「どんな判断だ」とは、2010年に放映されたテレビ東京のTV番組『カンブリア宮殿』内にて、CAPCOM社内での開発承認会議中、22億の開発資金を要請した同社開発者川田将央に対して同社役員の稲船敬二が放った言葉である。
実際には関西弁での発言につき下記の通り「どんな判断や」と発している。
この予算会議で何のソフトを通そうとしていたのかは不明だが、これのプリプロ(プリプロダクション、下準備として制作スタッフを招集すること)で既に数千万も消費している上さらに22億の開発資金を消費すると、大体35~55万本ほどが損益分岐点、これだけ売ってやっと赤字にならない計算となる。この甘すぎる売上意識に対してどんぶり勘定だった予算申請に稲船が「どんな(予算量の)判断だ」と厳しく指摘した格好で、これ自体は全く間違っていない。
が、これを発言した稲船本人の過去の言行が仇となり、ネット上などでは主に否定的に用いられている。
字幕スーパーで表記された「どんな判断だ」「金をドブに捨てる気か」「何千万円もかかっているんだぞ」の三つのフレーズの内、汎用性の高いネタ台詞として「どんな判断だ」「金をドブに捨てる気か」がセットで使われる。略して「どん判金ドブ」と呼ばれている。
実際の関西弁発言内容 | 標準語字幕スーパーでの表示内容 |
---|---|
どんな判断や | どんな判断だ |
金ドブに捨てる気か | 金をドブに捨てる気か |
何千万もかかってんねんぞこのプリプロ… | 何千万円もかかっているんだぞ |
なお、この川田将央はバイオハザード4~バイオハザード5のプロデューサーの1人であり、この会議の後に単独でプロデュースした「バイオハザード マーセナリーズ3D」「バイオハザード リベレーションズ」の売上は、共にまだ35万本に達していない。
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稲船:PS3なんかだと,50万本,60万本で大ヒットですよ今。その本数で,高騰を続ける開発費がまかなえるはずないんです。
4Gamer:80億の利益の会社が,20億30億の案件を複数走らせるということ自体にもう無理がきてる
稲船:パブッリシャ自体が,デベロッパに対して「下請け根性」を強要するんです。この金額でこの期間で絶対に納めなさいとか,クオリティはさておくとして,これくらいの売上本数を目指しなさい,とか,そういうことを強いるわけです。
むろん,なんでもかんでも好きなものを作らせろというつもりは毛頭ありませんが,ブランド力のあるクリエイターや実力のあるクリエイターの多くも,結局のところはそういう部分に屈してしまっている
稲船:海外は独立系が多いんですよね。独立系は,ヒット作を作って,自分達が大きくなって,会社を売却したりIPOしたり,そういうことで一気に莫大なお金が入ってくる,アメリカンドリームみたいなものがある
稲船:成功すれば吸い取られ,失敗すればオマエのせい。これじゃあどうにもなりません。クリエイターを大事にしようとか,クリエイターを育てようとか,ゲーム産業自体がそういうレベルに全然達していない。
何も新しいことを提示しないしヒット作も出さない人には,誰もついてこないでしょう。そのくせ大体そういう人は厳しいこと言いますしね。「納期は守れ」とか「面白さが足りない」とか。4Gamer:そして自分が持ってるタイトルは納期守ってなかったりするんですよね。
稲船:そういうことも多々あります(笑)。でもそうじゃなくて,上の人が成果を出している限り,従うしかないんです。つまり,トップだからこそちゃんとやるしかないんです。
4Gamer:しかしそもそも,成功はしないけど失敗もしない,というトップが成立すること自体が,やはり問題なんじゃないでしょうか。大体,社会的な「地位」を守るのは簡単な話です。失敗をしないことです。失敗をしないのも簡単な話で,「成功しよう」と思わなければいいんです。新しいことなんかやるべきじゃないし,何かを変えようとしてはいけないんです。……そして困ったことに,多くの場合にそれがまかりとおるんですよね。
稲船:僕自身も,カプコンという大きなパブリッシャの中にいて,大きな傘の中にいて,雨が絶対にかからない状況の中で,偉そうにあーだこーだと言ってもダメだと思ったんです。だから自分もその傘から飛び出して,サラリーマン根性を消し去って,本当の自分の実力というものを試したい
稲船:今までは,良くも悪くも「カプコンの稲船」に過ぎなかったわけですしね。そこは割と重要な問題で,先ほども少し触れましたが,結果が良かったときにはカプコンのおかげ,ロックマンのおかげ。しかもそれを経営者ばかりか,プレイヤーのみなさんにも言われるんです(笑)。カプコンだもんね,ロックマンだもんね。悪かったらもちろん逆で「稲船何やってんだよ使えねえな」となる。これも,経営者からもプレイヤーさんからも言われます(笑)。
稲船:僕が出ていったあとのカプコンで,バイオとかロックマンが売れなければ,その時点で証明終了
稲船:カプコンを離れて,カプコンから独立して会社を作りますけど,カプコンと契約をして,今仕掛かっているタイトル全て受ける準備があります,と伝えたんです。しかしかなわぬことでした。「不要である」と。
4Gamer.net ― 稲船敬二氏は,何を思い,何を考え,何を目指してカプコンを辞めていくのか。
渦中の氏に直撃インタビュー(デッドライジング2)
より引用抜粋(敬称略)
出来ればこの「DASH3」だけでもやりたかった。
今の社会ってものは、納得のいかないものだらけなんだよ。
自分自身の信念を貫きたければ、自分自身がTOPになるしかないのさ。俺はDASH3を何とか立ち上げたよ。0から1の一部だ。
あとはどうするかみんな考えてみてよ。スタッフもファンもやることは一つじゃん。
潰される恐怖に怯えるより、潰せないくらいここを盛り上げてみてよ。
盛り上がったコミュニティを無視して会社が勝手に潰すなら、もうそんな会社には未来はないよ。その証拠にコンテストも正直に俺を最下位にしたじゃん。
普通のサラリーマン社会では上司に気を利かしてせめて真ん中位に置いておくんじゃん。
そうしないと評価下がるから^^ここのスタッフはそんなことしないよ。
逆を返せば、信頼関係だ。
稲船は「最下位」でも怒らないことを知ってる。
勝負は勝負、負けて怒るならやらないか、絶対1位を目指して努力するかだ。ロックマン DASH3 PROJECT:DASH スタッフブログ
「新ヒロインデザインコンペ」最終結果発表です!
コメント欄より引用抜粋
カプコン退職に当たり、カプコンを含めた国内ゲーム開発ベンダーの極めて深刻な実情を、開発者・経営上層部の立場から説明した。
HD家庭用ゲーム機開発費はどうしても高騰するが、販売数が稼げない日本国内市場だけで開発費を売上で回収しようとすると無理が生じる現状。PCゲームでHDゲーム開発の実力を付けた海外ゲームベンダーと競争する、日本の開発ベンダーはHDゲームの開発経験が少ない、又、国内ゲーム市場が縮小する一方で、開発資金調達が非常に困難である。
日本のゲームが海外市場を席巻した時代は遠く過ぎ去ってしまった。
一開発者としてゲーム開発・販売の隘路を打開するべく、大手パブリッシャーカプコンを辞職して、独立と言う選択肢で一つの可能性を追求する動きである。
カプコン退社後は自らの二つ名として採用し「ドンハン稲船の金ドブTIME!」という生放送をやったり、設立した新会社のマスコットキャラクターに「KANE DE BOO(カネ・ド・ブー)」と命名したり、PSP用ゲーム「バクダン☆ハンダン」の主人公の稲船沙希(稲船敬二の姪という設定)の口癖が「どんな判断だ!」だったりというように、稲船自身もこの発言を気に入っているようで積極的に活用している。
また「どんな判断や!」というタイトルで2011年9月に本を執筆。光文社から発売されている。
同著に曰く、「僕の仕事に対する姿勢やエッセンスを詰めた」発言、とのこと。
自著「どんな判断や!」の中で、稲船は上記の「カンブリア宮殿」の中での発言についての舞台裏を語っている。
これによると、元々プリプロの前日に稲船の元へ持ち寄られたあるゲーム企画書の内容をチェックして、「これでいくんやな」と稲船が聞くとプロデューサーも「これでいきます」と答えた。
しかしその後プロデューサーとは別のスタッフから「プロデューサーは既にそのゲームのプレイアブルROMも製作していたが、会議に出したがっていないので稲船にはそれを見せていなかった」事を告げられた稲船は、その姿勢に対して『承認会議を通らなければ全て無意味となるのに、持っているものを全て出し切って勝負しないとは何事だ』と、ひとり苦言を呈した。
そしてカメラが回る中で例の発言が飛び出したが、テレビで放映された際にテレビ局で会議の過程を編集された結果、本来のやり取りとは違う「クリエイターの足を引っ張る、クリエイティビティをぶち壊す、とんでもない開発トップ」という稲船の本来の意図とは逆の意味合いとしてイメージが広まってしまったらしい。
もしそれで承認されなかったら、企画自体がボツになります。隠す意味などまったくない。
どうやらそのプロデューサーは、完成度の低いプレイアブルROMを承認会議に出して、悪い印象を与えたくないと思ったようです。たしかにそのROMは、3ヶ月程度で作った未熟で粗いものです。でも逆に、3ヶ月でこれだけのものが作れたという事をアピールできるチャンスでもある。
なにより、そのROMは少ない開発資金の中で作ったものです。承認会議で認められなかったら数千万円がパーになる。だったら、そのとき持てる全てをぶつけなくてはならないはずです。(中略)
例のプロデューサーのプレゼンが終わった後、僕は「こういう映像があるんで見てください」と言って、経営陣にROMを見せました。「これ、3ヶ月でプレイアブルROMまで作りました。(製作進行が)早いでしょ?」と言うと、思ったとおり「もうここまでできているのか」「すごいなあ」という声があがりました。
プロデューサーに「おまえな、これ、何で隠してたんや?」と聞くと、「すみません」と言う。そこで、「どんな判断や。金をドブに捨てる気か」
と言ったわけです。
持てるものを全部出して当たり前だろう?目いっぱいのプレゼンをしないで承認されなかった場合、これまでに使った数千万円の金をドブに捨てることになるんだぞ、と。
そのため、テレビで放映されなかった部分を反映して考えるならば正確には開発トップの立場からの発言ではなく開発者サイドの立場から『(全力を出さないなんて)どんな判断や、金をドブに捨てる気か』と発言していたわけである。
もし、皆さんが挫けそうになったら、「どんな判断や。金をドブに捨てる気か」と呟いてみてください。
「もう一度やってやろう」と、力が沸いてくる気がしませんか?
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最終更新:2024/10/06(日) 19:00
最終更新:2024/10/06(日) 18:00
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