概要
一般的に黒もしくは紺色のワンピースにフリルがたくさんついた白いエプロンの組み合わせが一般的である。…が、たまにピンク色のメイド服なども見かけるなど、店舗・作品等によってスカートの丈やデザイン・装飾品は差異がある。
サブカルチャー、特にオタク文化において好まれる服装の一種で、男女問わずコスプレで着用している者も多い。
成立の経緯とヴィクトリアンメイド
メイド服の歴史はそこまで古いものではない。19世紀中頃あたりが興りと考えられる。
メイドには本来決まった制服はなかったが、マナーとして「貴婦人がメイドを連れている際にメイドの方に声を掛けてはならない」とするものがあった。そのため、貴婦人とメイドの区別が誰でもできるよう、服装の差別化が求められたのが始まりである。
もっとも特に何か定められた決まりがあったわけではないが、一般的にエプロンやキャップなど、作業用の服装としてわかりやすいモチーフを取り入れることで、誰の目にも使用人であることがわかるようにデザインされた。
現在ヴィクトリアンメイドと呼ばれるロングスカートのタイプのメイド服は、この流れで19世紀後半頃、イギリスで午後用に用いられていたものが該当するらしい。現在の日本でも一部メイド喫茶などでヴィクトリアンメイドタイプの制服が採用されている場合がある。
フレンチメイド
現在日本でイメージされるタイプのメイド服は、フレンチメイドと呼ばれるものに近い。イギリスで生まれたメイド服が、アメリカやフランスに伝播していく中で生まれたとされている。
本来メイド服に求められた「使用人の作業着」としての意義が薄れ、装飾が多く露出も増えたものである。具体的にはミニスカート、網タイツ、ノースリーブやパフスリーブ、果ては布ではなく革を使ったボンデージの要素を持つようになったりと、著しく性的な方へ傾いてしまった。だがそれがいい。
ただし、この場合イギリスでいう「フレンチ」とは、単に「フランスの」という意味だけでなく「下品で性的な」という意味を持っていることに留意する必要がある。
実際にはフランスのメイド服も基本的にイギリスのものとさほど変わらなかったとされていることから、フレンチメイドがフランスで生まれた可能性はあっても、当時からフランスで一般的だったとは考えにくい。
そして日本へ……
日本ではイギリスと同じ使用人としてのメイドの文化そのものは根付いていないが、20世紀終わり頃からのサブカルチャーの隆盛、その一分野として、メイド服の意匠を取り入れた喫茶店(→メイド喫茶)やキャラクター、コスプレイヤーなどが大きな支持を得るようになる。
このメイドブームにおいて日本のメイド服は単なるフレンチメイドの輸入デザインではなく、ヴィクトリアンメイドも含むメイド服の要素と、有名なアンナミラーズをはじめとするウェイトレスや女給の制服などと相互に影響し合って現在のスタイルを確立していった。また、似た要素の多いロリータ・ファッションやゴシック・アンド・ロリータ(ゴスロリ)等の別のファッション、あるいは漫画的なエロい要素、さらには和服やチャイナ服を掛け合わせたメイド服など数多くの派生型を生んでいった。
さらに、男性の萌えの対象だけでなく、女性からも「かわいい服装」「着てみたい」と人気を得ていたりする場合もある。男性からも「着てみたい」という者もいたりするが。
これら日本育ちのメイド服が、漫画やゲームなどのサブカルチャーによって海外へ発信された結果、現在海外ではこれらをフレンチメイドと区別して「ジャパニーズメイド」と呼ぶ向きが強い。
漫画やアニメ作中においても、ヒロインが着たり着せられたり、一部の都会や秋葉原を象徴するシンボルのひとつとして用いられる場合もある。
デザインの特徴
エプロンドレス
メイド服の象徴ともいえるエプロンドレスだが、それ自体はメイドの専売特許ではない。『不思議の国のアリス』のアリスや、『東方Project』の霧雨魔理沙など、メイドとは無縁なキャラクターが着用している例も多い。
実は西洋では子供服としても伝統的なものであり、ロシアでは現在も子供の正装として用いられることがある。本来装飾用であったフリルがメイド服で多用されているのは、この子供服たるエプロンドレスが源流になっているためである。
メイド服誕生の経緯を考えると、作業時に着るエプロンを採用したのは使用人の服のデザインとして自然なことと言える。なお、このアイデアはシスターが作業をする際、修道服の上からエプロンを着たスタイルが大元であるとする説がある。
ホワイトブリム・モブキャップ
ホワイトブリムは、メイドさんが頭に乗せている謎のフリフリカチューシャ。これもメイド服の象徴である。
これは本来「モブキャップ」と呼ばれる、頭をすっぽり覆えるひだ付きの柔らかい帽子(この記事トップのお絵カキコで描かれている)で、髪が邪魔にならないようにする室内用・作業用の帽子であった。だがそれがいつの間にか簡素化されて、その帽子のつば(ブリム)部分だけがヘッドドレスとして残ってしまったのである。
なおモブキャップの形状をした帽子は現在でも食品加工業や精密機器組立業の従事者、給食当番などが、やはり髪が混入したりしないように使用している。
ワンピース
色は黒や濃紺が用いられることが多い。あまり華美でなく地味な色合いであることで、やはり貴婦人との差別化が図られている。
現在の日本では本来の意義は薄れており、ピンクや水色などの派手な色のワンピースを用いたメイド服も珍しくない。
この黒いワンピースが白いエプロンとモノトーンを成すため、しばしばメイド服はゴスロリと混同されるまたは融合する場合があり、双方の愛好者から色々言われていたりいなかったり。
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関連項目
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