豊田商事事件とは、1980年代前半に発生した詐欺事件である。
当記事では、関連する「豊田商事永野会長刺殺事件」についても述べる。
1985年まで存在していた「豊田商事」による現物まがい商法(ペーパー商法)の詐欺事件。被害者は約30000人、被害額は約2000億円にも及ぶ。
もともと豊田商事は1977年ごろに設立され、当時から呑み行為で問題視されていた。その後、1980年代に入ると詐欺行為が行われ、1983年ごろからトラブルが続出しマスコミ・世間から批判を受けた。
ついには1985年に経営を取り仕切っていた永野一男会長が報道陣に囲まれた自宅マンションの室内で刺殺、その前後の様子がテレビで中継され、同年に豊田商事は破産した。
被害者の中には財産の大半を豊田商事に預けていた人もおり、騙されたことに対する世間からの目・声にも耐えることができず、自殺者も現れた。
なお、「豊田商事」という同名の企業が複数現存するが、いずれも当記事の豊田商事とは無関係である。当記事の豊田商事は「とよたしょうじ」と読み、トヨタ自動車の系列会社と誤認させる目的があったともされている(トヨタグループの商社として「豊田通商」があるが、当然に無関係である)。
豊田商事が行っていた詐欺行為は「ファミリー契約」「ファミリー商法」と呼ばれていた。豊田商事は純金を販売していたが、ファミリー契約では「契約期間の満了までは純金を自社で保有し、取引市場で運用して利益を上げながら賃借料を渡す」「純金は返す時には値上がりしている」「自宅に純金を置かないため盗難・紛失のリスクも少ない」と謳っていた。実際には多額の現金と引き換えに証券のみを渡す形をとっていた。
しかし、豊田商事は1年~5年の契約の満期が来るまでは実物の金を渡さないどころか会社に保有すらしていなかった。支店に保管されていた純金は現物取引用のものと、客に豪華な応接室で「あなたに買っていただいた純金」として偽って触らせる見本用のみであり、実際の金は償還間際に調達していたという自転車操業の状態だった。
などの手口を使って購入させていた。クリーンな会社を装うため、テレビCMも放送している(実態も何もないような会社なので、CMの内容も極めて抽象的であった)。
社員研修や朝礼などもブラックであり、大声で社訓を読ませる、刑務所や自衛隊などで行われる天突き運動(オイショ!オイショ!)をネクタイ姿で行わせる、成績が悪い社員を2時間以上立たせるなどの行為が見られた。(→今月はね!一日からね!飛ばしていきますよ!の記事を参照)
判決文によると、研修・朝礼・上司との電話などで、以下のような強引なセールスの指導も行われていた。
1983年ごろから客との間に金の償還の遅れをめぐるトラブルが頻発し、マスコミでも頻繁に報道されるようになった。
しかし、豊田商事はそれでも取り付け騒ぎの発生を恐れたなどの理由で運営を続けてしまう。その結果、無理な支店展開、ペーパー企業やネズミ講的なセールスをする関連企業の設立、役員クラスの社員による不正な金の使い込み・客に償還予定の純金の売却、粉飾決算なども発生する末端から芯まで腐敗した状態になってしまった。
そして、1985年に関連企業の従業員から逮捕者が出ると世間からの目もいよいよ厳しくなった。6月18日、マスコミが豊田商事の永野一男会長の自宅の強制捜査を聞きつけ、自宅のある大阪市の天神橋のマンション周辺に集まった。
その最中に、「被害者に会長を殺してくれと依頼された」と主張する2人組の男が現れる。そして、2人は報道陣のカメラの前で部屋の窓を割って永野会長宅に侵入し、軍刀で犯行に及んだ。
壁やカーテンに隔てられていたものの、大勢の報道陣が近くにいる中で殺人事件が発生してしまい、返り血を浴びた犯人の姿や刺された血まみれの会長が運ばれる様子がお茶の間に流されてしまうというショッキングな出来事が起こってしまった。
その後、犯行を行った2人は逮捕され懲役刑が下った。豊田商事もまもなく破産宣告を受け、経営に携わった5名には10年以上の懲役刑が下ったが、それ以外の社員は逮捕することができなかった。
後日の警察の調査によると、殺された会長の所持金は711円しかなかったとされている。おそらく先述した自転車操業や無理な関連企業の拡大、会長自身も手を出していた先物取引などが原因で、金が尽きていたのだろうか…。
経営者が殺害されてしまったため、騙し取られた金の行く末は迷宮入りしてしまうかと思われていたが、弁護士である中坊公平氏らの追跡・交渉により、被害金の約10%が返還されている。少ないように感じられるが、額にすると約130億円であり、詐欺事件の返還額としては驚異的とされている。実際、刺殺事件発生直後は「経営者が殺されてしまった以上、豊田商事も共倒れになってしまい、一銭も戻ってこないだろう」と関係者から考えられていた。
これをきっかけとして、1986年に現物まがい商法を規制する「特定商品預託法」が制定……されたのだが、その後も安愚楽牧場やジャパンライフのように金以外の預託商法が横行し多数の被害者を生み出してしまう。
2022年に同法が改正され、預託商法は原則禁止となった。
また、2009年には特定商取引法が改正されている。この改正により電話・訪問勧誘における再勧誘が禁止されており、「関心がありません」「結構です」と伝えても継続して勧誘してくる場合は違法となっている(→リンク
)。
「豊田商事事件」で検索する場合、流血・刺殺体などの画像が出てくる可能性があるため注意。
掲示板
69 ななしのよっしん
2025/11/01(土) 14:31:54 ID: bpJvXWjIi4
口封じ説とかあるけど仮に口封じにしても陰謀論めいたのじゃなくて、893屋絡みの不始末で消されたようなもんじゃないかね。
この頃まではこれに限らず、週刊誌とかはかなり生々しく仏さん写してたよなぁ
70 ななしのよっしん
2025/11/01(土) 14:37:49 ID: 4V2rzMX2Jx
被害金額の回収がままならないということは
豊田商事会長に全ての罪をおっ被せ金を吸い上げて高笑いした人間がいるということ
そいつにとっちゃ「悪役が成敗されて事件が終わった!」で世間の人々が溜飲下げてくれて
真に悪どいことやった自分たちの罪をごまかせたんだから大満足だろうよ
見せかけの勧善懲悪に騙されるってのはそういう愚かしいことだ
71 ななしのよっしん
2025/11/03(月) 22:30:57 ID: IvELPOZqOi
>>67
そりゃ天井にまで血が噴き出した跡があったと言われる位だからねぇ…
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/11(木) 02:00
最終更新:2025/12/11(木) 02:00
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