生涯無料とは、本来有料のはずの何らかのサービス・商品が一生涯無料で受けられることである。「一生無料」「永久無料」などとも。
商品やサービスを提供する企業・店舗が、注目を集めるためのキャンペーンなどの目的で行う企画の一種である。もしその商品・サービスが飲食店などであれば、極論すれば「その飲食店に行きつづける限り、一生無料で飲食し続けられる」ことになるのでインパクトは強い。
ただし「その生涯無料の権利を得たものが利用し続ける限り、企業・店舗は対価を得られないままにコストを払い続ける」事にもなる。また、「生涯」という強い言葉には強い期待も伴うので、その期待が裏切られた際の利用者の不満も強くなってしまう。そのため、実際に企業・店舗が「生涯無料」企画を走らせるには注意や工夫も必要である。
割と知られた失敗例としては、クラウドファンディングの返礼品として「生涯無料パスポート」を約1100名に提供したとある飲食店がある。同店は「事前に説明していなかった利用条件」をクラウドファンディング達成後に「後出し」してしまい、これがクラウドファンディング参加者との間のトラブルの元となってネットでそれが話題となり、悪い意味での注目を集めてしまった。[1]
なお「一般会員はそもそも無料、プラスの何かを求めるプレミアム会員だけが有料」「会費が永久無料、しかしサービス利用時には費用がかかる」というだけのビジネスモデルは割とありふれている。例えばここniconicoや、様々なクレジットカードなど。よって、それらは取り立てて「生涯無料」などとは謳わないことが多い。
以下は実際に「生涯無料」や「一生無料」と銘打ったキャンペーン・サービスを行った例。
これらは「こういうビジネスモデルで成り立たせたようですよ」と例示するために一部を紹介しただけのものであり、他にもこういったことを行っている企業や店舗は無数にあると思われる。
誰でも知っている有名ハンバーガーチェーンの「マクドナルド」は、「McGold Card」(マックゴールドカード)という「生涯(場合によっては一定期間)、マクドナルドで無料で飲食できる」カードを一部の著名人に贈っているといわれる。
そのカードを手にしたとされるのは「ウォーレン・バフェット」(世界的に有名な投資家)、「ビル・ゲイツ」(「マイクロソフト」の創業者)、「レジス・フィルビン」(アメリカで有名なトーク番組の司会者)など。つまり「これを使おうが使うまいが誤差になるような大金持ち」であり、「仮に使われたとしても無料提供するコストより広告効果の方が上回る」ような相手にだけ送る、という手法によって「コストがかかりすぎる」問題を回避しているようだ。
2007年にウォーレン・バフェットがビジネスニュースチャンネル「CNBC」の企画で財布の中身を見せた際
に「このカードがあればオマハ[2]のマクドナルドなら生涯無料なんだよ」と言って紹介し、「ビル・ゲイツも持ってるよ。あいつのは世界のどこでも使えるっぽいけど僕はオマハから出ないからあいつのと同じことだね」とも証言した。
かつ、2025年にはそのビル・ゲイツも有名なシェフ「ニック・ディジョヴァンニ」のTikTok動画
に出演した際に彼の「McGold Card」を取り出して見せた。ちなみにその時のゲイツ曰く「マクドナルドが送ってきたんだよな」「でも使わないな、食費は自分で払えるもん」とのこと。
「要らないならよこせ」と言いたくなるかもしれないが、カードにデカく「BILL GATES」(ビル・ゲイツ)と彫ってある。よって、仮にゲイツからこのカードを譲ってもらったとしても、ゲイツのそっくりさん以外には使用できないと思われる。
世界的なサンドイッチチェーンの「サブウェイ」は、「生涯無料」と謳うプロモーションをアメリカ合衆国で複数回行ったことがある。
「先着の」あるいは「抽選で選ばれた」1名のみが対象だったようで、かつどちらのプロモーションも大いに話題になって日本など国外のニュースサイトなどですら取り上げられた。よって、かかったコストは十分以上に回収できていると思われる。
2022年に、新しいメニュー形態「サブウェイ・シリーズ」のプロモーション企画
として行われた。
イベント会場内でこの「サブウェイ・シリーズ」のロゴのタトゥーを体に彫ったら、そのサイズによって一定期間無料になる、というもの。そして、最大の12インチ[3]×12インチのサイズだとその期間は「for Life」つまり「一生の間」と謳われていた。
ただし、条件を満たした一人の男性に実際に提供されたのは正確には「5万ドル分のギフトカード」だった
そう。これが「一生分」と言えるかどうかは、その後の寿命や食べる量・頻度にもよるだろうが、「少し誇大広告じゃね?」と感じてしまう人もいるのではなかろうか。
その翌年の2023年にも、新メニューカテゴリ「デリ・ヒーロー」のプロモーション企画として「ファーストネームを正式に「サブウェイ」に改名すれば、生涯無料で提供する
」というキャンペーンを行った。
これは「抽選で1名様に」というものだったが、4日間の募集期間で1万名近くからの応募があったという。なおこちらも、実際に提供されるのは「5万ドル分のギフトカード」と「改名手続きのための弁護士費用750ドル」だった
そうで、しっかり「生涯」と言えるかどうかは微妙なところである。
幕張にある「本家絶品! 煮込みカツカレーの店 幕張店」というカレー店で実施している複数の大食いチャレンジメニューのうち、最も量が多い「鬼ヶ島」というメニューを制限時間30分以内に完食したら、達成報酬として同店で使える「永久無料券」がもらえる[4]。
これは10人前以上のカレーに揚げ物がこれでもかと載っていて、重量4キロ以上のメニューであり成人男性の消費カロリー4日分あるそう。かなり厳しそうだが達成者はいるらしく、2017年放映のテレビ番組の企画内で大食いタレント「ギャル曽根」が達成した
記録があるほか、インターネット上で達成報告を投稿している人が数名確認できる[5]。
もし達成者が多くなって頻繁に来店したならば、いずれも大食いの人達であるわけで店の経営を圧迫しそうだが……。「このチャレンジに成功するほど食に執着がある人は、毎日毎日カレーでは飽きてしまって満足できない」「広告効果の方がコストより勝る」などの事情で継続可能となっているのだろうか。
こういった「大食いチャレンジを達成したら永久無料」という試みは他の店舗でも例があるようだ。
オンライン英会話スクール「hanaso」は、2014年に「レッスン数通算100万回突破」を記念して、抽選で1名に「レッスンが生涯無料」となる権利を提供した
。具体的には、当選者には50分の無料レッスンチケット[6]が毎日無料配布されたという。
この権利は「当選するのは1名に限定」され、しっかり「権利の譲渡は不可」となっていた。かつ、英会話のレッスンという事は「レッスンを受ける側も50分間集中しなくては意味が無いので、利用者側にも負担がゼロではない」「レッスンを受ける側が上達しきったらレッスンが不要になる」ので、本当に無制限に利用し続けることは考えにくい。こういった事情から、「生涯無料」にしても運営側の負担が少なかったものと思われる。
神戸市に本社のある紳士靴・婦人靴店の「クインクラシコ」(Queen Classico)は「生涯無料の靴磨きサービス
」を提供している。「同店で購入した靴については、何度でも靴磨きを無料で行う」というもの。
顧客に再来店してもらうきっかけになることを狙っているものか。また、「修理やソール交換の提案もする」そうで、有償での修理やソール交換の顧客の発掘にもなる。
「靴磨き」にかかるコストは「店員の対応時間の人件費と、磨くことに使う器具の消耗」だろうが、「混雑時には待っていただく」こともあると明言している。そのため「店員が他の対応をしていないときにだけ靴磨きをするので、余分な人件費がかかりすぎることはない」のだろう。こういった理由から、コストがメリットを上回っているものと思われる。
類似のサービスを行っている店舗は他にもあるだろうが、「生涯無料」という言葉を明言して謳い、その告知専用のウェブページも作っているという点はやや珍しい。
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最終更新:2025/12/05(金) 15:00
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