トリスタン(銀河英雄伝説) 単語

トリスタン

2.4千文字の記事

トリスタ(Tristan)とは、「銀河英雄伝説」に登場する宇宙艦艇である。

概要

銀河帝国軍所属、オスカー・フォン・ロイエンタールの旗艦。艦種は不明[1]

帝国軍では大将以上の将官への礼遇として個人の旗艦があたえられることになっており、<トリスタン>も特にロイエンタールの旗艦として定された艦艇であると思われる。

艦名である「トリスタン」は、ケルトに由来する中世フランスドイツ物語トリスタンとイゾルデ』の主人公と同名。アイルランド騎士モルルト決闘によって倒した人物である。余談ながら、トリスタンはのちにアーサー王物語の円卓の騎士にも数えられているのだが、小説では<トリスタン>突入戦直後のシェーンコップを「伝説にいう円卓の騎士めいて見えた」と形容している。

活躍

初登場は4巻「策謀篇」。帝国489年の“神々の黄昏”作戦発動に際し、陽動のためイゼルローン方面軍を率いたロイエンタール上級大将の旗艦として第九次イゼルローン要塞攻防戦に参加。同盟軍が<ヒューベリオン>を出撃させてきたことに反応して帝国軍の頭に立ったところを衝かれ、強襲揚陸艦の突入を許している。突入してきた兵力は勇猛の“薔薇騎士”連隊であったが、壮絶な兵戦の末に撃退に成功した。

“神々の黄昏”作戦が終結し、ローエングラム朝銀河帝国が成立すると、ロイエンタール元帥に昇進して統帥本部総長に就任し、艦隊指揮官の立場を離れた。しかし<トリスタン>は以降も引き続きロイエンタールの旗艦の任にあり、新帝国2年には回廊の戦いに至るまでの大征にも随行している(戦闘中ロイエンタール総旗艦ブリュンヒルト>に搭乗)。

征終了後、ロイエンタールが新領土総督に任じられたことでハイネセンに駐留。ロイエンタール元帥叛逆事件においても、ロイエンタールは<トリスタン>から新領土治安軍を率いた。しかし、第二次ランテマリオ会戦からの撤退中の12月7日グリルパルツァー艦隊の背信により戦場混乱するなか、磁力の一弾を回避したところで回避方向から飛来した別の弾を被弾する。損傷した<トリスタン>は戦闘力・防御力を大きく失い、跳躍時にもしく振動するほどとなった。ロイエンタールも被弾時の破片により致命の重傷を負ったが、その持から損傷した旗艦を離れることなく、残兵を統率してハイネセンまで帰還を果たしている。ロイエンタール死後の消息は不明。

石黒監督版OVAにおける<トリスタン>

トリスタ
Tristan
所属 銀河帝国ロイエンタール艦隊
銀河帝国 新領土治安
艦種 旗艦級戦艦
オスカー・フォン・ロイエンタール
全長 979m
全高 242m
全幅 235m
乗員 944名

石黒監督OVAでは大旗艦級戦艦として登場。ウォルフガング・ミッターマイヤーの旗艦<ベイオウルフ>は準同艦。曲線的な流線が特徴で、艦首側面の紋章部にはい斜帯が入っている。

帝国487年3月工。それまで標準型戦艦モルルト>に座乗していたロイエンタール中将の旗艦となり、同年10月のアムリッツァ前戦(ビルロスト域会戦)が初陣となった。以降、リップシュタット戦役第八次イゼルローン要塞攻防戦への増援、“神々の黄昏”作戦、大征などの諸戦闘に参加。回廊の戦いにおいても<ベイオウルフ>とともに<ブリュンヒルト>の直近にあった。

第二次ランテマリオ会戦からの撤退中、グリルパルツァー艦隊から攻撃を受けた際に艦中央と後方の左上部に被弾ししく損傷する。この時、破損した艦スクリーンの破片がロイエンタールに重傷を負わせている。

艦艇諸元

最新鋭の技術を惜しみなく投入した試作戦艦<ブリュンヒルト>建造ののち、艦隊旗艦級の大戦艦に、より運用・量産性が高く堅実な形で技術をフィードバックするために様々なタイプの大戦艦が設計された。<トリスタン>も、その一環として建造・運用された戦艦の一隻である。

優美な曲線を描く流線艦首部は、<ブリュンヒルト>で確立された傾斜装甲を採用したもの。これによりエネルギー中和磁場によるビーム偏向効果の増大が見込まれ、艦首方向の防御力はヴィルヘルミナ級旗艦級戦艦に匹敵する。これとは別に、艦首下部には新開発向性防御フィールド発生装置も試験搭載している。攻撃面を担う前部については、通常の帝国艦とは違い<ブリュンヒルト>同様の可動式座を隠顕式で配置。ボールマウント式の採用により広い射界と強大な火力集中を両立させている。

このように新規性に富んだ艦首部の反面、艦尾部の設計ではあくまで旧来の形式を採用。機動性を重視して機関部を左右に分散し、ノイズ回避のため機関部から各種センサを離して設置するために下方へと艦体を突出させた、帝国戦艦に伝統のスタイルとなった。ただし、これら旧来の形式は堅実な反面、艦首部に採用された革新的技術とは運用面で合致しない部分もあり、防御上の弱点が摘されている。

Die Neue Theseにおける<トリスタン>

Die Neue Theseでは旗艦級戦艦として登場する。濃い灰色の外装色が特徴。

全長は1390m。<ベイオウルフ人狼)>とならんで帝国軍第二世代艦の先行試作艦にあたる。武装とシールドを充実させ、攻守の均衡が取れた性を有する。<ベイオウルフ>同様に武装ユニットを換装できるシステムを持ち、劇中ではミサイル中心のユニットを装備している。

先行試作としての<トリスタン>と<ベイオウルフ>の設計は、つづく<ガルフピッゲン>(カール・グスタフ・ケンプの旗艦)と<ヘイムダル>(アーダルベルト・フォン・ファーレンハイトの旗艦)の同2隻を経て量産化され、本伝当時の帝国軍標準戦艦として活躍することとなる。

関連動画

関連項目

脚注

  1. *作中ではもっぱら「旗艦トリスタン」としてのみ表される。
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