ユニバーサル横メルカトル図法とは、地図の図法の一つである。UTM図法ともいう。
概要
地球は球面であり地図は平面であるので、地球を完全に地図で表現することはできず、角度、距離、面積のどれかが違ってしまい、唯一完全の地図というのは存在しない。そのため、利用目的によって様々な図法が考案されている。UTM図法もそんな図法の一つである。
Googleの暗号を解いたというニュー速民が解法のヒントとしてあげていたユニバーサルメルカトル図法は多分これのことを言おうとして間違えたのであろう。暗号を解いたというのは結局ただの釣りであったようだ。なお、Googleマップで用いられているのはUTM図法ではなく、ただのメルカトル図法である(ただし、ミラー図法であるという説もある)。
「このミステリーがすごい!」で1位を取った平山夢明の短編集『独白するユニバーサル横メルカトル』の表題作は、この図法で描かれた地図帖が語り手となるミステリーである。詳しくは当該項目を参照。
作成方法と歴史
ベルギー(当時はフランドル)人の学者ゲラルドゥス・メルカトルは1569年に画期的な図法を発表した。メルカトル図法である。メルカトル図法の最大の特徴は正角図法であることである。正角図法とは角度が正しい図法のことで、2地点間を結ぶ直線と経線のなす角度を求めて、一方の地点からコンパスを用いてその角度を維持しながら進めば地図上でも直線上に進む。このため、メルカトル図法は航海図によく用いられる。
メルカトル図法の作成方法は次のとおりである。まず、地球に赤道に接するような円筒形を考える。そして、地球の中心から地球表面のある地点に向けて光を発した時に、その光が円筒形と交わったところをその円筒形上での地点の位置とする。この円筒形を縦に切り裂くと長方形の地図が出来上がる。最後に正角図法になるように縦横の縮尺を調整して出来上がりである。
メルカトル図法はその作り方の性質上、北極と南極を表現することができない。それだけではなく、高緯度では長さが異常に拡大され形が歪んでしまう。UTM図法はそんなメルカトル図法の欠点を克服するために考案された。
UTM図法では、地球を6度ごとの緯線で切り、60のゾーンに分割する。そして、そのゾーンごとに横向きの円筒形に投影する。投影方法はメルカトル図法ではなく、ガウス・クリューゲル図法を用いる。ガウス・クリューゲル図法では地球を球体ではなく回転楕円体としており、また円筒形も地球に接したものではなく、一部が地球の内部に入るようなものを用いて歪みを少なくしている。なお、UTM図法でも北極と南極の近くは除かれている。
ゾーンの異なる地図については繋ぎ合わせることはできないが、同じゾーン内の地図であれば繋ぎ合わせることができ、歪みも少ないので中縮尺の地図に用いられている。国土地理院発行の地形図でも1万分の1、2万5千分の1、5万分の1、20万分の1(北海道を除く)で用いられている。
1929年にドイツでガウス・クリューゲル図法を用いた地形図が初めて作成され、1935年には旧ソ連でも作成された。第二次世界大戦中連合軍において作戦のための統一的な図法が必要となり、旧ソ連で採用されていたガウス・クリューゲル図法を用いてUTM図法が作られた。そして、これが契機となって世界中に広まった。
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