スキップアウェイ(Skip Away)とは、1993年生まれのアメリカの競走馬・種牡馬である。
素晴らしいタフネスと安定感、そして芦毛の見た目から「スキッピー」の異名で人気を博した。
ブラッド・ホース誌「20世紀のアメリカ名馬100選」では32位。
父Skip Trial、母Ingot Way、母父Diplomat Wayという血統。
父スキップトライアルはハスケル招待ハンデキャップ優勝・ガルフストリームパークハンデキャップ連覇でGI3勝を挙げ、他に重賞6勝、通算成績は38戦16勝と活躍した。
母インゴットウェイは37戦5勝でステークス競走2勝。
母父ディプロマットウェイはブルーグラスS勝ちなど通算46戦14勝。
本馬は2歳時のトレーニングセールに上場され、キャロライン夫人に誕生日プレゼントとして買う馬を探していたヒューバート・ハイン調教師に3万ドルという安値で落札された。本馬が落札された主要因は芦毛ゆえに目が悪かったキャロライン夫人でも見つけやすいからということであり、しかもこのとき膝の骨に欠けている部分があることが分かって購入額から7500ドルが差し引かれた。
ちなみにこの馬の芦毛は母母父Iron Ruler由来なのだが、さらに遡るとその母父のMahmoud、そしてその祖母のMumtaz Mahalまでたどり着く。
2歳6月のデビュー戦を4着、次走で2着となった後、8月にダート1マイルの未勝利戦を12馬身1/4差で圧勝して勝ち上がった。しかし続くステークス競走では3着、カウディンS(GII)ではハナ差2着、レムゼンS(GII)ではクビ差2着に敗れ、2歳時は6戦1勝だった。
3歳時は初戦の一般競走で鼻出血を起こし競走中止となったが、立て直して出走した一般競走を12馬身差で圧勝。勢いをつけてフロリダダービー(GI・9ハロン)に出走するも、ここで前年のBCジュヴェナイルを勝ったアンブライドルズソングと当たり、同馬の圧勝を許し約6馬身離れた3着に完敗した。それでもケンタッキーダービーを諦めずブルーグラスS(GII)に進み、レースレコードを出して6馬身差で圧勝した。
こうしてケンタッキーダービーに駒を進めたスキップアウェイだったが、本番では外枠を引いてロスの多い競馬を強いられたこともあり12着に大敗した。更にプリークネスSではルイカトルズに逃げ切られて2着、ベルモントSでもエディターズノートとの叩き合いで遅れて2着に敗れ、三冠競走は無冠に終わった。その後ベルモントSから中1週でオハイオダービー(GII)に出走し、6馬身差で圧勝した。
その後、1ヶ月ほどの休養を挟んでハスケル招待ハンデキャップ(GI・9ハロン)を勝利し、GI初勝利を挙げた。しかし続くトラヴァーズSでは道中で前が塞がって仕掛けが遅れ、先に進出した上がり馬ウィルズウェイの3着に敗戦した。
続けてカナダに遠征してウッドバインミリオンS(GI・9ハロン)を勝利し、ジョッキークラブゴールドカップに出走したが、ここではルイカトルズやエディターズノートが霞むほどの難敵が現れた。その馬とは16連勝こそストップしたがウッドワードSでは4馬身差で完勝し衰えていないことをアピールしたシガーであり、このレースでも単勝1.2倍の圧倒的人気であった。
逃げて結果を出していたルイカトルズがこのレースでも逃げたが、本馬鞍上のシェーン・セラーズ騎手はシガーを後ろから差すのは難しいと判断したかこれを積極的に追っていった。直線ではルイカトルズを競り落としたところへシガーが追い込んできたが、アタマ差残して勝利を収めた。
その後はブリーダーズカップに出走せず、12戦6勝でシーズンを終えた。ケンタッキーダービー馬のグラインドストーンが同レースを最後に故障引退、ルイカトルズとエディターズノートは古馬GI未勝利(前者はBCクラシック2着だったが)ということもあってか、これらの馬を抑えてエクリプス賞最優秀3歳牡馬を受賞した。
4歳時は2月のドンハンデキャップ(GI・9ハロン)から始動したが、前年秋から頭角を現しBCクラシック5着に入っていた同世代のフォーマルゴールドに逃げ切られて2着に終わった。続くガルフストリームパークハンデキャップ(GI・10ハロン)でもマウントササフラに敗れ2着だった。
続けてテキサス州ローンスターパーク競馬場のテキサスマイルSに出走。GI馬でありながら116ポンド(約52.6kg)という軽斤量も手伝い、単勝1.6倍の1番人気となったが、始終外を回らされたのも響いたか7馬身半差の3着に敗退した。ピムリコスペシャルハンデキャップ(GI・9.5ハロン)でもアルゼンチン出身の実力馬であるジェントルメンに半馬身届かず2着に敗れた。
マサチューセッツハンデキャップ(GIII)では、フォーマルゴールドとウィルズウェイが立ちはだかったが、フォーマルゴールドにアタマ差、3着ウィルズウェイには3馬身半差をつけて勝利した。サバーバンハンデキャップ(GII)でも両馬を破って勝利したが、ホイットニーハンデキャップ(GI・9ハロン)では2頭で先行したフォーマルゴールドとウィルズウェイが直線で本馬を含む後続を突き放していき、フォーマルゴールドをハナ差下したウィルズウェイから6馬身半も離れた3着に敗退した。フィリップ・H.アイズリンハンデキャップ(GII)でもフォーマルゴールドの2着に敗れ、ウッドワードSでは1番人気すらフォーマルゴールドに奪われた。そしてレースでもウィルズウェイとの2番手争いでクビ差先着したものの4角から悠々と抜け出したフォーマルゴールドには5馬身半差を付けられて2着に敗れた。
しかし、かつてシガーの主戦を務めていたジェリー・ベイリー騎手に主戦をスイッチしたジョッキークラブゴールドカップで6馬身半差をつけ圧勝すると、ブリーダーズカップ・クラシックではフォーマルゴールドが引退済み、ジェントルメンは南米出身で登録なしということもあり本馬が1番人気に推された。3歳馬のベーレンズを選んだベイリー騎手に代わってマイク・スミス騎手が騎乗したこのレースでは向こう正面で早々に先頭に立つとそのまま6馬身差で押し切り、1:59.16というレース史上最速の時計を出して大勝した。
この年はシーズン後半こそ良かったが全体では11戦4勝であり、フォーマルゴールドとの対戦成績も印象を悪くしたのか、エクリプス賞では最優秀古馬牡馬を受賞したものの、年度代表馬は2歳馬のフェイヴァリットトリックに取られてしまった。
5歳になり、本馬はいよいよ覚醒を迎える。まずはベイリー騎手との再コンビ初戦でもある年明け初戦のドンハンデキャップを抜けたトップハンデながら2馬身3/4差で勝利し、続くガルフストリームパークハンデキャップも2馬身1/4差をつけ勝利した。
その後はドバイワールドカップに出走せず、5月のピムリコスペシャルハンデキャップに出走。ここでは久々に逃げの手に出るとそのまま3馬身1/4差で押し切った。続くマサチューセッツハンデキャップでは遂に130ポンド(約59kg)となったが、それでもチリでGI3勝を挙げて移籍してきたプエルトマデロ相手に4馬身1/4差で圧勝した。続くハリウッドゴールドカップでもプエルトマデロやジェントルメン相手に逃げ切って勝利した。
フィリップ・H.アイズリンハンデキャップでは、本馬が131ポンド(約59.4kg)、その他の馬が110ポンド台前半というハンデ差となったが、それでも本馬が単勝1.05倍の圧倒的人気に推された。流石にこれほどの斤量差となると一筋縄では行かなかったが、それでもハナ差で勝利した。続くウッドワードSでもジェントルメンを下し、前年からの連勝を9に伸ばした。
しかし、続くジョッキークラブゴールドカップでは不運にも大雨のため未経験の不良馬場となり、過去に4回戦って全て完勝していたブービー人気のワゴンリミットから約10馬身離れた3着(6頭立て)に敗戦した。このレース後に右前脚が腫れていることが確認され、そのまま引退することも検討された。それでもBCクラシックには出走したがこの年5戦5勝だった4歳馬オーサムアゲインの6着と敗れ、ここで引退となった。通算37戦18勝・GI10勝。
引退した年はエクリプス賞最優秀古馬牡馬・年度代表馬に選ばれたほか、レーティングは131ポンドで単独1位、獲得賞金961万6360ドルはシガーに次いで当時歴代2位となった。
ケンタッキー州で種牡馬入りした本馬は貴重なダマスカス直系として期待されたが、産駒数522頭に対しステークスウィナーは25頭とあまり振るわず、GI馬も出なかった。日本では総帥が吹きまくったマイネルエクソンやクイーンカップでダイワエルシエーロの2着だったクリスタルヴィオレが代表産駒だろうか。
2004年にアメリカ競馬の殿堂入りを果たし、2010年5月14日、かねてから抱えていた心臓病の発作により17歳で死亡。ケンタッキー州の功労馬繋養施設・オールドフレンズに埋葬された。
| Skip Trial 1982 鹿毛 |
Bailjumper 1974 鹿毛 |
Damascus | Sword Dancer |
| Kerala | |||
| Court Circuit | Royal Vale | ||
| Cycle | |||
| Looks Promising 1968 芦毛 |
Promised Land | Palestinian | |
| Mahmoudess | |||
| Fluoresee | Double Jay | ||
| Snow Flame | |||
| Ingot Way 1981 芦毛 FNo.14-f |
Diplomat Way 1964 鹿毛 |
Nashua | Nasrullah |
| Segula | |||
| Jandy | Princequillo | ||
| Centenary | |||
| Ingot 1971 芦毛 |
Iron Ruler | Never Bend | |
| Obedient | |||
| Glorious Night | Dark Star | ||
| Queen Fleet | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
クロス:Nasrullah 4×5(9.38%)、Mahmoud 5×5(6.25%)
掲示板
1 ななしのよっしん
2023/03/22(水) 01:54:26 ID: e8PpAn+Uvi
“魔王”シガーを負かしてバトンを受け取ったように最強馬に駆け上がった名馬で、BCクラシックを圧勝し翌年の直前まで無双を続け連覇は逃すところも似通っている。
勝ち方は逃げ専門のシガーとは異なり、逃げ馬をマークして三角から直線で抜け出す正攻法のレースを続けた。
フォーマルゴールドとウィルズウェイとは何度も対決し続けた熱いライバル関係でもあり、特にフォーマルゴールドには勝ち越し・勝ち逃げされてもいる。
またアルゼンチンからやってきた亜二冠馬ジェントルメンとも対決し続け、当初は長らくジェントルメンのほうが評価は上であったり人気を背負っている時に限って連敗しまくったりと、シガーに比べると文句なしに最強と言えた時期がやや短いが、その分親しみを覚えるとも言えるか。
2 ななしのよっしん
2024/10/12(土) 08:54:06 ID: 5XHxOqj3s2
>>1
BCクラシックやドバイWC見るとシガーは逃げ専門というより先行も出来る印象だけど
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/05(金) 21:00
最終更新:2025/12/05(金) 21:00
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