アルファ級原子力潜水艦とは、旧ソ連で開発されたスーパー潜水艦である。1977年より出現し計7隻が建造された。ちなみにアルファ級とはNATOがつけたコードネームであり、ソ連側呼称を日本語訳すると「第七百四号『竪琴』型潜水艦」になる。何かカッコいい。
米帝のミサイル潜水艦や空母を迎撃するために作られた潜水艦版インターセプター(迎撃機)。
放射性物質というのは原子が壊れて放射線を出す物質のことで、この原子が壊れたときに熱を発生する。ウランやプルトニウムは原子が急速に壊れて大量に熱を発生する性質を持っており、この熱でお湯を沸かして蒸気を作るのが原子炉である。
発電所などでは、原子炉で直接水を沸かしてタービンを回すタイプ(沸騰水型)も使われるが、船舶では沸騰しないように圧力をかけた水を原子炉に循環させ、その湯で2次系統の水を沸騰させてタービンを回すタイプ(加圧水型)が使われる。タービン(羽根車)で得られた動力は、スクリューにつながっており、推進力を得ることができる。
ところいで、いわゆる水(H2O)はウランやプルトニウムから効率よく熱を取り出すには実はいささか不便な性質がある。中性子を吸収して核分裂(=原子が壊れること)を妨げるし、液体としての沸点はたったの100度。すぐに気体になるので原子炉を冷やすには大量の水がいる。
そこで原子炉の冷却に液体化させ融点の低い金属を循環させ、熱交換器で水を温めて蒸気作ればいいんじゃね?という発想が出た。これが溶融金属冷却炉で、使われる金属はもんじゅで悪名高いナトリウムやこのアルファ級で採用された鉛-ビスマス合金がメジャー。溶融金属冷却炉は原子炉を小さくできる(前述のとおり水で冷やさないので少量の核物質で大出力をひねり出せる)という利点があり、艦艇用として盛んに研究された[1]。アルファ級は実戦配備された初の量産型溶融金属冷却炉搭載艦艇であり……、唯一の艦艇であった。
不都合だらけの駄々っ子。
アルファ級の建造で得られた知見は後のソ連・ロシアの潜水艦建造に大きな影響を及ぼしたのであるが、アルファ級そのものは安全性の不安から活動は不活発であり、その活動期間は20年に満たない。1996年、最後のアルファ級が退役し現在ロシア海軍は所有していない。なお、アメリカがアルファ級のライバルとして威信をかけて建造した4代目シーウルフ級が就役したのは翌1997年。ライバルは既にこの地球には存在しなかった。
トム・クランシーの小説『レッドオクトーバーを追え』に登場する。フィクションでは他に『沈黙の艦隊』でも原潜やまとのライバルとして死闘を繰り広げている。
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最終更新:2025/12/14(日) 23:00
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