ、さらに劉琦に肩入れした際にこれを警戒し、劉備を暗殺せんと企んだエピソードが挿入されている。しかし駿馬・的盧を得ていた劉備はからくも的盧の健脚によりこの謀宴から逃れた。

その後は襄陽に落ち延びてきた劉備を射殺しようとする場面に登場し、魏延と争っている。赤壁の前哨戦では甘寧と水上戦を繰り広げるが、弟の蔡勲を射殺されている。

また、その最期も演義に於いて描写されている。長江を隔てて屹立していた孫呉、とりわけ周瑜は赤壁での曹操との開戦に当たって蔡瑁の水軍指揮能力と彼に指揮されて築いた水塞を恐れ、蔡瑁を謀殺せんと曹操と蔡瑁に対し離間計を試みている。
この策は奏功し、蔡瑁は謀反の兆しありとして曹操に処刑されてしまう。才覚ある男の死は大きく、蔡瑁の死を以って連環計の確立、ひいては赤壁の戦いにおける魏側の大敗の原因の一つに数えられている。
さらに彼の一族の蔡和と蔡中がこのことを利用して埋伏の毒として呉軍に偽って投降するも、その際の不審な点を周瑜・諸葛亮に見抜かれてあべこべに利用され、黄蓋の降伏を曹操に信じこませているエピソードが挿入されている。

姉である蔡夫人とその息子の劉琮は蔡瑁が降伏した後用済みとして共に暗殺されているが、そのことに対して何かをしたという描写は無い。

概要・仮想

三國志に於いては万能将の扱いを受け、能力値は全て70前後、魅力がある場合は50-60台を有している。
特に11では水軍Sの上槍戟弩共にBであるため、文官の多い劉表軍においては水戦のみならず陸戦でも力を発揮する将となっている。劉表軍以外でも数少ない初期水軍S持ちであるため、長江を挟んで呉に対峙する際には無二の副将候補となる。

一方の三国志大戦においては一貫してコモン・コスト1とSSQの害をまともに受けており、況や3においては武力3・知力3・強化戦法と遂に連環の小計も剥奪された小物となっている。しかも劉表の居る漢軍には登場していない。
なぜだ。（まあ、主君の劉表も3ではいい扱いをされていないが･･･）
しかし新作の三国志大戦では漢軍として堂々と参戦。レアリティ・コスト共に1段階上がり1.5コストのアンコモンに。特技こそないものの武力6知力6というコスト比最高性能に漢軍版麻痺矢を背負って帰って来た。イラストもだいぶダンディに。