M62型ディーゼル機関車とは、旧ソビエト連邦で作られた重量貨物列車向けのディーゼル機関車である。
概要
冷戦時代の東欧諸国において、ソビエト連邦を中心にコメコン加盟国向けに製造された電気式ディーゼル機関車で、3軸台車を二つ装備した構造となっている。兄弟車に永久重連タイプの2M62型、永久三重蓮タイプの3M62型が存在する。主にソ連やハンガリー、ルーマニア、東ドイツ、モンゴル、北朝鮮等の東欧諸国で活躍した。各国において重量級貨物列車の牽引のほか、旅客列車の牽引にも使用されていた。東欧を代表するディーゼル機関車の一つとも言える。
しかし、各国の使用状況としては、お世辞にも良い状況とはいえなかった。昔から西側製造のディーゼル機関車を使用していたハンガリーでは、その車両と比較しても性能は低く、牽引出来る最大重量も小さく、その割に旧型車では無補給で走れた区間を走れず燃料切れを起こす等、燃費も非常に悪かった。また、潤滑油の消費も激しく、更には重量が重過ぎる為入線できる区間も限られ、その上広軌ロシアンゲージを基準としたシベリア鉄道規格で設計されていた車体も仇となり、西側基準の小さなトンネルが通れない等の問題も発生した。旅客運用の面においても問題があり、蒸気暖房用のSGが搭載されていない為、旅客運転の際には客車と共に暖房車を連結する必要があった。ちなみにシベリア鉄道では客車ごとに暖房装置を搭載している為、この問題は発生しなかった様である。
東西冷戦が終わり、ソ連が崩壊すると、導入した各国では国情に合わせた改造が施された。まず多くの国で問題視されたのは性能の悪いエンジンであった。燃費が悪く、その割に煤煙も騒音も酷かった。特に騒音は酷く、あまりのうるささから東ドイツでは「タイガの太鼓」というあだ名を持っていた(なお、ニコニコ動画において、騒音と煤煙が酷いディーゼル機関車といえば、イギリスのHSTの機関車であるclass43型ディーゼル機関車が有名だが、M62型ディーゼル機関車はそれを遙かに凌駕するほど酷いものであった)。その東ドイツ国営鉄道所属車は、ドイツ統一に伴い環境基準が西側水準に変わった為、早々に引退することとなってしまった。それ以外の国でも、エンジンの換装や運転機器の近代化改修工事が進み、性能は一変する事となった。また北朝鮮においては電気機関車に改造されたものも出現した。さらに信じられない事に、ロシアではM62型をベースに、タイヤとステアリングを装備させた大型のミサイル牽引車の試作車も存在する。
しかし、改造にはかなりの費用が掛かり、手間も掛かる事から、ある程度改造が終わると、新型車への置き換えが進んで行くこととなった。この時に不要となった分は、一部が北朝鮮に払い下げられた模様。性能は低いが、整備水準もそれほど高いレベルを要求しないという点が、好まれたのではと言われている。
現在でも旧東側諸国に残存している車両が存在し、その爆音と煤煙は今尚健在である。
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海外の鉄道模型メーカーでN、HOゲージ共に製造販売されている模様。
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