イェレナとは、漫画『進撃の巨人』に登場するキャラクターである。
※本記事には同作に関するネタバレが含まれます。
諫山創による漫画作品『進撃の巨人』に登場するキャラクター。「反マーレ派義勇兵」という勢力に属する人物であり、同作中で複数登場する「人類を救おうとした人々」の一人。同作のアニメ版における担当声優は斎賀みつき。
ストレートバング(いわゆる「前髪ぱっつん」)なショートボブの髪型と、黒目がちで大きな目、そしてすらりとした長身が特徴的な女性。作中の登場人物(ドット・ピクシス)曰く「美女」らしい。
名前は「イェレナ」としか作品内で呼称されていない。「イェレナ」は実在するスラブ系の女性名である。よって「イェレナ」とはおそらくファーストネームだと思われるが、名字が設定されているのかは不明。
同作の後半に入ったあたり、パラディ島勢力によるマーレのレベリオ収容区を奇襲する作戦において初登場した。その際にはパラディ島勢力側の一員として、付けヒゲを顎に貼り付けるなどの変装をしてマーレ兵士を装った上で「顎の巨人」ポルコ・ガリアードと「車力の巨人」ピーク・フィンガーを騙して穴に落とし、行動を阻害する役割を担っていた。
この初登場時には、詳しい出自やパラディ島勢力に協力している理由などは明かされなかった。だが、その後の話で詳細が語られていく。
彼女は「大国マーレに侵略された他国出身者ら」を中心に構成される、「反マーレ派義勇兵」を組織した当人であり、同組織の中心的人物であった。
ジーク・イェーガーの発案として「ジーク・イェーガーが母から受け継いだフリッツ王家の力と、パラディ島にある始祖の巨人の力(グリシャ・イェーガーがレイス王家から奪い、その後エレン・イェーガーに受け継がれたもの)を組み合わせることで、始祖の巨人の真の力、すなわち全ての巨人を操る術を取り戻し、その力をもってマーレに対抗する」ことを「秘策」として謳い、オニャンコポンら他の反マーレ派義勇兵たちを取りまとめていた。
オニャンコポンによれば、イェレナはたとえ寝食を共にした友であっても彼らを疑ったマーレ人は全て事故死として葬り、自ら手を汚すことでジークや組織への忠義を示し、義勇兵組織をまとめ上げてきたという。オニャンコポンら他の義勇兵たちは、底知れない彼女の背中を追いかけているだけであったと。
マーレの調査船がパラディ島を訪れた際には、マーレ兵士として乗り込んでいたが、パラディ島勢力が船を包囲した際にマーレ軍を裏切って上官を射殺。パラディ島勢力に協力者として自分たち「義勇兵」を売り込み、さらに上記のようにマーレを襲撃する際にも協力した。
だが実際にはジーク・イェーガーや彼女イェレナの本来の目的は、義勇兵ら内部で共有されていた上記の「秘策」とも異なったものだった。
彼・彼女らの真の目的は、「エルディア人が存在すること自体が悲劇の元凶である。よって始祖ユミルの血を引く全エルディア人の記憶を操作して命令することができる始祖の巨人の真の力を得たならば全エルディア人に子孫を作ることを禁じる。これでエルディア人は緩やかに滅びる」という、彼らなりの人類を救うプロジェクト「安楽死計画」であった。
イェレナはこの真の目的をオニャンコポンなど他の義勇兵にも伏せていたが、後にアルミン・アルレルト、ミカサ・アッカーマン、ジャン・キルシュタイン、コニー・スプリンガーなどエレンの旧友ら(および、そこに居合わせたニコロ、サシャ・ブラウスの家族らなど)に計画を明した。その際、その計画を協力して遂行するはずのジークとエレンのイェーガー兄弟を救世主としてみなし、神であるかのように崇拝する思いも交えて語っている。
アルミンはその話を聞いて思わずくぐもった声を漏らしてしまう(彼は「エレンの性格からしてそういった考えに同意するわけがない」と知っているため、思わず吹き出したものか)。戸惑ったイェレナが
「どうされましたか?」
とその理由を問うたところ、アルミンは
「いえ… そのような…尊い お考えがあったとは…」
「感動……致し…ました…」
と感涙したかのような様子で答えることでうまくごまかした。そのアルミンの答えを聞いたイェレナは眉をひそめて
「それはよかった…」
と目を潤ませ、
「嬉しいです あなたにもわかっていただけて」
と語っている。
ただしそんなアルミンを心から信じ切れたわけではないらしく、後には「ジークとエレンが世界を救うために協力しよう」といった内容を仲間たちに語っているアルミンに対して、まだ疑っているのか背後から恐ろしい顔で睨みつけていた。その後、振り返ったアルミンには顔を緩ませて
とほほ笑んだ。かわいい。
案の定、エレンはジークの「安楽死計画」に同意することはなく、「始祖の巨人」の真の力はエレンが掌握してジークとイェレナの構想は頓挫。
さらに、彼女の「安楽死計画」はパラディ島内の実権を握った「イェーガー派」、すなわち「エレンに始祖の巨人の力を使用した大虐殺「地鳴らし」を発動させ、島外の敵対勢力を一掃してもらおう」と考える者たちにとっては到底受け入れられるものではなかった。イェーガー派らは彼女を「自分たちエルディア人を殲滅しようとしていた罪人」として糾弾し、処刑しようとする。
アルミン・アルレルト、ミカサ・アッカーマン、ピーク・フィンガーなど「地鳴らし」阻止を企てる一派によりその処刑が中断させられたことで生きながらえるが、そのまま彼ら一派の虜囚となり、エレンの行き先の予想情報を求めて腕の骨を折る拷問などを受けることになった。なお、行き先に関する情報を吐いた際に「たしかにジークは敗れたが、その結果としてエレンは殺戮を実行しようとしているこの惨状を見れば、安楽死計画が正しかったのだ」という変わらぬ心情を吐露している。
また彼らと同行している最中にテオ・マガトやピーク・フィンガーから、イェレナについて実はマーレ人であり、「ごく一般的なマーレ人家庭の出自」であることが暴露された。他の義勇兵らのような「マーレに併合された小国出身」であると偽っていただけであったのだ。これを聞いたオニャンコポンは驚き絶句している。
ピークは続いて
「ジークと初めて出会ったときから」
「マーレに失望していたあなたは ある物語を作り出した」
「それは王子様と世界を救う奇跡の物語 自らを嘘で塗り固め人類史に刻まれんとする その欲深さに敬服いたします」
「フッ」
「まるで自分は違うと言わんばかりですね 一体私とあなた達の何が違うと言うのでしょう」
「世界を救う これ以上に人を惹きつける甘美な言葉があるでしょうか?」
「何億もの命を救うという崇高な胸の高鳴りに身を任せ これまでの遺恨などなきもののように喉へと流し込む それが今私の目に映るあなた方の姿です」
と、「エレン・イェーガーによる地鳴らしを阻止して世界を救う」という目的のために、大きな遺恨があるにもかかわらずが行動を共にしている地鳴らし阻止派の一行について皮肉っている。ただしこの台詞からすると、「自分が、人類を救うという甘美で崇高な目的に魅せられていたこと」自体は否定する気もないようだ。
その後、地鳴らし阻止派に協力していたヒィズル国勢力の船に乗船していたが、その船は沈没してしまった。そのため避難ボートに移って、ブランケットのようなものに体を包ませて休んでいる姿が小さく描かれた。ここで作中での彼女の出番は終了する。
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最終更新:2025/12/16(火) 23:00
最終更新:2025/12/16(火) 22:00
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