『ぼくのエリ 200歳の少女』(原題: Låt den rätte komma in)は、2008年公開のスウェーデン映画である。監督はトーマス・アルフレッドソン(Tomas Alfredson)。
日本では2010年に公開されたが、同年にハリウッド版映画『モールス』(原題: Let Me In)が公開された(こちらの日本公開は翌年2011年)。
概要
1982年のストックホルム西部の郊外ブラッケバーリ(Blackeberg)の集合住宅に母イヴォンヌ(Yvonne)と二人で暮らす12歳の少年オスカー(Oskar)。学校で毎日同級生によるいじめを受けている彼は、家に戻ると新聞や雑誌から殺人に関する記事を切り抜いては、同級生たちへの復讐を妄想することに明け暮れていた。
ある日の夜、オスカーは父親ホーカン(Håkan)と共に隣室に引っ越してきた儚げな少女エリ(Eli)と出会う。最初こそエリはオスカーに「友達にはなれない」と嘯いたものの、やがて壁越しにモールス信号で遣り取りをするようになり、悩みを打ち明けてエリに励まされたオスカーは学校帰りにジムに寄り筋トレに精を出すようになるのである。
さて、そうした出来事と時を同じくして、町では猟奇的な殺人事件が多発するようになる。やがてオスカーは、エリがそれらの事件に関わっていることに気付いていく……。
スウェーデン語の原題『Låt den rätte komma in』(ロート・デン・レッテ・コンマ・イン)は英語で言えば「Let the right (one) come in」、つまり「正しいモノを入れて」という意味。ハリウッド版の原題『Let Me In』は「私を入れて」。
原作はヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト(Jon Ajvide Lindqvist)による2004年発表の小説『MORSE -モールス-』(原題は映画と同じ)。脚本も小説の著者自身が書いている。ちなみに原題はリンドクヴィストの好きなモリッシーの楽曲『Let the Right One Slip In』が元ネタらしい。
また、エリ役のリーナ・レアンダション(Lina Leandersson)は本作で10の映画賞にノミネートされて内3つの賞を受賞している(ちなみにその3つ全てにはオスカー役のコーレ・ヘーデブラント(Kåre Hedebrandt)もノミネートされていた)。
モザイクと映倫
この映画には登場人物のエリの股間が映るシーンがあるが、日本で上映される際、フィルムに傷を付ける形でモザイク処理がなされた。エリの股間がどうなっていたか…はこの映画では重要なポイントなのだが、日本で本作を見た人間に対してはその部分が隠された形となり、結果としてこの映画を「誤解」することになってしまった。
ライターの廣田恵介はこの件について映倫に質問状を送ったのだが、曖昧な回答しか返ってこなかった。[1]
ハリウッド版
『モールス』(原題:Let Me In)マット・リーヴス監督・脚本で、アメリカでは2010年、日本では2011年8月5日に公開された。
ハリウッド版は、企画自体は先行映画公開の1年前から動いており、製作サイドも先行作の焼き直しや再生産とは位置付けていないため、リメイク版等と呼ばない方が適切である。
しかしながら企画当初は監督に先行作の監督がオファーされていたものの、あっさり「同じ映画は撮れない」と断られた上、リメイク(≒自作の改良)にも繰り返し難色を示されたという経緯もあったりする。
アメリカ市場向けに舞台がニューメキシコ州の雪深い田舎町に、オスカーとエリもオーウェン(演:コディ・スミット= マクフィー)とアビー(演: クロエ・グレース・モレッツ)になったりと細かい変更はあるが、軒並み原作の精神を踏襲した作りにはなっており、原作者リンドクヴィストも先行作と並んで「拙作を尊重した翻案」と評価している。
関連動画
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関連項目
- 映画の一覧
- 映倫
- 公式サイト(http://www.bokueli.com/) ※リンク切れ
- ハリウッドリメイク版の公式サイト(http://morse-movie.com/)※リンク切れ
- さよなら絵梨
脚注
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