装備や組織の大部分(勿論、核兵器も含む)はソ連崩壊後に旧ソビエト連邦軍から継承しており、規模だけなら世界有数の軍隊で、総兵力は2009年当時で約102万人(この他に準軍事組織として約44万人の兵力が存在する)。
最高指揮官は各国の軍隊同様、大統領であるが軍を統括しているのはロシア国防省である。
ロシア連邦軍は3軍種2独立兵科制をとり、地上軍、海軍、航空宇宙軍と戦略ロケット部隊、空挺部隊で構成されている。[1]
2022年2月よりロシアは隣国のウクライナに侵攻しており、ロシア連邦軍はチェチェンやジョージアといった「紛争」とは異なる「本格的な戦争」に直面している。
ロシア連邦軍の兵器は、専らソ連時代の兵器をそのまま使用している。
ソ連時代の兵器は、第二次大戦の教訓から劣悪な環境の戦場でも確実に運用出来る兵器を是とされてきた。
更に、共産圏の東側の盟主としてワルシャワ条約加盟国や技術力に劣る発展途上国への譲渡、輸出も前提とされ、運用に高度な技術が必要とされない兵器が必要とされた。
故に、ハイテク技術満載のスーパーウェポンではなく、十分な使用実績があり堅実で信頼性の高い技術を用いた兵器が多く開発された。
代表例
万全な状態での性能ばかりに目が行きがちであるが、兵器というものはいつも万全で使えるものではなく、またその性質用使用すればどうしても破損するものである。
そのため、安価で大量に配備が可能なこと、壊れても修理してすぐ動かせること、信頼性があって故障しにくいということは兵器として優れているということである。
その一方で地対空ミサイルに関してはソ連時代から世界トップクラスの性能を誇り、特にS-300やS-400は世界中によく売れている。
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻した際、ソ連時代に開発されたウクライナ軍のS-300地対空ミサイルがロシア空軍のSu-30SMやSu-25など多くの現役戦闘機やヘリを撃墜するという成果を上げ、その性能を世界に知らしめた。
旧ソビエト連邦軍は冷戦時代には約530万人の大兵力を誇り、米軍に唯一対抗できる軍隊として名を馳せていた。だが、ソ連崩壊後は経済不況や政治的混乱による予算不足、軍規の著しい乱れにより弱体化の一途をたどり、第一次チェチェン紛争では軍の弱体化の様を世界に露呈(上層部の判断ミスにより特殊部隊であるスペツナズが敵に降伏したり、陸空軍のお粗末過ぎる連携不足等)する結果となった。
その後の悲惨すぎるロシア連邦軍の現状は語るのが辛くなるほどのもので最早、崩壊寸前にまで追い込まれていた。
2007年になって、プーチン大統領によって任命されたセルジュコフ国防相の下で大規模な改革が行われた。6個あった軍管区は4個に統合、予備役の動員を前提とした体制は見直され、全軍が常時即応化された。人員については、徴兵(1年間)は維持されるものの、より長期間勤務する契約兵を増加させて練度向上を目指すこととした。[2]
また、紛争地域に戦力を素早く展開する即応戦術集団として大隊戦術群(battalion tactical group: BTG)も大量に整備された。
これは大隊規模の諸兵科連合部隊で、戦車、防空、砲兵、通信、工兵、後方支援の各部隊で構成されており、歩兵は200名、戦車は10両、IFVは40両が配備されている。このBTGは170個作られている。[3]
90年代はソ連崩壊の影響で瀕死の状態まで追い込まれていたが、その後の原油高騰による好景気で幾分かは持ち直してきている。国防予算は年々増加しており、1999年当時で950億ルーブル(約40億ドル)だった予算は10年後の2008年には約9600億ルーブル(約400億ドル)と約10倍に達しているが、これでも軍の規模からすれば全く足りていない。
参考までに以下に国連常任理事国+日本の総兵力・国防予算を記載する。
国家名 | 総兵力(万人) | 国防予算(ドル換算) |
アメリカ | 約142万人 | 約6610億ドル |
イギリス | 約18万人 | 約672億ドル |
中国 | 約228万人 | 約779億ドル |
フランス | 約23万人 | 約496億ドル |
ロシア | 約102万人 | 約400億ドル |
日本 | 約24万人 | 約463億ドル |
※日本以外のデータは外務省ホームページの「各国・地域情勢」を参照
見れば一目瞭然であるが、自衛隊やフランスとほぼ同額の予算で両国の4倍の兵力を維持している事になっており同じように予算不足に悩んでいる自衛隊よりその内情が厳しい事が伺える。
実際に今でも予算の7割を占める人件費をろくに払えておらず、新規の装備取得(以前に比べば幾分かはまともになったが)も自衛隊以上に苦労しているらしい。
給料が滞って生活に困れば汚職が広まり定着してしまうのは世の常で、やっと増やすことができるようになった予算もどこかに消えてしまい、装備更新などが投じた金額のわりに進まない事から、それらの対策も同時に進められている。
また、この予算不足が徴兵制から契約制への移行の足かせ(契約制に移行すれば給与・待遇改善に現在の2倍の予算が必要)になっている。
最も徴兵制を維持しようにもロシアはソ連崩壊以降出生率が低下していて、将来的には徴兵適齢の人口が減少すると言われておりある種のジレンマになっている。
ロシア連邦軍 | 自衛隊 | アメリカ軍 | |
---|---|---|---|
総兵力 | 約90万人 | 約24万人 | |
予備役 | 約200万人 | 約5万人 | |
地上 | 約22.5万人 | 約15万人 | 約54万人 |
海軍 | 約15万人 | 約4.5万人 | 約32万人 |
空軍 | 約16.5万人 | 約4.7万人 | 約33万人 |
海兵隊 | 約3.5万人 | 約2000人 | 約20万人 |
戦車 | 約2800両 | 約700両 | 約2800両 |
主要艦艇 | 34隻 | 約50隻 | |
空母 (ヘリ空母除外) |
1隻 | 0隻 | 10隻 |
潜水艦 | 62隻 | 22隻 | |
ミサイル原潜 戦略原潜 |
13隻 | 0隻 | 14隻 |
作戦機 | 1470機 | 420機 | 3500機 |
第4世代戦闘機 | 934機 | 300機 | |
大陸間弾道ミサイル (ICBM) |
313基 | 0基 | 450基 |
※イギリス国防省の推定では、2022年に勃発したロシア・ウクライナ戦争において、ロシア軍の死傷者は70万人、主力戦車は3500両、装甲車は7500両を喪失している(車両についてはソ連時代の備蓄で補っている)。[4]
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/01/03(金) 13:00
最終更新:2025/01/03(金) 13:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。