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ADHDとは、発達障害の一種である。AD/HDとも表記される。
ADHDはAttention Deficit / Hyperactivity Disorderの略であり、日本語訳すると注意欠陥・多動性障害となる。
多動性(落ち着きがない、しゃべりすぎる等)衝動性(順番を待つのが難しいなど)不注意(ケアレスミスが多い、忘れ物が多い)などの症状が生まれつき存在していることが特徴で、それによって著しく生活が困難な場合、ADHDの可能性が高い。
確定させるには医師の診断が必要……なのだが、日本には診断の下せる医師は少数である。心当たりのある方はインターネットで探したり、支援団体を頼るのも手。探す場合は、児童精神や発達医療を得意とする小児科医や精神科医を探しましょう。
7才程から症状が表面化され始め、ADHDの子供は健常児が難なくできることができないために自尊心が通常よりかなり低いことが多い。忘れ物や授業中の私語も多いため教師からの評価は低くなりがちとなる。
7才よりも前の場合、広汎性発達障害(昔でいう自閉症)との区別がつかないケースが多く見られる。そのため、ADHDだと思っていたら自閉傾向が出てきて診断名が変わる、ということもある。
また、昔よりかはマシになったとは言え未だに理解が進んでいるとは言えず、「しつけの問題」と親の責任にされてしまうことが多い。それによって親はより厳しくしつけようとして子供に強く当たるがそれが負担となり、また失敗を繰り返して……の負の無限ループに陥りがちで、家庭崩壊に繋がることもある。
それだけでなく、トンデモ医師や反精神医療活動家が「ADHDは製薬会社に捏造された病気」などとADHDを否定するなど、悪意に満ちた人達による無理解もみられる。(→陰謀論)
ADHDの原因は脳機能障害であり親のしつけとは一切の関係はないし、親の愛情不足が原因でもないし、伝統的育児法で回避できるものでもない(→親学)。まずはそこを覚えてもらいたい。
脳機能の異常によって神経伝達物質に偏りがあることが原因であることと、「DRD4/7R」という変異遺伝子が影響することまで科学的に解明されたものの、個体差があるために具体的なところは遺伝性も含めて詳しく分かっていない。が、親のしつけとは一切の関係はないし、親の愛情不足が原因でもないし、伝統的育児法で回避できるものでもない(大事なことなので二度言いました)。
基本的な対処法としては「出来ないことを叱りすぎずに、出来たことをなるべく褒めること」が重要であるとされている。先述のとおりADHDの子供は普通ならできることができないために自尊心が低く、「自分は何をやってもダメなんだ」という思い込みがある。そこに先生や親の「できないことへの説教」が来るとさらに自尊心が低くなってしまう。
だが出来たことを褒め続けるとまたできるように努力しようとし、また自分がダメなやつという認識を改める方向に動く。そして自分が得意なことを見つけたときに「他のことはできないけどこれだけはできる」という自信につながる。
親の心構えとしては「おむつが取れるのがいくら遅くても、死ぬまでには取れるだろう」ぐらいの気持ちで忍耐強くいてほしいです。基本的な信頼関係が結べていればかなり楽になるはずです。ですから「コイツはダメな子だ、自分の子供じゃない」などと思わずにありのままを見て子供と向き合ってください。褒める際のコツとしては「才能ではなく努力を褒める」ことが良いとされています(才能を褒めると自分が傷つかないようにするが努力を褒めるとより努力をするため)。
また、創造性、熱意、好奇心や興味のある事柄への集中力は高いことから、脳の強みを活かして自分に合った仕事や友人・趣味を見つけることも対処の一つとも言える。
解決策・・・メモ帳を持たせる、「これをやったらこれをして良い」「これをしたらご褒美を上げる」と条件を付ける。そしてその条件は絶対に守る(信頼関係構築のため)。
解決策・・・癇癪を起こしそうかな、と思ったら外に出して思いっきり遊ばせる。いざ起こした場合は放っておき(叱ったりすると逆に癇癪がひどくなることが多く、さらに自尊心が傷つく可能性もある)癇癪が収まりきった時に冷静に対応する(何で怒ったか、次からどうして欲しいかを聞く)。
解決策・・・専用の掛布団を使用する。
以前は最も外見から分かりやすい多動性が年齢とともに落ち着いていくので「ADHDは成長とともに消えていく」と考えられていたが、衝動性や不注意は残ることが近年わかってきた。さらに、子供の頃はしつけや努力不足のせいにされていたために発見が遅れ「大人になって初めて発達障碍だとわかった」という人も多い。
ただ、大人の場合はインターネットなどのデジタルメディアにのめりこむことで引き起こされる依存症や、感情が爆発しやすく制御が効かないゆえにネット上で不適切な書き込みをして批判を受けるなどの問題が多く発生している。一説には衝動性優位型のADHDが非共感的で支配的な養育環境に置かれたままになっていると、境界性パーソナリティ障害になりやすいともされている。
また、郵便物や重要書類等に対して苦手意識があると「先延ばし」にしやすい面もあり、気付いたらゴミ屋敷となっているケースもあったり、確定申告で先延ばしをして深刻化するケースも極稀にある。
発達障害の中では珍しく症状を抑えるための薬が存在する。メチルフェニデートという成分を含む「リタリン」と「コンサータ」、塩酸アトモキセチンを主成分とする「ストラテラ」がある。これらは不注意あるいは多動性優勢型に効果はあるが、衝動性優勢型には効き目が薄い特徴がある。
元々リタリンはADHDそのものではなくそれにともなううつ病治療の名目で使われていた。そんな中リタリンの不用意な処方やオーバードーズ等が問題となり(リタリンは健常者が服用すると麻薬と同じような依存性と幸福感が得られるらしい)ナルコレプシー以外には使用不可能になったとされているが、リタリンを処方されていた患者には引き続き処方されているという話もある。
コンサータはまず2007年に小児向けに認可され、2013年に成人向けにも認可された。リタリンより効き目を穏やかにした徐放剤であり、リタリンと比較して副作用や依存性は少ない傾向にある。
ストラテラはリタリンやコンサータと異なり、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NRI)にカテゴライズされる。中枢神経ではなく前頭前野に作用するため、依存性は極めて低い。2009年に小児向け認可、2012年に成人向け認可。
アメリカではアデラルというアンフェタミン系の薬が承認されているが、日本国内では覚醒剤に指定されているため、所持や輸入は違法となる。
長らく衝動性優勢型に対しての対策はなかったが、2017年3月にインチュニブ(グアンファシン)、2019年12月にビバンセが認可された。こちらは逆に不注意優勢型には効き目が薄いとされている。(なお、ダソトラリンも期待されていたが、開発中止となっている)
ストラテラ及びそのジェネリックや、新薬の一部はネットを利用して個人輸入で入手できるが、元々の薬価がただでさえ高いのに医師の診断や自立支援医療を通さないため更に割高で、なにより自己処方はリスクが高いのであくまで自己責任で。
そして大事なのは薬はあくまで症状を抑えるだけであり、「薬を使ったらADHDの問題万事解決」というわけではない。本人や親の努力の補助をするだけである。
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最終更新:2024/10/07(月) 01:00
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