SCP-1139-JPとは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
SCP-1139-JP | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Safe (推定Neutralized) |
収容場所 | N/A |
著者 | falsehood |
作成日 | 2018年10月8日 |
タグ | オンライン コンピュータ 交換 知識 記憶媒体 通信 電子デバイス 音楽 音波 |
リンク | SCP-1139-JP |
SCPテンプレート |
SCP-1139-JPはインターネット上にアップロードされた動画・音声データに発生する異常現象である。肉声が録音された動画・音声データがアップロードされた際、その声が別人のものに変化する(変化したものを以下では『対象』と呼称する。)。このデータに関しては条件と呼べるものが判明していないが、何らかの「歌唱」を録音したデータに発生している。そしてこれを聞いた人は、対象を『██ ██が歌った曲である』と認識する。
この歌声(SCP-1139-JP-A)については、その人物の特徴が以下のような者と推測されている。
この歌声(SCP-1139-JP-A)を聞いた人間は内容にかかわらず高揚感を覚えることを報告している。
2006/██/██に動画サイト『███████』に投稿された歌唱動画で初めてこれが発見された。以降不定期に現れるこの現象に対して最初は財団も個別にカバーストーリーとして『音源データの破損によるピッチ変化』などを流したり、単純に削除したりして対応していた。だが、発生件数が異常に増加してしまったこともあり、別のアプローチをすることになった。これが、プロジェクト1139-JPである。
財団日本支部音声研究班を中心に、以下の手順の通り特殊な音声合成ソフトウェアの開発、そしてこれを利用した新たなカバーストーリーの流布の実行が決定された。
当時関連ソフトウェアの研究を行っていた███社及び█████・██████・████社の協力を得て、SCP-1139-JP-Aに類似した声質を持つ声優の選定に1年間くらいかかったりしたものの、許容可能期限内になんとかSCP-1139-JP-αの作成に成功。この時点では財団が望ましいと思う性能の付与は達成されていなかったが、「SCP-1139-JPの発生数が多いし、使用方法次第では理想的な性能を見せることもあるのではないか?」ということで不完全な状態で発売し、その後改良を続けていくことが決定された。そして、█████・██████・████社製品としてSCP-1139-JP-αが発売された。このSCP-1139-JP-αは、当初の予想を超えるペースでバカ売れ。想定外の普及速度により、財団流通部門の研究対象となった。経済学的にも先例から逸脱した普及から、『SCP-1139-JP-αの普及はSCP-1139-JPの影響下にあるのではないか?』というごもっともな指摘もあったのだが、現在SCP-1139-JP-α関連業務が財団フロント企業の重要な収入源となっているため、この継続を妨害するあらゆる試みは許可されない。 GOCエージェントがこんな理由を聞いたら卒倒するだろう。
使用者によるSCP-1139-JP-αイメージキャラクター『██ ██』(SCP-1139-JP-α-1。なおこのキャラクター名は先述のSCP-1139-JP-Aを聞いた際に思い浮かべる人物名と同じ)の呼称から、プロジェクト1139-JPはプロジェクト1139-JP"ウタヒメ"に改称。現時点でSCP-1139-JP-αの著しい普及により、プロジェクト"ウタヒメ"はほぼ達成されたと見ているが、SCP-1139-JP-αの衰退でSCP-1139-JPが一般に露見する可能性そのものは否定できないので、SCP-1139-JP-αの最新バージョンの開発は継続されている。
20██/██/██、異常性のあるコンピュータープログラムを流布していた常盤氏(PoI-831)の研究施設を捜査した際に、SCP-1139-JPと関係すると考えられる資料が発見された。1枚のL判写真におさめられた、点滴を受ける若い少女と、彼女が書いたと思われる日記のノートである。写真を元に骨格分析を行うと、SCP-1139-JP-Aと78.2%の確率で同一人物であるという結論が出た。そして、それまで全くの出所不明であったSCP-1139-JP-Aの呼称『██ ██』が、この若い少女がイベントの際に使っていた名義であることが判明したのである。
彼女の日記の内容からするに、彼女は歌手を目指していたこと、そして病に苦しんでいたことがわかる。最初こそかなり生き生きとしていた少女。
20██/02/16
誰もいない部屋くらいでしか発声テストなんてできないから、個室の入院も意外と悪くないかもしれない。音がずれたら恥ずかしいもん。でも、エラーみたいな間違いから「このアレンジの方がいいかも」なんて予想外の発見もあったりするから、けっこう大事かも。[後略]
SCP-1139-JP - SCP財団より,2022/06/02閲覧
しかし若い少女がずっと入院している状態は、やはりしんどくなってくるのだろうか。
20██/07/21
病室にいると、何だか世界が違って見えてくるなあ……随分味気ない感じ。
何もない。何かなあ……草木一本生えない、とまでは言いすぎだけど。そんな感じ。まだ枯れてない井戸にすがってるような。この場合井戸って何だろう。命?[後略]
SCP-1139-JP - SCP財団より,2022/06/02閲覧
20██/08/30
どうして尽くめの毎日。イヤなことばっか。どこかにいいこと無いかな、なんて、もう1人の自分にきいてみる。自問自答なんだか他問他答なんだか。[後略]
SCP-1139-JP - SCP財団より,2022/06/02閲覧
しかしそんな中でも年頃の少女として、恋に興味を持ったり、できるだけ希望を持って生きていこうとしていたようだ。また、友達がイラストを寄せてくれたりもして、それに興味を持ったりもしていた。かなり気に入ったイラストだったようだ。特筆すべきは、そのイラストが、後に財団がイメージキャラクターとして起用したイラストと酷似していたことだろうか。
20██/12/07
[前略]ショートが好きな人、ロングが好きな人って本当にいるのかな? 誰かに見せるために髪切って、次の日に「どうしたの?」ってきかれたりとか。恋をすると目を合わせられなくなるって本当?[後略]
SCP-1139-JP - SCP財団より,2022/06/02閲覧
20██/01/31
[前略]あの雪景色の中、真っ白い舞台で恋に落ちたらステキだろうなー。スキー場で都合よく出会いはないですか。ダメですか。ロマンスの神様はいないみたいです。[後略]
SCP-1139-JP - SCP財団より,2022/06/02閲覧
しかし、彼女は良くなるどころかどんどん悪くなる一方であった。
20██/04/08
[前略]まだ歌いたいよ。
SCP-1139-JP - SCP財団より,2022/06/02閲覧
彼女の日記は全てを引用しない。興味を持った読者諸兄は元ページを読んでいただきたい。
日記の所持者であった常盤氏はSCP-1139-JPの重要参考人として財団のインタビューに応じた。彼女は春鳥という姓の少女。春鳥は歌が大好きで、歌で身を立てることを夢見ていた。しかし、16歳という若さで亡くなったのだった。誰よりも上手に歌を歌う、誰よりも詩を愛する少女。常盤氏は彼女の夢を叶えたいと思った。そこで引き起こしたのはSCP-1139-JPという異常現象であった。彼女の声を素材として、世界中に届ける。常盤氏の行為は善意であろうが、財団は異常である限り収容せざるをえない。収容に協力してくれないなら法的・倫理的に許容されないことも行えると告げる財団職員。しかし常盤氏はあっさりと述べた。「協力はするが、力にはなれない」と。始め方を知っている者が、終わり方を知っているわけでもない。まして、財団がプロジェクト"ウタヒメ"を行ったことで、SCP-1139-JPが隠匿される可能性は否定された。彼女はもう世界に飛び立ったのだ。
常盤氏は先述の通り協力を申し出たので、SCP-1139-JPの開発にかかわる音声研究班に雇用された。後日、彼の端末に、製作者・制作年月が不明の音声データが記録された。常盤氏が作ったものではない、SCP-1139-JP-αによって制作された音声データ。
そこに記録されていたのは――
「ありがとう」
SCP-1139-JP
今更ここで説明する話でもない気がするが、このオブジェクトは『初音ミク』をモチーフにした作品である。日記の日付と内容の一部フレーズは以下のように、その楽曲の投稿日に対応している。(ただしメカクシコードは8/15に設定されている。)
著者falsehood氏いわく、SCP-1139-JP-Aの本名の春鳥とは、鶯の別名であり、鶯には『初音鳥』という異名が存在する。上記には記していないが財団職員の名前は冬鐘。これは「天使の歌姫」の異名をとる観葉植物『ウィンターベル』を漢字に翻案したもの。常盤氏は「復活」の花言葉をもつ「トキワナズナ」から。また『PoI-831』の数字の由来は初音ミクの発売日(8月31日)。関連文書(日記)の番号『82439』は「4」を韓国語の『ネ』と呼んで『はつねみく』である。
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最終更新:2024/12/01(日) 02:00
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