政見放送は、選挙立候補者が政治を行う上での意見や見解を発表するテレビ・ラジオ放送。
概要
1968年に放送作家・テレビタレントを経て参議院議員となった青島幸男の提案でこの制度が始まったと言われていたが、これは俗説である。実際に官報(1950年4月15日発行版の21ページ)で1950年に新設された公職選挙法を見てみると、すでに150条に政見放送の規定があることがわかる[1]。もっとも、青島はテレビでの政見放送を解禁させたという実績はある。
現在でも公職選挙法150条により、衆議院議員選挙・参議院議員選挙・都道府県知事選挙において行われている。費用は、国政選挙では国が、地方自治体選挙ではその自治体が負担する。
候補者の主義・主張を有権者に伝えるための放送であるため、仮に一般的に不適切と思われる発言を行ったとしても放送局などがこれをカットして放送することは公職選挙法違反となる。そのため、誹謗・中傷に受け取られかねない発言もそのまま放送される。真の意味でスリリングな番組である。
しかし、1983年第13回参議院議員通常選挙において、雑民党の政見放送内で発言された「メカンチ、チンバの切符なんか、だれが買うかいな」という文言の中に「メカンチ(片方の目が不自由な状態)」、「チンバ(片足が無い状態)」と差別的表現が含まれていたため、NHKが自治省に照会した上で候補者に無断で該当箇所をカットした『政見放送削除事件』が過去に発生している。
最高裁判所まで争われた裁判の結果、「差別用語を使用した点で、他人の名誉を傷つけ善良な風俗を害する」として削除を正当なものとした判例もあるので、万が一選挙に立候補し政見放送を行うことがあったとしたなら、注意が必要である。
スタイルとしては大きく2つあり、関連動画にもあるようなスタジオでの演説を収録したものと、各政党が取りまとめて事前に制作した動画を流すもの。但し衆参両院比例代表と知事選は前者に限定されている。
ニコニコ動画には、興味深い政見放送が投稿されている。なお、選挙期間中に政見放送をニコニコ動画等の動画共有サイトにアップロードする事は、公職選挙法に触れる恐れがあるため注意すること。投票日の20:00以降までアップロードを自粛する事を薦める。
尚、テレビ・ラジオのサイマル配信サービスでの配信も事実上禁止されており、放送中はフィラー等によるふたかぶせが行われている(「らじる★らじる」・「radiko」・「NHKプラス」等)。
一方で政党・政治団体・候補者が公式サイトまたはYouTube公式チャンネルにアップロードする行為はほぼ黙認されている(例として玉木雄一郎は2021年の衆院選の時、自身及び国民民主党の政見放送動画を自身の公式YouTubeチャンネルで配信した)。
関連動画
関連項目
脚注
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