牛乳(ぎゅうにゅう)とは、牛の母乳の事である。牛から絞った生乳を飲料用として加工した製品。
曖昧さ回避
概要
牛乳は栄養価がきわめて高く、健康飲料品の一種として広く利用される。
また牛以外の動物の乳は牛乳とは呼ばれない。例えば、ヒツジの乳は羊乳と呼ばれる。しかし英語のmilk(ミルク)は、牛以外の乳も含む。
牛乳を取る牛の種類としては、ホルスタインやジャージー牛など、「乳牛」と呼ばれる種類を使うことが多い。
牛を飼っている人は搾りたてをそのまま楽しむ事もできる。牛乳を使った料理もたくさん存在する(例:ヨーグルト、チーズ、バター、クリーム)。ただし、酪農家で育った子供の多くは「子供の頃から飲みすぎて嫌いになった」「リアルな牛の搾乳をイメージしてしまって気持ち悪くて飲めない」という人も少なくない。
属性としては動物性であるが、主となる生物の殺傷を伴うことなく得ることが出来ることから、ベジタリアンでも牛乳(乳類)は喫食可とする流儀があり、「ラクト・ベジタリアン」と呼ばれる。
が、身長の伸びにはあまり大きな影響はないことが分かっており、低身長ロリヒロインが頑張って牛乳を沢山飲むのは、実は殆ど効果が無かったりする。牛乳には良質なカルシウムが含まれているとされるが、海外で長期間に渡って追跡長っした結果、牛乳を飲む人と飲まない人では骨密度にほぼ差がないという調査結果が報告されている。
製品ができるまで
現代日本では、比較的デパートやコンビニで気軽に購入することができる。
日本国内で販売されている牛乳は、すべて国産100%である。
さらに生乳以外のもの(水も含む)を入れると牛乳とは表示できなくなる(法律で決まっている)。
- 各牧場へタンクローリーが赴き、生乳をタンクローリーのタンクへ入れる。このとき、生乳の量・異物確認をする。
- タンクローリーが牛乳工場に着くと、工場内の1~3℃に冷却されたタンクへ清浄しながらタンクに入れて貯蔵していく。
- 生乳の検査をし、乳脂肪・無脂乳固形分・細菌数・風味などを検査し、合格したものが牛乳などの乳製品の元として利用できる。
- 生乳の脂肪は大きさの違う粒(脂肪球)があるため、生乳をホモゲナイザーという機械に通し、脂肪球を細かくし、口当たりを滑らかにするため均質化する(ノンホモジナイズ牛乳の場合はここの機械は通さない)。
- 熱を加えて殺菌する。殺菌の時間と加熱温度の違いにより、「高温殺菌牛乳」と「低温殺菌牛乳」がある。
- 加熱殺菌したら、すぐに5℃以下の冷蔵タンクに移し冷やす。
- 冷やした牛乳を機械で容器につめていく。現在は衛生面などの観点から紙パックが主流だが、ビンにつめていくメーカーや牧場もある。途中、ちゃんと封がされているか機械を通してチェックし、合格したものは5℃以下の冷蔵庫などで保存される。
- 製品となった牛乳は乳脂肪・無脂乳固形分・細菌数・風味などを法律で決められている規格に合っているかどうか検査する。そのあと、保冷トラックに積まれて出荷。スーパー、コンビニなどの店頭に並ぶ。
雑菌により痛みやすい特性上、飲んだあと蓋をして常温で持ち運びやすいペットボトル容器での販売は法律で規制されていた。2007年からは飲みきりやすい小容量(350ml以下)か、持ち運びにくい大容量(720ml以上)に限り、保存方法や飲み方を表示することでペットボトル入り牛乳の販売が許可されている。
沖縄県ではアメリカ統治下時代に米国メーカーがクォーターガロン(946ml)で牛乳を販売していたため、現在も946ml入りの牛乳が販売されている。
殺菌方法
高温殺菌
一般的に市販されている牛乳は高温殺菌したものが多い。生乳を72℃以上の高温、15分以下の短時間で殺菌する方法。日本の大手乳業メーカーでは、120~150℃の超高温で1~3秒間殺菌する「超高温殺菌」という方法で作られている。
低温殺菌
生乳を65℃以下で30分ほど加熱して殺菌する方法。ミルク本来の味わいがあるものの、日持ちしないことが難点。
栄養成分
一般的な牛乳100gの場合。
- ビタミンB2・・・0.15mg
- ビタミンB1・・・0.03mg
- ビタミンA・・・120IU
- カリウム・・・150mg
- ナトリウム・・・50mg
- 鉄・・・0.1mg
- リン・・・90mg
- カルシウム・・・100mg
- たんぱく質・・・3.0g
- 脂肪分・・・3.5g
- 糖質・・・4.6g
- 水分・・・88.2g
種類
ノンホモジナイズ牛乳
脂肪球の大きさを揃える工程を通さず(生乳をホモゲナイザーという均質化する機械に通していない)、そのまま殺菌した牛乳。飲むとややザラザラ感がある。
なお、一般的に市販されている牛乳は、ホモゲナイザーという機械に通し、均質化されている。森永乳業の牛乳や乳製品には擬人化された太陽のキャラクターが描かれており「ホモちゃん」と呼ばれるが、これは元々「森永ホモ牛乳」のイメージキャラクターであった。生物由来ゆえ品質にバラつきのあった牛乳を均質化(ホモゲナイズ)した商品として提供できるようになったことを記念して制定されたキャラクターである。
ロングライフ牛乳
頭文字をとってLL(Long Life)牛乳とも呼ばれる。長期間保存できるように、超高温で滅菌する。容器も空気・光・微生物が入らないように、何層も重ねた特殊な容器を使用する。封を切らなければ、2~3か月は保存可能。
ローファット牛乳(部分脱脂乳・加工乳)
生乳から脂肪分の一部を除いたものは部分脱脂乳のくくりに入る。見方を変えれば「脂肪分をバター等に使った残りの成分を利用している」ことになるため、無加工のものより安い場合が多い。生乳に脱脂粉乳を加えて脂肪分を低くしたものは加工乳のくくりに入る。脂肪分の「まろやかさ」は若干失われるが、脂肪以外の栄養価は高い。加工乳は、生乳に脱脂粉乳・クリームなどの乳製品を混ぜたものを指す。
乳飲料
厳密に言うと牛乳ではない。生乳・乳製品以外のものを入れて作られているものを乳飲料という。コーヒー牛乳やフルーツ牛乳などが乳飲料のくくりに入る(入らない場合もある)。
体質不適となる場合について
高栄養価で有効である一方、母乳類は多くの免疫物質等を含む機能性飲料でもあり、またたんぱく質をきわめて多く含む飲料であることから、体質によっては飲用できない場合がある。これは個人の好き嫌いとは別次元の話であり、周囲、特に教師等は注意が必要である。
乳アレルギー
体質不適の中でも最も有名な例の一つ。その名のとおり、飲用によってアレルギー症状を発する例である。かつてはアレルギーと言えば卵のもののみがよく知られていたが、その後の研究により多種多様なアレルゲンによるアレルギー症状が確認され、現在では乳アレルギーはよく知られた症状の一つとなっている。
料理の食材として使用した例でも発症することがあるため、現代では卵、小麦、ソバ、落花生と並んでアレルゲンとしての表記が義務付けられている。
なお、場合によっては食事療法によって軽減が可能である場合がある。詳細は医師に相談されたし。アレルギーは症例によっては生命にかかわることがあるため、絶対に個人的な判断で食事療法を行ってはいけない。
乳糖不耐症
牛乳の成分の一つである乳糖(ラクトース)の消化がうまく出来ない体質のために発生する症状。飲用によって嘔吐や下痢などの消化器症状を引き起こす。
かつては上記乳アレルギーの一種であると考えられていた。先天性である場合は母乳の摂取ができなくなるため致命的となるおそれがあるが、症状が軽度である場合等は多くの場合生命にかかわるような症状にはならない。乳糖不耐症を持っているものの、自覚症状のないままに成長する例も少なくない。また先天性でなくとも経年により乳糖消化能力は低下するが、先天性でない場合は定期的に乳製品を取っていると消化機能が多少維持され易いようだ。
なお、哺乳類には成体となった後は乳糖不耐症になる生物は少なくなく、成体になっても乳汁を飲むことができるヒトは生物的には稀有な例である。
牛乳は危険だとする主張
世の中には牛乳は健康に悪い、と主張する人がいる。その人達による主張は『牛乳害悪説』と呼ばれる。元々は牛乳を多く摂取していた欧州で、動物性蛋白質の摂取をタブーとするガチのベジタリアンを中心に喧伝されていた理論であるが、日本にも流れ着いてごく一部のヤブ医者や牛乳嫌いな人たちがこの主張を行っている。
この説には雑多な内容が含まれる。例えば『牛乳を飲むと逆に骨がもろくなる』『前述の乳糖不耐による軽度の健康阻害が生じる率からくる相対問題』など。その他いろいろとあるが、一纏めにすると『牛乳を飲むと健康に悪い』という結論に尽きる。が、牛乳やその加工品が健康に悪影響を及ぼすというまっとうな研究は存在していなかった。
が、2014年秋に一つの論文が欧州でかなりの権威がある医学誌にて発表された。その内容は『牛乳を飲むと寿命が短くなる』というセンセーショナルなものだった。この論文が発表されるや否や、牛乳害悪説を唱えていた論者はここぞとばかりにヒートアップした。
ただ、この論文、ちゃんと読むと牛乳害悪説を必ずしも肯定する内容ではなかった。この論文では『1日コップ3杯以上の牛乳を飲むと悪影響』としている上、『健康的でない人ほど、牛乳の効果を頼って沢山飲む』というバイアスがかかっていることも明らかにしている。そもそも飲用水の硬度が非常に高く、ただでさえカルシウム摂取量が多い欧州での研究と、慢性的にカルシウムが不足しやすい日本人とでは、バックグラウンドが全く違うという事実も指摘しておかなくてはならない。
その他、一部研究では牛乳摂取量と1型糖尿病発症の関連性の指摘はあるが、かなり微々たる影響である様子。その一方、2型糖尿病発症予防に乳製品が有効とする研究もある。牛乳は健康に良くないという主張にはやはり、裏付けはないというのが事実だろう。
どんな食品もほどほどであればいいのである。
関連動画
関連項目
- 牛
- 乳
- ミルク
- おっぱい
- 乳製品
- カルシウム
- ラムスデン現象
- 農協牛乳
- コーヒー牛乳
- カフェオレ
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