哨戒艦艇とは、軍艦の一種である。
基本的に領海や排他的経済水域といった国家の領有権を主張できる海域での平時哨戒=警備・監視活動に用いられる。
国家の勢力圏下=早急により戦闘に特化した艦艇、航空機等が応援に駆け付けられる範囲での任務に従事する事から排水量1000tを切る船体に武装も機関銃程度の軽武装に留めている艦艇が多い反面、広範囲かつ長期間の任務に従事を想定、若しくは旧式化した駆逐艦、フリゲートから武装を削減して転用した大型艦も複数運用されている。
なお『警備・監視活動に用いられる』と記述したが海上保安庁など沿岸警備隊が運用する『巡視船(艇)』と任務が重複するが沿岸警備隊は基本的に警察組織なのに対し哨戒艦艇を運用するのは軍隊なので妨害、戦闘になった場合、国家間の戦争に繋がる事から古からの砲艦外交や現在の核兵器よりも安価な抑止力として運用されている。
但し、有事の場合には武装を追加して戦闘に従事できる余裕を持たせた艦艇も存在する。
旧日本海軍では太平洋戦争開戦1年前に『哨戒艇』が設定され10隻が配備されたが実態は旧式化した駆逐艦であり、武装やボイラーを削る一方で海軍陸戦隊用の居住区と大発動艇(上陸用舟艇)の搭載+降下用スロープを追加した多用途艦だった[1]。
更に開戦後、9隻が追加されているがこれらは侵攻した地域、特にオランダ領東インドで鹵獲した駆逐艦、哨戒艇を修理・改装したものであった。
その一方で日本本土周辺海域での活動を想定した『特設哨戒艇』、『哨戒特務艇』も存在した。
しかし前者は特設=船員ごと徴用した民間漁船が実態であり軍艦としての能力は低かった。
後者は『特設哨戒艇』の補充用に新造された[2]が戦力化されたのは1945年であり、前述の『哨戒艇』は殆ど戦没しており日本本土周辺海域も昼夜問わず連合国側の航空機、水上艦、潜水艦に蹂躙されている時期であり発見報告する間もなく轟沈する事が日常茶飯事だった。
そして敗戦を経て海上自衛隊が発足し、拠点警備用に1958年から1999年にかけて排水量20tの『哨戒艇』が複数運用された[3]が次第に拠点を含む沿岸警備は海上保安庁、より遠距離の哨戒活動は魚雷艇からミサイル艇、更に護衛艦が担う事になり1999年以降は新造される事は無かった。
ところが2000年代に入って尖閣諸島周辺を皮切りに中国が経済成長を背景として太平洋の海上覇権を狙い海軍や海警局(沿岸警備隊)の艦船を大量に整備して日本周辺海域で示威目的の航海を増加させた。
これに対して海上自衛隊は護衛艦、ミサイル艇のみならず掃海艇、補給艦、訓練支援艦まで使って哨戒を行ったがそれでも手が足りず有事を想定した訓練に支障をきたす程になってしまった。
この状態を改善するため海上自衛隊は2020年代後半から『さくら』型哨戒艦12隻の整備・運用を順次開始する。
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最終更新:2025/12/10(水) 22:00
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