エアロバスとはかつて三菱自動車工業、後に三菱ふそうトラック・バスが販売していた大型観光バスである。
ハイデッカー車はエアロバス、スーパーハイデッカー車はエアロクィーンの名称が付けられており、特にエアロクィーンは現行モデルまで30年以上に渡って受け継がれ続けている。
初代・2代目共トップドアが基本だが、中には特注で中ドアを装備した車両もある。
1982年発売。イタリア人デザイナーのアルド・セッサーノが基本デザインを手がけ、モノコック車体とスケルトン車体の長所を組み合わせた”スーパー・コンプ・ストラクチャー”工法が生み出す秀逸なスタイリングと前輪独立懸架サスペンション、高出力エンジンなどが全国の事業者に大ヒットした。
1982年秋に従来のMS6系をフルモデルチェンジ。新たにエアロバスと命名した。昭和58年排ガス規制適合。
三菱自工(大江工場)製のハイデッカ、スタンダード(ミドル)デッカーが標準だが、新呉羽製のサンシャインデッカ、エアロキングに似た車体のエアロクィーンK、改造扱いで前輪後ろから車高を高めたスーパーエアロI・段差のない屋根でエアロクィーンWの原型となるスーパーエアロIIも用意された。
エンジンはMS6系に搭載された8DC8と8DC9を更にパワーアップしたものを搭載。更にパワー厨高出力を求めるユーザー向けにターボチャージャー付も用意された。1988年のマイナーチェンジでABSが搭載されるようになっている。
1984年から86年にかけて合計16台が日本国有鉄道自動車局に納車された車両。いわゆる「国鉄専用型式」の最終車両で、ターボ付き8DC9型エンジンやフルエアブレーキの搭載、常時1速で発進する5速MT、富士重工業製ボディの架装が大きな特徴。
国鉄最後の特注車であると同時に、国鉄最初のハイデッカー車だった。民営化後はJR東日本・JR東海・JR西日本を経てJRバス関東・JR東海バス・西日本JRバスの3社へ引き継がれ、1995年のJR東海バスを皮切りに退役が進み、最後まで残ったJRバス関東のH654-85452号車が2000年6月に廃車され、その歴史に幕を下ろした。
平成元年排ガス規制に伴い、1990年にマイナーチェンジ。スタイルはほぼ先代のP-MS7系とほぼ共通。
エンジンは8DC9と8DC10を搭載。1992年には一部改良によってABSを標準搭載した。エアロクィーンと同じエンジンをエアロバスのシャーシに搭載した強馬力仕様のモデルのMS729系もパワー厨高出力を求めるユーザー向けに用意されたが、製造台数は少ない。
1985年、エアロキングにやや遅れて追加された後輪2軸のスーパーハイデッカー車。後輪が2軸に増えた分架装重量にゆとりが生まれたことから、豪華仕様の観光バス、国鉄バスの夜行高速バス「ドリーム号」などに使われた。
1988年、初代エアロバスシリーズの追加モデルとしてエアロクィーンMが登場。丁度この時期は観光バスのハイグレード化・高速バス開設ブームが起きており、それまで三菱ふそう車の導入実績がなかった会社も含めて、非常に多くの会社で導入された。大型ヘッドライトの周囲に施された特徴的な処理から「パンダエアロ」の異名を持つ。
1989年、低運転台でフロントガラスが分割されたエアロクィーンMVが登場。こちらは高速バスでの導入例がほぼないため、製造台数が少ない。また運転席が低いことで衝突事故発生時の乗務員の安全に問題を投げかけるモデルでもあった。
1992年10月エアロバスシリーズの観光・高速系がフルモデルチェンジされて登場。この代より三菱自工と新呉羽製車体の設計が統一され、スーパーハイデッカーはフロントガラスが1枚のエアロクィーンIと、エアロクィーンMV・エアロクィーンKに代わる低運転台仕様のエアロクィーンIIの2モデルが設定され、翌年にはアンダーフロアコクピット構造のエアロクィーンIIIが追加された。
車体デザインは初代の流れをくみながら、当時のトレンドであったオーガニック・エアロフォルムに一新。より洗練されたスタイルとなった。
全シリーズに共通する特徴として以下のものがある。
1992年登場。登場時のキャッチコピーは「バス・ルネッサンス」。
標準床・前輪車軸懸架、出力300馬力の8DC9エンジンを搭載するMS815、出力335馬力の8DC10エンジンを搭載するMS826、出力400馬力の8M20-1エンジンを搭載するMS821の3種類がラインナップされた。
ホイールベースは長尺と短尺の2種類が用意された。
エアロクィーンIIの中に1台だけエアロクィーンIIIと同等の車体を架装した車両が存在する。
1995年、より強化された排ガス規制へ適合するためマイナーチェンジを実施。先代に比べてエンジン出力が向上したが、ラインナップは同じ。なおU-代では対応していた富士重工業ボディの架装はこのモデルを最後に中止されている。
U-MS系との識別ポイントは運転席空気圧計高圧側のレッドゾーン(レッドゾーンがなければKC-規制)、エアロクィーンII・III以外のフロントバンパーの形状。
1997年には衝撃吸収式ステアリングを採用、1998年にはボディの製造元が三菱自動車バス製造へ一本化された。更に1999年にもマイナーチェンジが行われ、前照灯がディスチャージランプに変更されマフラーの位置も変化した。
この代のエアロクィーンには機械式ATのINOMATを搭載した車両が存在している。
2000年に強化された排ガス規制に対応するためマイナーチェンジ。外観はKC-代とほとんど変わらないが、廉価版が廃止され、全車のヘッドランプにプロジェクター式を採用。更に全車フルエアブレーキ・ホイールパーク式駐車ブレーキを採用した。トランスミッションはフィンガーコントール式6速MTを標準としオプションでロッド式も用意した。
また標準でSRSエアバッグが装着できるようになった。オプションで非装着を選ぶことも出来た。
2005年、平成16年新短期規制に適合させマイナーチェンジ。エンジンの関係上、ホイールベースを短縮してリアオーバーハングを延長している。またそれまでホイールベースの違いで2種類の車体長を用意していたのをやめ、長さ12m級に一本化。一方、従来では特注対応だった直結エアコン・大容量床下トランク装備モデル「エアポートライナー」がエアロバスに標準設定された。
エンジンは後に初期のエアロエースに搭載されることになる6M70型を搭載。トランスミッションはフィンガーコントロール式6速MTに一本化され、ロッド式を全廃。このモデルより西日本車体工業へのシャーシ供給が行われなくなった。
車体のラインナップではハイデッカーのエアロバス、スーパーハイデッカーのエアロクィーンI・IIのみとなり、アンダーフロアコクピットのクィーンIIIがカタログ落ちした。
2007年6月にフルモデルチェンジ車のエアロエースが発表され、ほぼ同時に製造・販売が終了した。
1993年に従来のエアロミディMM観光系をモデルチェンジする形で登場。車体幅2.5m、車体長9mのいわゆる「大型ショート系」の観光バスである。
ボディスタイルはニューエアロバスを長さ9mに縮めたようなもので、車内の快適性はフルサイズのエアロバスと同等である。
2007年8月に製造を終了。後継のエアロエースショートタイプMMが登場するまでの5ヶ月間、三菱ふそうの観光バスラインナップから9m大型車が姿を消した。
車体は純正が三菱自工と三菱自動車バス製造→三菱ふそうバス製造だが、事業者によっては富士重工業や西日本車体工業製の車体を架装することもあった。
ただし富士重工業製車体を架装するエアロバスは非常に少なく、富士重へのシャーシ供給も1998年に中止されている。
一方、西日本車体工業の車体を架装するエアロバスは西日本を中心に多く見られ、特にネオロイヤルC/SD型は車内を広く取れる事から長距離高速バスや豪華観光バス向けでの導入が多く見られた。近距離路線用にはS型の架装が多い。2005年秋に西工へのシャーシ供給が停止された。
ニコニコ動画にはニューエアロバスの動画がアップされている。偶然にもU-MS8からPJ-MS8まですべての代が揃っている。
掲示板
掲示板に書き込みがありません。
急上昇ワード改
最終更新:2025/04/28(月) 20:00
最終更新:2025/04/28(月) 20:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。