おかえりなさいませご主人様。メイドとは、以下の意味を持つ単語でございます。
ここでは1についてご説明致します。ご主人様。
メイドとは女性使用人のことでございます。日本語では「家政婦」「女中」にあたります。しかし、日本古来の「家政婦さん」「女中さん」とは服装や仕事内容は異なる事が多々ございます。
それもそのはずメイドは西洋文化なのでございます。
メイドの歴史は19世紀後半のイングランド(イギリス)を中心として端を発します。しかしこの頃は、使用人を雇うことが中産階級の身分の高さを表し、男性使用人がまだまだ多かったのでございます。
しかしその後、アメリカ独立戦争時、戦費を賄うという目的により、男性使用人の雇用に対して課税が行われることとなり、それに伴って、非課税であった女性使用人(=メイド)の需要が高まることとなります。最終的に20世紀初頭の第一次世界大戦の頃まで、メイドの全盛期は続くことになりました。
なお、現代においては住み込みのメイドは世界的に見ても少ないものとなっております。
メイドの仕事は、家事全般(掃除、洗濯、炊事)だけでなく、女性の身の回りの世話、乳母、子守や教育など多岐に渡り、また掃除の中でも庭の手入れのみに従事する者もいます。炊事関係でも調理器具や食器洗い専門やティータイム専門などの、非常に限定された特定の仕事に専門的に従事する者も居ます。複数の仕事を兼任している者、中には一人でほぼ全ての仕事を行う者も居たりと、つまり一口にメイドと言ってもその形態は様々です。
専門職は特に大人数のメイドを雇っている裕福な家庭でよく見られ、担当ごとに取り仕切る者が居たり、更に全体を統括し人事権を持つメイド長(ハウスキーパー)が居る場合もありました。対して、一人で多くの仕事を兼任しているメイドは、比較的裕福でない家庭で雇われることが多かったようです。
また、メイドを雇えない家庭では世間体を保つ為(メイドが居るかのように見せる為)に週に一回、玄関掃除だけにステップメイド(ステップガール)と呼ばれる専門メイドを雇う場合も見られました。
現代のメイドと言えば、専門担当を持たずハウスキーパーの命にて家中の仕事をひととおりこなす「ハウスメイド」と、給仕と来客の取次ぎ、接客を専門職とする「パーラーメイド」と、または比較的裕福で無い家庭が雇う全てをこなす「メイド・オブ・オール・ワーク」が一般的なイメージであるかと存じます。余談ですが現代日本におけるメイドのほぼ全ては「パーラーメイド」になります。
一般的にメイド服と呼ばれているものは、黒系のワンピースに白いエプロンを合わせたエプロンドレスに、白いフリルのカチューシャ(ホワイトブリム)を組み合わせたものです。これは、19世紀後半のイギリスで午後用とされたもので、午前中はまた違った服装だった為、必ずしもメイド服といえばこれを指すものではないことに御注意していただきたく存じます。
初めのうちはメイドに制服という物は無かったのですが、貴婦人がメイドを連れ立って歩いているときに、メイドに声をかけてはならないというマナーがあり、明確に女主人とメイドを区別する為の制服が必要となりました。そこで、近代において「メイド服」と呼ばれるものが採用されることとなったのです。
多くのご主人様は制服を揃えるのも大変でしたので、質素な服を着せることで区別をさせておりましたが、ご用意できる裕福なご主人様は、現代で言う「ロングのヴィクトリアンメイド型」を着せられる事が多かったようです。あくまで仕事着であることが前提で、七分丈袖で装飾のない質素な服が一般的でした。一般向けの喫茶店などでも制服として採用している場合もございます。
また現代のメイド服に良く見受けられる肩のフワフワ(パフスリーブ)でございますが、これは上流の貴婦人のみに許される服装でございまして、明確に主人と見分けるためである古式のメイド服には存在しません。
またメイドの象徴たるホワイトブリムに置きましても、アクセサリと見なせる髪飾りであるため存在せず、代わりにキャップ(モブキャップ)と呼ばれる帽子(帽子のつばの部分をブリムと呼称します)をかぶっておりました。また、このキャップを付けた状態を真正面から見ますと、つばのレース部分が現代のホワイトブリムと同様の見た目になります。
手袋につきましても「貴婦人に手袋を付けさせることが家事をさせていない」というアピールでしたので、一般的には着けておりませんでした。
メイドは日本では家政婦さんとしてではなく、漫画やアニメなどの萌え要素として大活躍しております。
メイドが日本で萌え要素として確立したのは1990年代前後で、それまでは他の衣装に埋もれていました。1990年代にビデオゲーム(特にギャルゲー、エロゲー)の分野で一気に人気を得ると、「萌え=メイド」と呼べるまでに規模が大きくなりました。
初期はヴィクトリア朝のイギリスや明治~昭和初期の日本といった歴史設定、洋館といった舞台設定とセットで登場するものが主で、「奉公」のイメージにアダルトな要素を加味した、ヘビーな扱いを受ける作品が多かったようです。
時代が進むにつれ「ご奉仕」「メイド服」といった要素のみを抽出し、歴史設定や舞台設定からも切り離されたライトな作品が増えてまいりました。その一方で、本来のメイドとは違う誇張された姿が一般的となっていくこととなり、現在「メイド」と呼ばれるものの大半は「コスプレの一種であり、古来から存在するメイドとは違う」と解釈されることもあります。
そういった経緯もあり、萌えとしてのメイドと本来のメイドを混同しないで欲しいという意見もありますが、現在の日本においては本来の姿のメイドというものは事実上おりませんので、あまりお気になされる事は無いかと浅慮いたします。
近年では、ヴィクトリア王朝のメイド様式、またはそれに似た様式のメイドを限定的に好む方もいらっしゃいます。
それは、メイド喫茶というものが初めて誕生したのでございます。
日本のメイド喫茶第一号は秋葉原にあった「キュアメイドカフェ」というものでございました。これは店員さんがみんな女性で萌え萌えなメイド服を着て接客するという喫茶店でございます。それまでもコスプレカフェというものは存在しましたが、メイド服限定はこれが初めてでございます。
そこから秋葉原を中心にメイド喫茶と言うものが大流行するようになります。
日本の漫画やアニメで多く登場するメイド服は英国風メイドとはけっこう違うものでございます。
ミニスカートの「フレンチメイド型」と呼ばれるものがあり、こちらの方が世間一般にメイドの認識としては強いのですが、こちらはデザイン性を強調している為機能性が低く、メイド喫茶で制服として採用している場合は多いものの仕事着としてではなく、あくまで客を集める為の宣伝目的としていることが殆どです。
現代日本においては、特例を除きメイド(英国風家政婦)が存在しない上に、実際にそういった仕事に従事している場合でもメイド服を制服としていることはまず無いと思います。採用している場合は殆どがメイドカフェの流行に乗ってサービスを展開していると言えます。
コスプレ用品として販売されているメイド服の殆どは、華美な装飾もあり、事実上仕事着としては機能しない為、本来の仕事着・制服としての意味でのメイド服とは呼べないでしょう。
しかし日本のメイド服は漫画・アニメを媒体として世界に広がっているのでございます。
掲示板
175 ななしのよっしん
2023/08/09(水) 22:27:12 ID: gQgCh9laK7
アニメで登場するメイドさん、
ブルジョワがメイドさん従えてるのは分かるけど、
貴族の侍女は普通はメイドさんではないんだよな
メイドの上に統括する侍女が居る
176 ななしのよっしん
2023/10/11(水) 17:39:33 ID: ZRXqr0XrbH
姉は一級建築士っていうネタ企画あったが、それのあらすじに「ツンデレの誕生とメイドの終焉」って文言あって時代を感じる
『日本のメイドカルチャー史(上)』って本だとエロゲにメイドが登場する作品の数は2000年がピークで姉は~のネタが発生した2005年には下火になってるんだがその後の2006年、2007年には多少、登場作品が増えてるんだよな
一般でハヤテのごとく!が人気出てアニメも始まった時期ってのも関係あるんだろうけど
177 ななしのよっしん
2024/04/16(火) 08:11:10 ID: 1+AmvX44n8
本格的なブームの始まりはおっさんの記憶ではおそらくは「禁断の血族」のさよりか「殻の中の小鳥」だったと思う
そこから純粋なメイドキャラとともにメイド風ウェイトレスも同時進行で流行ったかな
萌えどころが職業的立ち位置か衣装かという感じだが
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/02(月) 01:00
最終更新:2024/12/02(月) 01:00
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