ネオ・ファウストとは、手塚治虫の漫画である。1987年から『朝日ジャーナル』に連載され、手塚の死を以て打ち切りとなった最晩年の作品。
悪魔に魂を売り渡して20歳に若返り、新しい人生を手に入れた大学教授の運命を描く、ゲーテの『ファウスト』を下書きに高度経済成長期の日本を舞台とした野心作。
2000年にNHKの『FMシアター』でラジオドラマ化され、アニメ化も検討されたが実現はしていない。
漫画作品としては一番最後に描かれているものにあたり、第二部の続きは殆ど鉛筆書きのネーム状態の下書きで、ページが進むにつれ絵が無くなっていき、最後のコマは「先生の側近に三人のおもしろい者たちをはべらせます」のセリフに対する「誰なんだ」という言葉で絶筆しており、その後の展開がどうなったのかはもはや知る術は無い。
世に名高いNG大闘争真っ只中、教授の一ノ関はミイラとあだ名され、学生運動家からも無視される存在となっていた。
ある日、バリケードの残骸に躓き、破壊されたアカデミーを見た時、学問に生きてきた自分の人生は何だったんだろうと自問するようになる。
それからことあるごとに黒い狂犬が一ノ関の周りをうろつくようになる。時を同じくして過激派のリーダーである石巻が焼死体となって発見された。
一ノ関
何度もノーベル賞候補になった生体工学の世界的権威である、学者の成れの果て。戦争や物資不足をものともせず50年間研究に没頭してきたが、未だ命の本質を解き明かすには至らず、学問はおろか輝かしい青春を送ってこなかった自分の人生そのものに絶望しているところ、悪魔であるメフィストフェレスと契約してタイムスリップし、薬を飲んで20歳へと若返るが同時に記憶をなくす。その後、建設会社社長の坂根第造に恩を売ったのがきっかけで坂根第一の名を与えられ彼の会社で働くようになる。
メフィストフェレス
気分によって姿を変える神出鬼没な全てを否定する霊。メフィストフェレスというのは本名が人間の口では発音できない故の便宜上の名前である。坂根(一ノ関)が成り上がるために悪魔の甘言を口にし、障害となるものを次々と抹消していくなどガイドとして彼に寄り添う。しかしガイド以上の感情を抱いており……
坂根
理学部生体工学センターで助手をしている青年。一ノ関の死期が近いことを覚り彼の研究成果と栄誉を我が物にすることを目論んでいる。
高田まり子
純情そのものの清楚なNG大学文学部学生。坂根のことを愛している。坂根曰く「内面の気性の強さをおさえてしとやかで上品で決して目立たない」。後に坂根との間に出来た我が子を殺し精神病院に収容される。
高田警部
公安に勤めるまり子の兄。親を早くに亡くしているためまり子を小さいころから育ててきた。坂根を油断ならぬ人物と判断し化けの皮を剥がすため奔走する。
坂根第造
朝鮮戦争で大儲けし成り上がった政界にも太いパイプを持つ坂根物産社長。幅広い商売を手掛ける絵に描いたような金の権化。高齢ながら食も太くあっちのほうも現役だが後に胃がんが発覚する。
山本助教授
進歩的な言動で人を見下す評論家教授。一ノ関を毛嫌いしている有名人気取りの嫌味な男。
石巻
文学部に所属する全共闘リーダー。日米安保条約やNG大学の反動的体質を正すためデモに参加する熱血漢。自分がもうすぐ死ぬことを予期しており、クローンの分身を欲している。
丸山せん
高田家のメイドをしている50代のカバみたいな女性。
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最終更新:2025/12/07(日) 18:00
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