シャンパンファイト (champagne fight)とは、スポーツの表彰式に於いて表彰台に上がった選手や関係者に対しシャンパンを掛ける行為のことである。
なお、この記事では類似する「ビールかけ」についても解説する。
シャンパンファイト
スポーツの競技後、表彰台に上がった選手や関係者に対し、シャンパンを思いっきり掛け合い、喜びを表現したり活躍をねぎらう行為。
F1世界選手権やル・マン24時間耐久レースなどのモータースポーツの表彰式で行われるものが有名である(動画)。
起源については諸説あり真偽は定かではないが、ナポレオン・ボナパルトがシャンパンが勢いよく吹き上がる姿を気に入り、愛飲していたモエ・エ・シャンドンを使用し戦勝記念に行ったのが始まりとされている。
これをスポーツ界で定着させたのは1950年、メジャーリーグの・セントルイス・ブラウンズ(現ボルティモア・オリオールズ)が年間100敗を阻止した際に行った説や、1965年(1967年とも言われている)ル・マン24時間耐久レースで優勝したドライバーが観客に浴びせた説がある。
一般的に表彰式でシャンパンファイトが行われる場合、使用されるシャンパンは主催者が用意するのが慣わしである。特にF1世界選手権のような大規模なイベントの場合はシャンパンメーカーがスポンサーに付くケースも多い。
(ちなみに、イスラム圏での開催時は戒律で飲酒が禁止なため、ローズウォーターを用いる)
またメジャーリーグでは「一人2本まで」「掛けるのみで飲んではいけない」「ノンアルコール限定」「シャンパン以外はスポンサーであるバドワイザーのビールのみ」といった厳密なルールが定められている。
また、スポーツによってはシャンパン以外のものを使用するケースもある。
NFLやNBAではスポーツドリンクのゲータレードをタンクごとかける「ゲータレードシャワー」(画像)、スーパーフォーミュラや全日本ロードレース選手権では「発泡日本酒」(画像)、インディ500では「牛乳」(画像)を用いる。
地域に根ざしたものを使用するケースもあり、J2昇格時にザスパ草津が「温泉のお湯」を掛け合ったり、愛媛FCが「ポンジュース」を使用したケースもある。
またシャンパンを用いないもので、日本で最も有名なのは「ビールかけ」だと思われる(後述)。
ビールかけ
シャンパンではなくビールを掛け合い喜びを表現したり、労をねぎらう習慣。
プロ野球などで優勝した際やクライマックスシリーズ制覇時、日本一になった際に行われる。
起源は1959年に南海ホークスが日本一(リーグ優勝時の説もある)になった際、上述のシャンパンファイトを参考にてビールをかけたのが始まりとされている(それまではせいぜい乾杯する程度)。
以降日本プロ野球の伝統的な風習として定着し、優勝したチームの一つのお楽しみとして優勝祝賀会の恒例行事となっている(画像)。
大抵の場合、ホテルのホールや球場の駐車場などを貸し切り、TV局の中継される中アナウンサーやインタビュアーたちも巻き込み盛大に喜びを爆発させる。
日本一の時以外は基本的にシーズン中であり、翌日も試合があることがほとんどなので体温くらいの温度のぬるいビールを使用するのだが、慣れていないチームはキンキンに冷やしてしまい、翌日以降体調を崩すというケースもよく見られる。
高卒ルーキーなど未成年の選手には、ビールをかけないようにしつつ、仲間たちから炭酸水をかけて代用したり、ノンアルコールビールを使用したり、ビールのかからない位置での見学など配慮がなされている。
ちなみに、ドイツの強豪サッカークラブであるバイエルン・ミュンヘンも、ビールの本場バイエルン州を地元にしているため、優勝したときにピッチの上でビールかけを行う(画像)。
シャンパンファイト呼称問題
シャンパンとはスパークリングワイン(炭酸入りブドウ酒)の一種で、フランス・シャンパーニュ地方で生産されたものだけが、その名で売り出すことができる。シャンパーニュ地方以外で生産したスパークリングワインを「シャンパン」と称して販売すると、フランス政府から抗議がやってくる。
MotoGPの表彰式ではスパークリングワインのぶっかけあいが恒例となっているが(画像)、2018年以前はカヴァ(スペイン・カタルーニャ州のスパークリングワイン)のコルドン・ネグロ、2019年以降はスプマンテ(イタリア北部のスパークリングワイン)のプロセッコを使っている。それゆえ、MotoGPにおけるぶっかけあいをシャンパンファイトというのは厳密には正しくないのだが、視聴者などはあまり気にせずに「シャンパンファイト」と呼んでいる。
F1世界選手権では、1985年頃から1999年までモエ・エ・シャンドン、2000年から2015年までG.H.マムのコルドンルージュ、2017年から2019年現在はカルボンが表彰式のぶっかけあいに使われた。これらはいずれもフランス・シャンパーニュ地方で生産されたシャンパンなので、F1公式実況も表彰式において堂々と「シャンパン(champagne)!と表現している。
ちなみに、2016年のF1世界選手権において、オーストラリアのこの場所に本社を持つドメーヌ・シャンドン社がシャンドン・ブリュットを提供していた。これは、シャンパンと呼べない。このためF1公式実況も表彰式で「セレブレーション(celebration)!」と言い換えていた。
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