ティアマト彗星とは、映画『君の名は。』に登場する架空の彗星である。
地球への公転周期は1200年で、長周期彗星にあたる。
先に地球近辺に訪れたのは9世紀であり、日本ではまだ小野小町が活躍していたくらいの時代から既に観測されていたことが劇中でも明らかになっている。
発見者については、特に設定は公表されていないが、名前のティアマトというのはメソポタミア神話において淡水の神アプスーと交わりさらに若き神々を生み出した海の神のことを指している。
物語の中盤において、瀧の住む世界では3年前の10月4日に地球へと最接近、その際にこの彗星の核の一部が地球の引力により崩壊し、それが流星雨となって国内に降り注ぎ、一部が三葉の住む糸守地区に落下、巨大クレーターを作り町を壊滅させ、500人以上の死傷者が出る大惨事が起きたことが新聞において大きく報じられている。
観測時点でこの現象は全く予期できていなかった様子で、当時の天文学者と思しき人物のインタビューでも、「大半の欠片は大気圏で燃え尽きて日本に被害は無いだろう」といったことを語っていた。(それどころか、その流星雨の降り注ぐ彗星の尾を幻想的とすら報じていた)
しかし、大気圏で燃え尽きなかったばかりか、欠片だけで巨大な痕跡を残すほどであったことから、地球上からの観測データに致命的な誤りがあった模様である。
これを知った瀧は、実は三葉が「3年前に死んだ女性」であること、「現代には既に存在しない人間」であることを理解し、一度も逢った事の無い想い人を救うために単身運命に挑む決心をする。
この映画の宣伝では、あまりこの彗星に関する部分は強調されておらず、事前情報無しで映画館に入った者が「入れ替わりものの青春映画だと思ったら、実は時空を超えた宇宙SFモノだった」という驚きもあった。
なお、糸守地区は、このティアマト彗星衝突以前にも隕石落下によって形成されたクレーターが現存しており、その部分は3年前時点で既に大きな湖となっている(一見カルデラ湖のようにも見えるが、火山性ガスやそれらを含む噴出物や慰留物、温泉といった噴火活動の痕跡が見られないこと、そして終盤のシーンにおける壁画などから隕石落下によるクレーターであると考えるのが自然と思われる。)
瀧が訪れた時点での糸守はこの旧クレーター湖部分から、さらに巨大クレーターが連なった達磨状の湖となっている。
1200年前にも同様に地球に最接近したと考えられるが、同一箇所に全く同じような痕跡を残す隕石が同一天体から発せられた物質由来で降ってくる確率は地球の公転周期や星そのものの位置関係が完全に同一であるという必要性や隕石となる彗星本体の核の大きさがある程度1200年前から変化しないでいたという非常に厄介な問題があることから、非常に低いと考えられるので、糸守湖を最初に形成した天体は、おそらく別の彗星か隕石であろう。(但し、新海監督はこのあたりの天文知識に疎いらしく、「自分の中ではティアマト由来の隕石が1200年前に落下したと考えている」と語っている。あくまで空想科学で“映画的な嘘”と割り切ろう。)
柳田理科雄の著書『ジュニア空想科学読本』9巻では、このかなり無理のある設定について科学的な考察が載っており、仮にこの映画の通りだとすると、「地球のその時の宇宙上における座標、彗星の公転周期等での位置関係が寸分0.1秒単位の狂いもなく1200年前と完全に同一条件であった場合に限っては発生しうる」というような結論で纏められている。つまり1200年前も全く同じ時間帯、同じ地球の回転位置、さらに周辺の地形条件なども変わっていては発生し得ない。この考察は少年少女向けの本なので、もう一つの重要条件である彗星の体積については省かれている。どんな天文学的確率だ?
ちなみに、別の一部識者からは、この彗星の描く軌道を解説したシーンで太陽の周りを回っていない軌道になっている、という突っ込みが入っているほか、あれほどの巨大クレーターを遺すような隕石であれば、日本国内や地球の気候に影響するのではないのか?といった声もある。史実では1908年にロシアで東京都とほぼ同一面積を吹っ飛ばしたツングースカ大爆発という巨大な天体衝突と考えられる事象があり、周囲一体を廃墟にしたが、元々僻地だったためこれで死者は出なかった。105年後の2013年には同じくロシアのチェラビンスクに隕石が落下し、こちらは甚大な被害をもたらしたが、幸い死者は出ていないほか、目視でこの映画の彗星のように一部が崩落していく様子が確認できるほどだったので、街は壊滅にまでは至らなかった(窓ガラスが割れたり建物にヒビが入ったりといった被害はあった)。
2016年現在、隕石落下を直接的な原因とした街の壊滅という事態は人類史上未だ起こっていない災害なので、ティアマト彗星が崩壊状態でこれほどの破壊力を誇るということは、この彗星が如何に恐ろしい存在で、如何に甚大な被害をもたらす災いで、それを救う主人公たちが「時間」と「隕石」というとてつもなく強大な『敵』と戦ったか、がよくわかるだろう。
掲示板
1 ななしのよっしん
2016/10/30(日) 12:46:00 ID: 8DUzVQf/MN
ネタバレ注意ぐらい書きやがれ。物語の核心モロバレじゃねえか。
2 ななしのよっしん
2017/05/14(日) 08:32:06 ID: 5UQ1zXFFNA
NHK風放送
>>sm29818360
>>sm29777816
3 ななしのよっしん
2021/03/24(水) 01:53:42 ID: MAYwZswt3f
ティアマト彗星の正体、この考察が一番腑に落ちたな
https://
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最終更新:2025/12/06(土) 12:00
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