「Pico★Pico」(ピコピコ)とは、衛藤ヒロユキによる短編ギャグ漫画作品である。
みのり書房発行のゲームプレイヤー・コミックス(休刊)と、エニックス(現スクウェア・エニックス)の発行していた月刊少年ギャグ王(休刊)の2種類があり、舞台や世界設定はほぼ同一だが、タイトルが微妙に異なるほか、登場人物や作品内時代も異なる。
正式タイトルは「FANTASY CPU Pico★Pico」。「魔法陣グルグル」がドラゴンクエストの世界観を世襲したギャグ漫画だったのに対比させて、こちらはタイトルをどことなくFFっぽくした・・・のかどうかは定かでない。
世界設定は2008年、テイジー星グルグル区 RPG小学校でのお話。1000年に一度「光」が生まれ、その影として「闇」が生まれる。闇は唯一無二の存在「魔王」となって世界平和を脅かす存在となるのに対し、光は「光の子たち」として、千年ごとの元年生まれの全ての人間のうち誰なのか分からず、しかも4人集まってはじめて一つの力を発揮するという。1000年前の戦いでは光が勝利したとのことだが、その1000年後、やはり魔物が世界中に広がりつつあった・・・
そこでRPG小学校では、校長が光の年元年生まれの小学生2年全員を、こっそり霊波スキャナなどで観察していた。その結果、どうやら力の繋がりがあるとされたのが、弐年参組の生徒「メガ」「ピコ」「ナノ」「ミリ」の4人。担任の先生は校長の依頼により、魔王退治のパーティとして、クラス全員に「好きな子同士で4人までのパーティを作ってくださ~い」と、まるで遠足のノリでメンバー編成。しかし裏では「メガ」に残り3人の面倒を見るようこっそり根回しするのであった。
クラスの中では一番魔法が上手い少年「メガ」は、魔王退治の冒険に勇者として選ばれ内心ワクワクしていたのが、クラスで未だに魔法がちゃんと使えない女の子3人「ピコ」「ナノ」「ミリ」のお守り役に任命されてしまい、げんなり。かくして、遠足とイマイチ区別も付いていない状態での壮大な旅が幕を開けた―――
―のだが、ゲームプレイヤー・コミックスの休刊により全4話で終了。一応はファンブック「魔法陣グルグルランド」(絶版)の方に3話までは収録されたのだが、第4話は実質上、幻の最終話と化している。
剣や魔法を学校で習う設定、「4人パーティで1人の魔王を退治」など、RPG的世界観を下敷きにした魔法陣グルグルと非常に近しいファンタジー設定で、連載時期も被っているだけに絵柄は魔法陣グルグル第1巻の頃とほぼ同じである。最大の違いは作者衛藤ヒロユキが趣味の1つ「電子の世界」を押し出している点。そのためパーティ全員の名前が単位だったり、メガの武器が「デジタルソード」だったり、予言の書が黄金のフロッピーだったりと、今となっては時代を感じさせられるデジタル観が特徴。作者曰く「SF版グルグル」だそうである。
本人談でもPico★Pico読者からの感想でも、見ているとそこはかとなく「ウゴウゴルーガ」を思い出させる、という。
こちらのタイトルは「Pico★Pico」のみ。3006年のテイジー星 RPG小学校でのお話。前作の約1000年後の時代であり、前作の登場人物「ピコ」が遠いご先祖様として奉られているシーンが作中にある。やはり1000年に一度の「光と闇の生まれし年」なのだが、端数が8と6で微妙に違うとおり、今作では入学したて・小学1年生のクラスが「光の子」候補である。
「光の子」候補は、「電導寺(でんどうじ)メガ」「セクタノヒメ桃儀(ももぎ)」「利直原(りすくばら)ナノ」「愛椎(あいしい)ミリ」「男一代(おとこ いちだい)」の全部で5人。
・・・・・・って、あれ、1人多くね? 光の子は全部で4人のはず。 というか明らかに約一名浮いてね!?
クラス別では「メガ、ももぎ、ナノ、男一代」の4人が1年バナナ組、「ミリ」のみが1年アップル組。なぜ今回は5人が候補として選ばれてしまったのか? 本当は選ばれてないのは誰なのか? そして5人目の選ばれた意味はあるのか?――
こっちの作品は幸い(終盤駆け足だが)、完結して無事単行本も出ている。悪の魔王もちゃんと最後に登場、名を「デル」といい、ウィルスプログラムとバグを操って世界というプログラムそのものを壊そうと企む。連載が途中で1度中断したことがあり、10話の後の11話がダイジェスト的なまとめ話になっていることからも、2話の間の当時の時間差が伺える。
中断が入ったその間にまた衛藤自身のテクノ熱に火が付いたのか、11話以降は古代呪文が刻まれているのがレコードだわ、そのレコード呪文を再生するため主人公メガが魔法使いという名のDJに転職するわ、それを授けた光の教団の名前が"テクノ教"で地下結社はどう見ても怪しいクラブハウスだわで、個人的趣味全開・やりたい放題である。
絵柄は魔法陣グルグルの3~4巻の頃のそれと一致する。
また、巻末に読みきり作品「てくのこ★きゅんきゅん」も収録。
電子界の天使、略して「電子」の見習い身分である「てくのこ」で、人間界でのイタズラ大好きな電気の子・きゅんきゅんが、新作ゲームの開発データを戯れに消滅させた罰として人間界で人助けをしてくるよう命じられる―というお話。
いずれの作品も休刊した雑誌の絶版作品につき、入手はそれなりに面倒・・・かもしれない。
旧エニックスの「魔法陣グルグルランド」、月刊少年ギャグ王の「Pico★Pico」を手に入れれば両方とも読めるのだが、 とりあえずいずれもチェーンの大型古書買取販売店を10件くらい回れば見つかるか見つからないか、位の頻度である(筆者の体感)。判の大きさは特徴的で、グルグルランドは見た目にもデカいB4判、ギャグ王コミックスのPico★Picoも現在の主流よりは随分大判なA5判と見間違うことは無さそうなのだが、なにぶん古めの本につき置かれているコーナーが結構バラバラで厄介である。「見つかって買う前に試し読みできればラッキー♪」程度に考えておくべきだろう。
あとはAmazonやオークションサイトに頼るのみ。無論全て中古の店舗取り寄せ限定につき、送料も保存状態も言い値もバラバラで、購入手続きも面倒になるかもしれないが、どうしても欲しい人は注文しよう。最後の手段である。
左がゲームプレイヤー・コミックス版、右が月刊少年ギャグ王版である。イメージ画像が用意されていないあたり、ブツの古さおよびこれらが絶版であることをそこはかとなく感じさせる。
ギャグ王版は電子書籍化されているため、定価で確実に読むことができる。
2017年版アニメ魔法陣グルグルの第2章「踊れ!キタの町!」のワンシーンにさりげなく登場。
ノコギリ山のボスであるカセギゴールドが山の上で叫んでいる場面で、Pico★Picoを読む妖精グリエルの姿が確認できる。ちなみにグルグル原作のコマでは彼女の本に絵やタイトルなどは入っていない。
掲示板
5 ななしのよっしん
2017/07/30(日) 14:34:28 ID: 2BYTf/DDRE
アニメにちらっと出たので
ってかこんなマイナー漫画の記事があるのか…
個人的にはFANTASY CPU Pico☆Picoの方のラストが休刊してなかったらどうなったのか気になったなあ
6 ななしのよっしん
2017/09/16(土) 08:52:57 ID: RIoUe99MDR
作者の兄だか弟だかがテクノやってるんだっけ?ACにも楽曲提供してるっぽいし
7 ななしのよっしん
2025/01/21(火) 00:40:20 ID: gTZSfEWHGf
記事あるの初知り
グルグル全盛期のノリを味わえる良作だよね。
記事に書かれてる程入手めんどくさくないと思う。流通量少なそうだから古本屋は大変かもだけどネットなら今でも安価で割と売ってるし
後、グルグル1作目のポトマ学園回にピコ、ももぎと見た目が似ているキャラが出てたような…
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最終更新:2025/12/08(月) 15:00
最終更新:2025/12/08(月) 15:00
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