地獄堂霊界通信(じごくどうれいかいつうしん)とは、香月日輪による小説作品。通称は地獄堂。
1994年、ポプラ社から刊行開始。(イラスト:前嶋昭人)
2008年より、講談社ノベルスから修正・加筆を加えた完全版が刊行された。全8巻。(イラスト:みもり)
2008年からは「good!アフタヌーン」にて、みもりによる漫画版が連載中。2020年9月現在既刊12巻。
概要
今作が香月日輪のデビュー作。小学生3人組が霊的事件を解決していくホラーファンタジー作品。
1995年には、このシリーズ第1作「地獄堂霊界通信 ワルガキ 、幽霊にびびる!」で第27回日本児童文学者協会新人賞を受賞している。過去にはOVA、映画化もされている。
基本は1話完結で物語が進行。日常シーンではほのぼのとしているが、事件の真相へ迫るごとに雰囲気が少しずつ殺伐としていく。各事件の敵は幽霊だけとは限らず、人間である場合もある。戦闘シーンが多く、時には血みどろの戦いになる事も。
同作者の「妖怪アパートの幽雅な日常」とは世界観がリンクしており、今作で登場した地名などが登場する。
あらすじ
てっちゃん、リョーチン、椎名の3人は、上院町では『イタズラ大王三人悪』(通称:三人悪)として名高い有名人。
ある日、中学生達へ悪戯を仕掛けた三人悪は、"ふたつ池に幽霊が出る"という噂を耳にする。その帰り道、薬屋『極楽堂』(通称:地獄堂)の前で出会った少女の為、地獄堂でお使いをする事になった彼らは、そこで店主のおやじと顔見知りになる。そして椎名の一言がきっかけで、三人悪は噂の真相を確かめようと奮闘する事に。
その過程で、すぐ傍に存在する別世界を垣間見た三人悪は、おやじの元で術師として生きていくことを決意。以降、自らの手で数々の事件を解決していく事になるのだが…。
主な登場人物
三人悪
- 金森てつし - 11歳
- 三人悪のリーダー。通称・てっちゃん。別名は"上院のてつ"。芯が強く、根性も男気もある熱血漢。他の2人と比べて頭は少々悪いが、喧嘩だけは強い。その強さを持ってして、同級生にちょっかいをかけた中高生に悪戯をしかけるなど、仲間思いの一面もある。兄の竜也にとても懐いている。リーダーなだけあって、危険な役に徹することが多い。守護神は「不動明王尊」で、戦闘時には呪札や式鬼神を用いて敵を圧倒する。
- 新島良次 - 11歳
- 三人悪の右腕。通称・リョーチン。別名は"向かいん家のリョーチン"。極度の怖がり&泣き虫だが、とても慈悲深く、誰よりも優しい心の持ち主。ちょっとでも何かあろうものなら凄まじい速さで逃げ出す。あまりの足の速さから、韋駄天と言われている。日課は愛犬・まるの散歩。守護神は「地蔵菩薩」で、戦闘時は主に数珠を用いての守護、霊の説得などを行う。稀に地蔵菩薩を呼び出し、彷徨う霊をまとめて成仏させる事がある。
- 椎名裕介 - 11歳
- 三人悪の参謀。通称・椎名。別名は"一組の椎名"。切れ長の美形、頭脳明晰、物凄い金持ちという要素を兼ね備えてはいるが、ちょっと変人。無表情・無感動・無愛想の"三無主義"。大人だろうとなんだろうと、発言には容赦がない。小学生らしい一面も一応ある。見る・聞く・感じる事に長けており、霊視が得意。守護神は「文殊菩薩」で、戦闘時は主にサポートに徹する。経典片手に攻守をこなすオールラウンダー。
仲間達
- 亜月カンナ - 11歳
- 「森を護るもの」にて初登場。明るく元気な女の子。某事件で日向と出会い、以降三人悪の仲間となる。心はとても広いが、怒ると三人悪も敵わないほど怖い。そして女子でありながら、良次と並ぶ運動神経の持ち主である。征将とは幼馴染であり、小さい頃からその力を見てきた為、霊的な物に偏見が無い。身につけている水晶を通じ、征将と繋がっている。
- 日向
- 「森を護るもの」にて初登場。イラズの森に棲んでいた霊獣(イヌガミ)。登場当初は敵だったが、カンナとの和解後に仲間となる。普段の見た目は、イタチやバサバサ茶髪の兄ちゃん。基本的に気性は荒いが、カンナに対してはとても優しい。現在、ハクビシンとしてカンナ家に居候中。霊力が非常に高く、どんなものにでも変身可能である。戦闘時は肉弾戦に加え、霊獣らしく狐火を使った攻撃などを行う。
- 拝征将 - 11歳
- 「森を護るもの」にて初登場。どこか浮世離れした少年。元々この拝家自体が霊能力者の家系である為、生まれながらにして霊能力者としての道を歩んでいる。更に家は資産家なので金持ち。体が弱い為、学校にはあまり来る事が出来ない。カンナの事を大切に思っており、セカンドシーズン以降は水晶を通じて遠くからカンナへ力を送り、サポート出来るようになる。
- 鳴神流華 - 11歳
- 「魔女の転校生」にて初登場。フランスから転校してきた帰国子女。本名は鳴神・アタリ・流華。気が強く高慢な一面もあるが、本来は至って普通の女の子。カンナとは親友。蒼龍のことを慕っている。グラディオラ家の血を引き継ぐ魔女であり、黒魔術を軽々扱うことが出来る。降霊が得意。使い魔ゾディアックとは生まれた時から一緒であり、戦闘時は使い魔と共に魔術を用いて攻撃に徹する。
地獄堂・協力者
- 妖怪おやじ
- 地獄堂の店主。「ひひひ」と笑い、いつも膝にはガラコを抱いている。確実に異世界の人間なのだが、一体何者なのかは不明。やたら妖怪の類に詳しい。三人悪に力を授けた張本人であり、毎度何かある度にアドバイスや手助けをしてくれる。
- 藤門蒼龍 - 49歳
- 「あの夢の果てまで」にて初登場。容姿端麗、全身黒ずくめの術師。三人悪の師匠的存在。大霊能力者・藤門龍雲の唯一の愛弟子であり、ヨーロッパでは有名人。良次だけ「ソーちゃん」と呼んでいる。年齢の事もあり、度々おっさんだといじられている。降霊や除霊が得意で、戦闘時は術はもちろんの事、神剣『天臨丸』を用いて戦う。ヒーリングも出来る。「妖怪アパートの幽雅な日常」シリーズに"龍さん"として登場しているとかなんとか…。
上院町の住民
- 金森竜也 - 14歳
- 「死に部屋」にて初登場。てつしの兄。上院中の番長。別名・上院の竜。三人悪にとってはよき兄貴であり、よき理解者。趣味は夜の散歩(深夜徘徊)だが、代わりに朝は重い低血圧状態になる。どう見ても半病人。端正な顔立ち、不言不動でクールな性格から女子人気は凄いらしい。てつし達がやっている事には薄々気付いており、非常に心配している。
- 三田村豪 - 25歳
- 上院駅前派出所の名物警官。通称・ミッタン。暴走族の元ヘッド。祥子という彼女がいる。牧原とは高校からの親友。性格は超短気。三人悪(特にてつし)とは相性が悪いらしく、会う度に喧嘩を繰り返している。ただし、兄の竜也には凄く甘い。射撃に関しては全国一に輝くほどの凄腕。度々事件に巻き込まれているが、あまり気付かない。
- 牧原宗士 - 25歳
- 「生霊を追って走る」にて初登場。イラズ神社の新米神官。通称・マッキー。趣味は骨董。三田村とは親友だが、別に自分も不良だったわけではないらしい。でも喧嘩は強い。性格は比較的温厚。神官とはいえ霊能力は無い。三人悪が術師である事を知った最初の人物で、何かに巻き込まれた際は彼らに協力を仰ぎ、解決してもらう。
- 如月麻子
- 「幽霊屋敷」にて初登場。上院小の保険医。可愛くて美人であり、三つ編みのツインテールに眼鏡を掛けている。三人悪には何故か呼び捨てにされている。性格はとにかくポジティブで明るいが、言動は一言多く、ついつい手が出ちゃったりする。でもそこら辺は仕様。何度か事件に巻き込まれるが、恐怖を隠すため更にポジティブに振る舞っている。
敵
- 死神
- 「死に部屋」にて初登場。ファーストシーズン通しての敵。通称・死神ギー。登場以来、度々てつし達の前に現れては対峙する。しかし三人悪や蒼龍の力を持ってしても一筋縄ではいかず、「最後の戦い」では壮絶な死闘を繰り広げることに。
- 暁
- セカンドシーズンの「首斬り鬼」にて初登場。見た目は20代後半、関西弁の兄ちゃん。ただし人間ではない。蒼龍とは顔見知りらしいが、危険視されている。度々てつし達の前に現れるが、その目的は不明。ブランド品の類に詳しい。口が達者で、何故か三人悪と口喧嘩を繰り広げる面白い一面もある。
関連商品
原作1~5巻がファーストシーズン、6巻~8巻がセカンドシーズンとなっている。
原作(完全版)
漫画版
OVA・映画
関連項目
関連リンク
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