概要
1949年にカリフォルニア大学バークレー校で最初に合成された事からその名がある。
カリホルニウムは研究用以外のまともな用途がある最も重い元素であると言える。252Cfは約3%が何もしなくても核分裂をする自発核分裂を起こして中性子を放出するので、原子炉の点火材や非破壊検査用の中性子源として用いられる。ウランやプルトニウムも自発核分裂を起こす同位体があるが、252Cfと比較して確率は10万~100億分の1と極めて低いため、中性子線を用いるには252Cfの方がより適している。
カリホルニウムは高濃度のウラン鉱石において天然で生成しうるが、その量は極めてわずかであり、実質的には無視される。
「世界一高価な物質」か?
カリホルニウムを上記の用途で使う場合、その量はµgオーダーである。主要生産元はオークリッジ国立研究所であり高中性子束同位体生産炉である。その研究所の資料によれば、252Cfの場合$60/µgであるため、1gの価値は単純計算で72億円の単位となる。別の同位体の249Cfは$185/µgなので1gは222億円となる。
ただし、インターネット上で言及される「世界一高価な物質」という表現は多少正しくない。同資料ではバークリウムの同位体の249Bkで$185/µgと249Cfと同じであるが、カリホルニウムはもっと安い同位体があるのに対しバークリウムはこれが最安値である。もし最も安い同位体で比較するなら、バークリウムの方が高い物質となる。もっと珍しい同位体やもっと重い元素となれば加速器を用いるしかないため同じ質量当たりの生産コストは跳ね上がるが、これで比較するのはやや天邪鬼的である(ただの金塊と超精密な加工を施した鉄製品の価値を質量当たりで比較して「鉄の方が高い」と言うようなものである)。よって一定の生産体制がある元素ではバークリウムが「世界一高価な物質」と考えられる。(「ギネスブックによれば1g700億円である」という資料は筆者には見つけられなかったのでもしあれば追記お願いします。)
核爆弾
カリホルニウムは核分裂が連鎖反応を引き起こすのに必要な臨界質量がウラン235の12kg、プルトニウムの4kgと比べてわずか数gと極めて少ない。そのため超小型の核爆弾をつくることができる可能性があり、実際に研究された事があったようだ。その気になれば対物ライフル弾にも核爆弾を仕込む事が出来ると言われている。SFの世界でも携帯可能な小型核爆弾としてしばしば登場するが、実際問題製造する事は可能なのだろうか?カリホルニウムの生産には上記の通り膨大なコストを要する。結論を言えば超小型核爆弾は製造は可能かもしれないがコスト面で割にあわず兵器としては使いものにならないと考えるのが現状であろう。
関連項目
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