Su-57とは、ロシアで開発された長距離多用途戦闘機である。
概要
PAK FA(前線空軍向け将来航空複合体)計画に基づいて開発が行われた(PAK FAとはロシア語の「Перспективный Авиационный Комплекс Фронтовой Авиации」をラテン文字転記した「Perspektivnyi Aviatsionnyi Kompleks Frontovoi Aviatsii」の略称である)。
当初、機体の呼称には計画名称の「PAK FA」あるいは設計案の「T-50」が用いられていたが、2017年8月に「Su-57」という制式名称が与えられている。
現用のSu-27系やMiG-29系の後継となる戦術戦闘機計画であり、ステルス性と超音速巡航能力を持つ第5世代ジェット戦闘機としてF-22やF-35、中国が開発中の将来ステルス戦闘機の対抗馬となるものと目されている。アメリカ以外が開発する初の実用ステルス軍用機であり、そのステルス性能が注目されているほか、推力変更ノズルや超音速巡航、新型のAESAレーダーや主翼・機体にレーダー素子を埋め込む「スマートスキン」などの新機軸が盛り込まれる予定である。
量産がどこまで進んでいるのかは、ロシアからは発表されていない。
開発
設計はスホーイの設計案T-50を採用、2010年1月末に試作機が初飛行し、その様子が公開、2012年末までに4機の試作機が飛行した。
試作1号機の初飛行時には新型のレーダーは搭載されておらず、機体そのものもリベットむき出しの無塗装であるなど、荒削りな部分も多かったが、後に直線を基調としたグレー系のスプリッター迷彩塗装が施された。エンジンは当初既存機の流用ではないかと言われていたが、エンジン製造元のコメントによるとPAK FA向けに新規開発されたものが搭載された模様である。公開された映像から見るにステルス機らしいシャープなフォルムとどことなくロシア機らしい無骨さ、フランカー譲りの隠しきれないエロさ優美なラインなど全体にけしからん仕上がりとなっており、その完成度の高い外観にはファンも多い。試作3、4号機からはアビオニクスの中核をなすSh-121AESAレーダーシステムの試験も始まり、機首側面および主翼前縁にレーダー素子を搭載しての飛行試験が行われている模様。
インド
「PAK-FA」を開発するメーカーがスホーイ社に決まったのは2002年だった。2003年以降、エネルギー資源輸出でロシアの財政は好転しつつあったが、それでもPAK-FAにかけられる開発費は60億ドル以内だった(F-22の開発では700億ドル以上つぎ込まれた)。しかもロシア政府は開発資金の全額を負担しそうになかったので、スホーイはインド政府に開発資金の半額の出資を呼びかけた。30億ドルを負担するかわりに、インドがロシアと共にSu-57の最初の装備国となる。そうすれば、例えチャイナがJ-20等を開発してもインドの防空に不安はなくなるだろう…という話に、インドは2007年に乗っている。その後開発コストは上昇し、インドの負担予定額は80億ドルまで上昇した。しかもインド側が機体の技術情報にアクセスできるという特約があるのに、ロシア側はその約束を守っていないという。[1]
JDW誌(2018年4月)の報道によると、インドはロシアと11年続けてきた第5世代戦闘機(FGFA)開発計画を棚上げした。当初は200~250機をライセンス生産し、2017~18年から配備を開始する予定だった。[2]
量産
当初は2016年に量産機の引き渡しを開始するとしていた。[3]
2019年に量産1号機が完成したものの、メーカーテスト中に墜落、2021年に入ってから2号機がロシア軍に就役している。[4]2024年の時点でも、作戦可能なのは10機弱と見られている。[5]
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- *「日本の兵器が世界を救う」 兵頭二十八 徳間書店 2017
- *ミリタリーニュース 軍事研究2018年10月号
- *露ステルス機Su-57、開発遅延は「予定調和」? 現代戦闘機開発に共通の問題に直面か 2017.9.6
- *Russia acquired its sixth mass-produced stealth Su-57 fighter 2022.6.1
- *ぜんぜん来ない「ロシアのF-35」 Su-57ステルス戦闘機の納入が伸び悩む理由 2024.1.6
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