魔術士オーフェンとは、富士見ファンタジア文庫などから発売されている秋田禎信(あきたよしのぶ)作のライトノベルである。イラストは草河遊也(くさかゆうや)。
概要
モグリの金貸し兼魔術士のオーフェンを主人公としたファンタジー作品。ただし世界観は一般的なファンタジーとは異なり、一般市民がスーツを着用していたり銃火器や蒸気機関、水道、ガス灯が登場するなど、主に文化・産業で近代的な要素が見られる。
タイトルの「魔術士」は作者の造語で、たまに「魔術師」と間違えられる。作者によるあとがきによると「機動戦士ガンダム」に影響されたとのこと。主人公名オーフェンは「孤児」を意味する英単語 "orphan" から。
比較的シリアスなストーリーの書き下ろし長編「魔術士オーフェンはぐれ旅」と、ギャグ路線の短編「魔術士オーフェン・無謀編」の2シリーズがある。富士見書房のライトノベル誌「月刊ドラゴンマガジン」に1995年4月号から2000年6月号まで連載されていた。
1990年代後半の富士見ファンタジア文庫を代表する作品のひとつで、アニメ、漫画をはじめ様々なメディアミックス展開を見せた。
魔術士オーフェンはぐれ旅
主人公オーフェンとその仲間達の旅、その行く先で起こる事件などを描くハイブリッド・ファンタジー。
富士見ファンタジア文庫から発売された全20巻のうち前半10巻は「西部編」、後半10巻は「東部編」と呼ばれ、時にドタバタも交えつつ比較的明るめな雰囲気(といってもストーリーそのものはシリアスなものが中心となっている)で展開する西部編に対し、東部編ではキャラクターの内面を「絶望」をテーマの一つに描き出す、ややダークな作風となっている。
東部編の終了をもって一度完結を迎えたが、富士見ファンタジア文庫20周年記念として完結作品の後日談を集めるという企画が持ち上がり、その参加作品として東部編後の物語を描いた原稿が書き上げられる。しかし当該企画が諸事情によりお流れに。そこで登場人物名をすべて代名詞に置き換えてタイトルを「あいつがそいつでこいつがそれで」とし、作者サイトの日記更新の穴埋めとして発表された。
この不定期連載が各所で反響を呼び、富士見書房とつきあいのあったTOブックスから完全受注生産の豪華本として出版されることが決定。「あいつがそいつでこいつがそれで」は「キエサルヒマの終端」と改題され、書き下ろし「約束の地で」「魔王の娘の師匠」、更に文庫未収録であった「まわり道」や、同作者の別作品『エンジェル・ハウリング』の書き下ろしなども加わった『秋田禎信BOX』が2009年12月に発売された。
2011年、『秋田禎信BOX』収録エピソードの再書籍化と新シリーズの開始が発表。9月に「キエサルヒマの終端」、10月に「約束の地で」がそれぞれ単行本化(「魔王の娘の師匠」は「約束の地に」に収録)、11月に新作「原大陸開戦」が発売された。以降も新作が数ヶ月おきに発売され、2014年5月に全8巻で完結した。またこれと同時に、西部編・東部編の新装版がTOブックスから毎月1巻ずつ発売された。
なお、作者曰く本作品は元々第1~4部まで設定があり、「西部編」が第1部、「東部編」が第2部、「キエサルヒマの終端」が第2部と第3部の間、「約束の地で」が第3部と第4部の間、「原大陸開戦」に始まる新シリーズが第4部に該当するとしている。
魔術士オーフェン・無謀編
旅に出る前のオーフェンと、無能警官コンスタンス・マギー(コギー)や地人兄弟、コギーの妹ボニー・マギー(ボギー)とその執事キース・ロイヤルらがトトカンタ市で繰り広げる日常(?)を描くドタバタコメディ・ファンタジー。単行本全13巻。
時系列的には「はぐれ旅」の半年ほど前にあたり、「はぐれ旅」のヒロインであるクリーオウは登場しない(存在がにおわされることはある)。
サブタイトルの「無謀編」は単行本1巻発売にあたって当時の担当編集がつけたもので、理由は「毎回ネタが無謀だから」というもの。
無謀編の単行本にはオーフェンの過去などを描いた「プレオーフェン」という書き下ろしが1編収録されており、こちらは作品によっては、ただのドタバタコメディではなくはぐれ旅のようにシリアスな雰囲気を持つものもある。全13話。
書き下ろしの新作プレオーフェンを収録し、ドラマCDが付属した新装版「魔術士オーフェンしゃべる無謀編」が2012年11月から順次刊行された。全7巻。
そのほか
角川ミニ文庫から発売された中編書き下ろし「魔術士オーフェンまわり道」が全2巻、神坂一との合作である「スレイヤーズVSオーフェン」がある。それぞれ絶版および完全予約生産につき、現在新刊で入手することは非常に困難。なお「まわり道」はのちに『秋田禎信BOX』に収録された。
このほか、『エンサイクロペディア魔術士オーフェン』および『エンサイクロペディア魔術師オーフェン無謀編』という、公式な設定資料集的な書籍、また『魔術士オーフェン 私闘編』および『魔術士オーフェン 野望編』という富士見書房が出版していたTRPGシステム「MAGIUS」のサプリメントも発売された。
アニメ
魔術士オーフェン(第1期)
1998年10月~1999年3月、TBS系列で放映。全24話。監督はわたなべひろし、アニメーション制作はJ.C.STAFF。バンダイビジュアルからDVD全9巻が発売されている。
ストーリーは「はぐれ旅」1巻をベースに、はぐれ旅の他のエピソードを加味しつつ独自にアレンジしたものを展開。
主題歌
- OP1(1~16話) 『愛 Just on my Love』 歌:シャ乱Q
- OP2(17~24話) 『君は魔術士?』 歌:シャ乱Q
- ED1(1~13話) 『ラストキッス』 歌:タンポポ
- ED2(14~24話) 『どうしよう』 歌:由香
魔術士オーフェンRevenge(第2期)
1999年10月~2000年3月、TBS系列で放映。全23話。監督・アニメーション制作は第1期と同じ。バンダイビジュアルからDVD全8巻が発売されている。ストーリーは完全オリジナル(第1・2話のみ原作「我が夢に沈め楽園」をモチーフとする)。
主題歌
- OP1(1~11話)、ED(23話) 『そんでもってKISS』 歌:7HOUSE
- OP2(12~23話) 『丸い太陽 -winter ver.-』 歌:太陽とシスコムーン
- ED1(1~11話) 『Love,Yes I Do!』 歌:三佳千夏
- ED2(12~22話) 『甘いあなたの味』 歌:メロン記念日
魔術士オーフェンはぐれ旅(第3期)
2020年1月~同年3月、AT-X、BSフジ、TOKYO MX、WOWOWにて放映。全13話+テレビ未放送1話。アニメーション制作はスタジオディーンが担当する。
2020年4月1日、『魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編』の制作決定を発表。放送時期は未定。
2020年8月20日、キムラック編の原作にあたる小説「我が遺志を伝えよ魔王」の発売日1996年8月20日にちなみ同日PVとともに放送が2021年1月より放送されることが発表され3月まで放送された。全11話。
2022年9月26日、はぐれ旅の第3期「アーバンラマ編」が2023年1月より放送されることを発表。
2023年1月18日よりAT-X、TOKYO MX、WOWOW、BSフジにて放送、続けて4月から同枠にて「聖域編」が放送される。
主題歌
キムラック編
アーバンラマ編
聖域編
漫画
魔術士オーフェンはぐれ旅
「月刊ドラゴンジュニア」で1998年2月号から2000年3月号まで連載。単行本全6巻。作画は沢田一。
原作はぐれ旅1~5巻までをベースに、無謀編などのエピソードも交えたオリジナルストーリー。キャラクター設定の一部などに原作からの変更が見られる。
魔術士オーフェンはぐれ旅MAX
「月刊ドラゴンジュニア」で2002年7月号から2003年4月号まで連載。単行本全2巻。作画は沢田一。
はぐれ旅2巻「我が命にしたがえ機械」をベースに、オリジナルのストーリーを展開。
魔術士オーフェンはぐれ旅ぱろでぃ
「月刊ドラゴンジュニア」で1998年10月から2000年3月まで2~5本ずつ掲載されたオムニバス・ギャグ・アンソロジー。形式は読みきりショートコミックもしくは4コマ漫画。単行本全2巻。参加者は霧賀ユキ、しまんだきよの、東田寛子、トミイ大塚、井原裕士、BENNY's、萩原広世、服部健吾、安倍川キネコ、篠原栄、柚庭千景、羽崎やすみ、鈴木しのぶ、奥谷かひろ、Dr.A。
作品によってパロディ元が原作小説、漫画版、アニメ版のいずれかとなっている。
そのほかメディアミックス
ラジオ・ドラマCD
TBSラジオにて「魔術士オーフェン」のタイトルで放映。第1期は1998年7月から1999年3月まで、第2期は1999年10月から2000年3月まで。いずれもアニメ版の放映に先駆けて放映された。パーソナリティはオーフェン役の森久保祥太郎と、クリーオウ役の飯塚雅弓。
またラジオ内番組として、「無謀編」を原作としたラジオドラマが放映。後にOP・EDやスペシャルトークを追加してドラマCD化された。全2巻。
2005年7月21日には前述の神坂一との合作「スレイヤーズVSオーフェン~史上最悪の邂逅~」をドラマ化したドラマCDが発売されている。
なおこの双方に登場するキャラクターのうち、アニメ版に登場しないコンスタンス・マギー、ボニー・マギー、キース・ロイヤルのキャストはそれぞれ全く異なるキャストが起用された。
ゲーム
『Sorcerous Stabber ORPHEN 魔術士オーフェン』がPS2で2000年8月3日に角川書店/ESPから発売されている。ジャンルは「3DアクションRPG」。アニメ版のキャストによるフルボイス。
また、2012年1月にバンダイナムコゲームスから発売されたPSP用ゲーム『ヒーローズファンタジア』に登場している。
関連動画
関連静画
我が胸で眠れ亡霊
無謀編
プレ編
関連チャンネル
関連リンク
- 「魔術士オーフェンはぐれ旅シリーズ」 特設サイト
- オーフェンPR (@OrphenPR) | Twitter
- 秋田禎信 (@AkitaYoshinobu) | Twitter
- TVアニメ「魔術士オーフェンはぐれ旅」公式サイト
関連項目
- 秋田禎信
- 富士見ファンタジア文庫
- ライトノベル
- 小説作品一覧
- アニメ作品一覧
- 1998年夏アニメ / 1999年夏アニメ
- 2020年冬アニメ / 2021年冬アニメ / 2023年冬アニメ / 2023年春アニメ
- ダイナソア : 主人公オーフェンが使用する呪文の詠唱の元ネタと思われるPCゲーム。なお、「魔術士オーフェンはぐれ旅」本編中に一度だけ、大型爬虫類を意味する言葉としてオーフェンの台詞に「ダイナソア」と言う単語が出てくる。
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