闇サイト殺人事件とは、2007年8月24〜25日にかけて愛知県名古屋市で発生した強盗殺人・死体遺棄事件である。
事件発生前
ネット上の「闇の職業安定所」(本事件発生後閉鎖)において、消費者金融などから数千万の借金があった犯人Cが「ムショから出て派遣社員をやっていますが、実にバカバカしいという書き込みを行う。その書き込みに反応したAとB、途中で離脱するもののDも加えて集まり、ヤクザと繋がりがあると吹聴する、過去の嘘も混ざった犯罪歴を自慢しあったりなどの虚勢の張り合いをして犯罪計画をデニーズで練る。
犯人が以前勤務していた会社に侵入し金庫を盗もうとしたり、ダーツバーやパチンコ店を襲撃しようとしたがうまくいかず、犯行が成功しない焦りからA〜CはDを残して車で去っていってしまう。途方に暮れたDは自ら自首し、懲役2年・執行猶予3年の判決を受けた。
そして犯人A〜Cは黒髪で地味そうなOLが貯金をしていそうという偏見の元、8月24日夜に午後からの勤務を終え派遣先が変わる送別会から帰宅途中だった派遣社員のOLに道を尋ねるふりをして近づいて車に拉致し、暗証番号を聞き出そうと包丁で脅し、Cによる暴行未遂も起きているがAが仲裁した。すると被害者が「2960」と暗証番号を話す。暗証番号を得た犯人らはテープとコンクリを砕く用のハンマー使い被害者を人間とは思えない所業で惨殺し(死因は窒息死であったため、生きたまま殴られたことになる)、岐阜県内の山中に遺棄する。銀行に行ってお金を引き出そうとするが、2960と入力しても違いますと出て金を引き出すことはできず、財布に入っていた6万円と、バッグ類を売って得た計約20万円しか手に入らなかった。事件後Cの自首で事件が発覚し、AとBも後日逮捕された。
犯人A〜Cは営利略取、逮捕監禁、強盗殺人、死体遺棄、窃盗未遂で起訴される。
本事件はインターネットの匿名性が犯罪に悪用された凶悪事件として日本を震撼させた。
事件が起きた名古屋市千種区自由が丘学区は千種区で犯罪率が最も低い地区でったため、地元住民にも衝撃を与えた。
被害者(1976年7月20日 - 2007年8月25日)は幼い頃に父親を白血病で亡くし、母親と2人で暮らしていた。大学卒業後派遣社員として働き、母親に家を買ってあげるために生活を切り詰めて800万円ほどの貯蓄をしており、さらに趣味の囲碁クラブで出会った恋人との関係も順調で事件当日はデートの予定があり、結婚間近だった。その矢先にこの悲劇は起きてしまったのである。被害者は生前に数字での語呂合わせが好きだったことから、恋人の「憎むわ」という意味ではないかという推測により語り継がれている。
さて、犯人たちには死刑で当然、と思うことだろう。しかし母親に送られた一通の手紙で、「現在の日本の法律では1人殺害しても死刑にはなりません」という事実が明らかになる。これが、悪しき「永山基準」というモンスターである。裁判所にとっては既得権益であり、これが施行された1983年以降、1人殺害で死刑になった例は無期懲役受刑者の再犯例を除くと14人しかなく、ましてや複数犯全員が死刑になった例は1979年発生の福岡病院長殺人事件の1988年4月15日の死刑確定を最後になかったのである。
当然こんな理不尽な司法に対して世論も母親も憤りを覚え、犯人3人全員への死刑適用を求めて33万ほどの署名が集まった。
結果は第一審ではAとBに死刑、Cに無期懲役が言い渡される。Cは罪を悔いてではなく、死刑になりたくないからと言う身勝手な理由で自首しており、遺族に送った手紙にも謝罪の言葉は見当たらなかった。これに対し母親は「自首したCは生きながらえるのか」と不満を漏らした。Aについては控訴を取り下げて死刑が確定し、2015年6月25日に名古屋拘置所で処刑された。
さらに第二審では被害者に何回もハンマーを振り下ろしたはずのBも矯正の可能性があると言う裁判官の意味不明な判断により無期懲役に減刑され、3人の刑が確定してしまう。
しかし、事件から1ヶ月後にBの強盗殺人の余罪が発覚。改めてBには死刑が言い渡され、2019年に確定した(未執行)。しかしそもそもの事件の引き金を引いたCだけが死刑を免れるという後味の悪い結果になってしまった。
被害者の母親はその後、日本各地で不条理な司法に対する不服、遺族の気持ちを訴えかけ、瀬戸内寂聴の「殺したがるばかども」発言に対してそれは加害者に向ける言葉ではないかと反論している。
ザ!世界仰天ニュースや爆報フライデーでも本事件は取り上げられた。
犯人A、K・T(1971年3月9日 - 2015年6月25日)
幼少期に両親が離婚し、父からは暴力を振るわれ、群発頭痛の持病を持ちどの仕事も長続きしなかった。暴走族に所属していたこともある。1989年に工業高校を卒業し、派遣会社に登録したが仕事に付いた経歴はなく、暴力団関係の仕事をするようになった。事件前は朝日新聞の配達員をしており、また事件を起こす10年ほど前から闇サイトを利用し、不正に利益を上げたため執行猶予つき有罪判決を受けていた。
裁判では主犯とされ、死刑判決を控訴せず取り下げて確定するが、再審請求を行っていた。
そして2015年6月25日午前8時25分に上川陽子の死刑執行命令により死刑が執行された。44歳没
2020年9月19日、本事件を題材にした「おかえり ただいま」が順次公開された。
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最終更新:2025/02/18(火) 22:00
最終更新:2025/02/18(火) 21:00
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