SCP-239とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
| SCP-239 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| OC | Keter |
| 収容場所 | サイト-17 |
| 著者 | Dantensen |
| 作成日 | 2008年11月1日 |
| タグ | シガーロス 人間型 変容 念力 現実改変 生命 知性 自我 |
| リンク | SCP-239
|
| SCPテンプレート | |
Sigurrós Stefánsdóttir (シガーロス・ステファンドッティル) という名前の8歳の少女で、身長1m、体重20kg。金髪で目には灰緑色の陰がちらついている。この少女は今までに未発見の放射線を放射しており、低濃度では無害だが高濃度では対象を素粒子レベルまで分解しかねない。ただし、この能力は彼女のメインの異常性ではない。
彼女の異常性の本質は「現実改変」能力――それも、彼女が望むままにすべてが変わってしまうというかなり驚異的な強さのもの。エッセイ「FAQ;~ヒュームって一体全体なんだ?
」では彼女のヒューム値が「30/500」とされている。ヒューム値とは「自分が持つ現実が、周辺の現実に比べてどれくらい強いか」を示す、もっとひらたく言えば「自分が想像することをどれだけ具現化できるか」を周囲現実との相対値で示したものであるが、周辺現実を30としたうえで自身の現実強度が500というのは、もうなんでもかんでも思うまま、時間もかけずに作り変えられるということになり、財団が収容下においているアノマリーとしてはかなり危険なレベルである。彼女以上の力を持つアノマリーもなくはないが、自我を持つオブジェクトであり能力行使に制約がほぼないという点では上位の現実改変者といえる。
とはいえシガーロスは8歳の少女であるため、財団にとってはありがたいことに、彼女の想像力の及ぶ範囲にしか現実改変は及ばない。現実改変者は認識できる範囲しか改変できないのは当たり前なのだが、なにせ幼い少女の想像力には当然限界があり、彼女の影響を及ぼせる範囲はほぼ周辺現実、ありていにいえば「自分のまわり」だけである。加えて彼女は他の現実改変者とことなり、自分は魔法使いの弟子であるというカバーストーリーを財団から信じ込まされているため (これが通用するのも、彼女がまだサンタさんを信じるお年頃ゆえだろうが) 自分が神々のような存在であるといった尊大な価値観を抱くことはなく、彼女なりの倫理観を持ち合わせている。一度彼女はDクラス職員がうっかり自分を害した際に、どこかにやってしまいたいと感じたことでその存在を消してしまったが、自分のしてしまったことに対する罪悪感を抱いたことでDクラス職員は無事復帰することができた (とはいえこれは彼女が生命を消去したり創造したりできるという危険性を示すものでもあるのだが) 。
彼女は産まれて3時間後にその病院が説明不可能な爆発で破壊された際、唯一の生存者として財団に保護された。彼女が都合よく「自分は魔法使いの弟子なのだ」と思いこんでいるのも、この発見が早いことが幸いしたのだろう。とはいえ、サンタさんの話を聞けば本当にサンタクロースを産み出してしまったりとそれなりには危険なこともしでかしており、クレフ博士からは「いつか財団にとっても制御不可能な存在になり得る」として、SCP-148 (『テレキル』合金) 製の注射針を使用した注射器を用いてSCP-239を終了することを提言した。「確保、収容、保護」をモットーとする財団でも、現実改変者は終了するというのが基本的スタンスであるため、この提言そのものは問題はなかった。
だがクレフ博士はこのとき知る由もなかった。彼女が危険であると提言し、後に自身がそれを実行に移すことさえ、彼女の影響によるものであったとは――。
もあわせて読むことを推奨します。クレフ博士は後にSCP-148で作るものを注射針からなぜかテレキル製の短剣に変更する。そして彼女を助けようとする職員が現れないように、SCP-668 (13インチの包丁) を携行することをも主張した。SCP-668を携行する人が誰かを害しても、他の人は犠牲者を助けようとしなくなる。
ただし、クレフ博士は上級スタッフとは思えない、あまりに低レベルなミスを犯した。というのも、彼はあろうことかこれを平文で送信したのだ。暗号文ではないために、サイト-17――シガーロスが収容されている施設の複数名の職員もこれを読んでしまった。サイト-17の職員はシガーロスと親交を結んでいる者も多く、クレフ博士の行動を阻止しようと動いた。なかでも財団の問題児のひとり、コンドラキ博士が動いてしまったことが後の騒動につながってしまう。コンドラキ博士は財団上級スタッフとしては破天荒な男であり、アノマリーを積極的に利用しようとする、あろうことかそれを組み合わせて自分の専用アノマリーを作り出すなど財団の理念を半ば無視する男であり、そんな彼がシガーロスの「友達」として動けばどうなるか、火を見るより明らかであろう。
この事件は終了した現在でもなお全貌は謎に包まれている。関与した人物のほとんどが発言の信頼性がないか、あるいは事件についての核心部分について黙秘、あるいは比喩的な示唆をするに留まっているからだ。とりわけクレフ博士は顕著で、彼が話している内容のどのくらいの割合が本当であるかわからない。ただ、彼が多くの同僚がシガーロスに同情的でその終了に躊躇を見せていることを「危機感がない」と指摘していること、彼が予定通りにSCP-668を持ち出すことができなかったこと、自身が失敗し、シガーロスに反撃されるか、あるいはシガーロスの「友達」になりさがるとしても、O5や前職場である世界オカルト連合に連絡を取れるようにしていたことは (彼自身は「嘘だ」と嘯いているが) おそらく本当だったのだろう。とにもかくにも、彼はテレキル製の短剣を携えて、サイト-17に突入する。
サイト-17の複数名の保安職員たちがクレフ博士に応戦する。通常であればセキュリティと研究者、どちらが勝つかは推察できようが、このクレフ博士という男はそのへんのセキュリティ担当者よりはるかに戦闘力がある男であり、なんなら前職の世界オカルト連合時代に99人はシガーロスのような現実改変者を地獄に叩き落とし、神すら葬った男であり、セキュリティ担当者程度では分が悪すぎた。しかしそんな彼も、幻覚で行軍を阻害されてしまう。そう、コンドラキ博士が早速SCP-408 (幻想蝶) でサイト全体に幻覚を発生させ、クレフ博士に立ちはだかったのである。どんな戦闘が行われたのかは記載がないが、クレフ博士はII度の熱傷を受けつつもなんとかコンドラキ博士を降して先に進む。
しかしコンドラキ博士も自身の戦闘力がクレフ博士に及ぶとは思っていなかったらしく、多くの幻想蝶はいまだサイト内を飛び回っており、クレフ博士を苦しめる。クレフ博士サイドもそれに対抗するため、いくつかのアノマリーを収容違反させて時間を作り (例えばSCP-091-ARC - 『樹の精霊』を自身に感染させて幻想蝶の統率力を失わせるなど) 、コンドラキ博士がシガーロスを連れ出すのを妨害したが、これによりクロウ教授とギアーズ博士も本件に参加し始める。また、いくつかの意志のあるアノマリーはクレフ博士の妨害をしたりもしているようだ。
クロウ教授はコンドラキ博士の救援のため、SCP-244-ARC (エッグウォーカー) を使用して出陣した。しかしギアーズ博士は思案の末、自身が出陣してもクレフ博士との戦闘で役に立てることはない、ならばそういった荒事はコンドラキ博士やクロウ教授に任せ、自身は別のことをすべきと考えた。彼は、クレフ博士の目的となっているシガーロスのもとに向かった。
やがてクロウ教授はコンドラキ博士に未知の薬剤を注入し、それによって力を取り戻したコンドラキ博士はクレフ博士との再戦に挑むが、此度は圧倒されたクレフ博士は苦し紛れにテレキル製の短剣で応戦を開始する。しかしコンドラキ博士との揉み合いになったクレフ博士はシガーロスについての警告と、自分自身の行動にすらシガーロスが影響している、つまり財団全体がシガーロスの影響下にあることを示唆する[1]。そんな彼のもとに突如「マジックミサイルえいしょう!」という声とともに高エネルギーのプラズマ弾が命中し、テレキル製の短剣は破壊され、更にクレフ博士が倒れるとその目と口から黒い影が現れ、ドラゴンに変質する。
ギアーズ博士はシガーロスに、「クレフ博士は悪魔に乗っ取られた」と説明し、共同でないと発動できない「緊急用スペルブック」の最初の呪文であるマジックミサイルを発動したいと依頼したのだ。事態を終息させるためにその原因のアノマリーを運用するあたり、ギアーズ博士も大分危なっかしいお人である。これによりクレフ博士はなんとか無力化した。そしてクロウ教授がドラゴンと交戦している隙に、ギアーズ博士はシガーロスを連れ出して避難。そして騒動にシガーロスが気を取られているうちに素早く彼女の首筋にテレキル製の注射針で鎮静剤を打ち込んで彼女を寝かしつけた。合理的な判断をするはずのギアーズ博士としては大分博打をうっており、かつ当人は彼女を半永久的に鎮静させるという方法をあまり取りたくなかったことを後に述懐している。ギアーズ博士自身、彼女にはいろいろと慈愛的な感情が芽生えていたのだろう。彼はシガーロスをこのような形でなかば自由を奪うような収容に切り替えざるをえないことに心を痛めながらも、眠る彼女に語りかけた。
……おやすみと、いい夢を見れますようにと言いました。
事件239-B クレフ-コンドラキ - SCP財団
より,2023/01/05閲覧
こうして事態は終息したが、クレフ博士やコンドラキ博士、更に多くのスタッフ (なかにはブライト博士さえいる) が影響下にあったことから、財団はシガーロスの危険性を過小評価していたことを認めざるを得なくなった。現にこの事件によって、サイト-17は半壊し、セキュリティ担当者は8割が負傷、うち3割は長期入院を強いられている。それどころかいくつかのアノマリー及び財団職員は亡くなってしまった。現在、シガーロスは目覚めることもなくすやすやと夢を見続けている――。
なお、かつてシガーロスの収容に際して、彼女が生物を蘇生させるような呪文を試していることをしったクレフは、自身が審問官、大魔道士クレフとして彼女に罰を与えるというカバーストーリーを提示することで彼女を制御しようとしていたことが後に判明した。結果としてこれはシガーロスにクレフ博士が恐ろしいものとして刷り込まれるだけとなったわけだが、他方でそんなクレフ博士をかつてのDクラス職員のように消そうともせず、自身の味方にしようともせず、自身を殺しにこさせるという変化を無意識に起こしているという、半ば不可解な現実改変をもたらしている。
彼女は、薄々理解していたのかもしれない。
自分が「わるいまじょ」になってしまうことに。
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最終更新:2025/12/18(木) 17:00
最終更新:2025/12/18(木) 16:00
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