太平洋戦争中、日本海軍はパナマ運河を攻撃する作戦を考えた。なぜなら、ここが使用不能になれば大西洋にいるアメリカ艦艇は太平洋に向かうのに南米を遠回りすることになり、太平洋に増援を送るのが難しくなる。パナマ防衛にも戦力を引き抜かなければならなくなる。こうなると最前線のアメリカ艦隊は弱体化することになるからだ。
だが、アメリカもパナマが重要であることぐらい承知しており、極めて厳重に防御されていた。そこを奇襲するために潜水空母伊400型を建造することになり、晴嵐は潜水空母に搭載するための特殊攻撃機として開発された。
晴嵐は当初、彗星艦爆を改造したものを考えていたが、それでは狭い潜水空母に搭載出来ないので新規に開発をすることになった。潜水空母18隻にそれぞれ3機ずつで54機、他に訓練や補充用として計100機を生産する予定だったが、終戦までに28機が生産されただけで終わった。
潜水艦に滑走路は無いためフロートを持った水上機(わからない人は紅の豚に登場するカーチスの飛行機を思い浮かべて欲しい)である。潜水艦からはカタパルトで発進し、降りるときは潜水艦の近くの海面に着水したあと、潜水艦のクレーンと人力で艦内に収容する。発進には約1分、収容には約10分が掛かったという。
特筆すべきはフロートを空中で捨てることが可能で、敵機に追われた際はこれでスピードアップして逃げ切ることが出来ると考えられた。
晴嵐は急降下爆撃と雷撃の両方が出来る数少ない日本軍機であり、800キロまでの爆弾か魚雷を搭載できた。しかし、800キロ爆弾か魚雷を搭載するとフロートを付けられないという制約があった。無論、フロートが無ければ車輪もついていない本機では不時着してパイロットだけ回収する使い捨てである。
速度や機銃なども戦争末期に造られただけあって日本軍機の中では高い性能を持っている。
乗員 | 速度 | 航続距離 | 武装 |
---|---|---|---|
2名 | (フロート有り)474km/h (フロート無し)559km/h |
1189km | 13mm機銃×1 爆弾800kgまたは魚雷 |
フロートを最初から付けずに陸上で運用すること目的としたものが南山あるいは晴嵐改と呼ばれた(後の研究により「南山」は試製晴嵐の旧称であり、あくまでフロートを付ける前の評価実験機)
実戦は経験していない。戦争末期に潜水空母伊400、伊401に搭載された本機でウルシー環礁のアメリカ艦隊へ特攻する予定だったが作戦決行の二日前に終戦となった。
一機だけ残った晴嵐がアメリカのワシントンD.Cにある国立航空宇宙博物館(スミソニアン博物館)で展示されている。
潜水空母という浪漫溢れる存在はよく取り上げられるのだが、本機がセットで取り上げられることは少ない。太平洋戦争の日本海軍のゲームでは必ずといっていいほど登場するのだが、本機らしい活躍が出来ることは少ない…
これらの作品で潜水艦より晴嵐が使えるのは鋼鉄の咆哮3ウォーシップコマンダーと 艦これと提督の決断Ⅲ(PC版)だけである。他は潜水艦が使えなかったり、使えても航空機を搭載できないので航空戦艦や航空巡洋艦を用意しなければならない。
ただ、潜水空母の艦載機という奇想兵器のガジェットでも高いポイントを持つ本機の素性の良さから発展系の機体が出る作品も点在する。有名な所では荒巻義雄氏の『紺碧の艦隊』の主役級と云える潜水艦隊・紺碧艦隊の艦載機『春嵐』(しゅんらん・はるあらしとも読む)が晴嵐を母体にした機体と明言されており、更にジェット化した(というか新設計で思想のみ受け継いだ)「噴式春嵐」なる機体も出ている。
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最終更新:2024/04/24(水) 19:00
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