1975年クラシック世代

1975年クラシック世代とは、競馬において1972年に生まれ1975年にクラシック競走を走った（旧4歳、現3歳を迎えた）競走馬の世代である。

概要

殺人的なハイラップで皐月賞、ダービーを制した「狂気の逃げ馬」カブラヤオー、今も日本競馬史に燦然と輝く「桜花賞大差勝ち」の記録を持つテスコガビーの2頭の逃げ馬を代表とする世代。

他には人気を背負えば惨敗し人気薄で激走した「気まぐれジョージ」ことエリモジョージ、クラシックで好走し古馬戦線で活躍したロング冠名のコンビロングホークとロングファスト、札幌記念でトウショウボーイに勝ったことで有名な^[1]グレートセイカン、同じ馬主のイシノヒカルに続いて3歳牡馬の有馬記念優勝を果たしたイシノアラシ、自身は大レースは勝利できなかったものの繁殖牝馬としてサクラトウコウ、サクラチヨノオー、サクラホクトオーを送り出したサクラセダンなどがいる。

障害では史上初の中山大障害5勝を挙げ3年連続で最優秀障害馬に選ばれた伝説的障害馬バローネターフ、そしてそのバローネターフを破って大障害を制覇したファンドリナイロ、また重賞は勝てなかったものの有珠山噴火により存亡の危機にあったメジロ牧場をオープン戦の賞金で救った「メジロ牧場の救世主」メジロアシガラがいる。

地方ではヒカルタカイに続く史上2頭目の南関東三冠馬ゴールデンリボー、これまた史上2頭目の南関東アラブ三冠馬に加え全日本アラブ優駿、全日本アラブ大賞典を勝ったアングロアラブの強豪ホクトライデンがいる。

海外には桁外れのスピードでニューヨーク牝馬三冠を制し、「マイネル軍団」サラブレッドクラブ・ラフィアンの由来ともなっている快速牝馬ラフィアン、アメリカからやってきてトウカイローマン、マックスビューティ、オグリローマンなど多くの活躍馬を送り出し、キョウエイマーチの母父としても知られる大種牡馬ブレイヴェストローマンがいる。

この世代のクラシックはカブラヤオーとテスコガビーという逃げ馬2頭に席巻され、牡馬はカブラヤオーの繰り出す「殺人ラップ」により競り掛けた馬が故障に追い込まれる、牝馬はテスコガビーの圧倒的なスピードに置いて行かれるなど、カブラヤオーが故障により参戦できなかった菊花賞を除いてはっきり言って良いとこ無しであった。しかもカブラヤオーとテスコガビーは主戦騎手が同じ菅原泰夫ジョッキーであり、クラシック5大競走の内4競争を1人で勝利することになった^[2]。しかしこの2頭は共に故障で古馬戦線には進めず、5歳以降は気まぐれと言われながら多くの大レースに勝ったエリモジョージや共にクラシックを戦ったロングエース、ロングファスト。多くの重賞で好走したハーバーヤングが世代を代表して戦った。しかし1つ年下の76世代は日本有数の強者が揃うTTG世代であり、グレートセイカンやエリモジョージが直接対決に勝利することもあったものの、77年以降八大競走を勝利することはできなかった。しかし成績が伸び悩んだ中央平地に比べて地方では南関東にサラブレッド、アラブ両方の三冠馬が出現したり、何より障害では日本有数の障害馬バローネターフとファンドリナイロが障害重賞を席巻した。75世代で獲得賞金が3億円を超えているのはこの障害馬2頭のみであり、逆にこの世代が76世代を含めた他の世代を圧倒することになった。

勝利馬

中央八大競走

競走名	1975年(現3歳/旧4歳)	1976年(現4歳/旧5歳)	1977年(現5歳/旧6歳)
皐月賞	カブラヤオー	4歳馬限定戦
東京優駿 （日本ダービー）	カブラヤオー	4歳馬限定戦
菊花賞	コクサイプリンス	4歳馬限定戦
桜花賞	テスコガビー	4歳牝馬限定戦
優駿牝馬（オークス）	テスコガビー	4歳牝馬限定戦
天皇賞（春）		エリモジョージ
天皇賞（秋）
有馬記念	イシノアラシ

中央障害重賞

競走名	1975年 (現3歳/旧4歳)	1976年 (現4歳/旧5歳)	1977年 (現5歳/旧6歳)	1978年 (現6歳/旧7歳)	1978年 (現6歳/旧7歳)
東京障害特別（春)		リバースポート	バローネターフ	タイフウオー
阪神障害ステークス（春)				ファンドリナイロ
中山大障害（春)			バローネターフ	ファンドリナイロ	バローネターフ
京都大障害（春)			ファンドリナイロ	ファンドリナイロ
阪神障害ステークス（秋)			ファンドリナイロ
東京障害特別（秋)		トキワロツキー	バローネターフ
京都大障害（秋)			ファンドリナイロ
中山大障害（秋)			バローネターフ	バローネターフ	バローネターフ

代表馬

• カブラヤオー
  
  • '75:皐月賞(八大競走)、東京優駿(八大競走)、東京4歳ステークス、弥生賞、NHK杯　'76:短距離ステークス
  • '75優駿賞最優秀4歳牡馬、年度代表馬

• テスコガビー
  
  • '74:京成杯３歳ステークス　'75:桜花賞(八大競走)、優駿牝馬(八大競走)、京成杯、阪神4歳牝馬特別、他東京4歳ステークス2着、サンスポ4歳牝馬特別3着
  • '74最優秀3歳牝馬
  • '75最優秀4歳牝馬

• エリモジョージ
  
  • '74:阪神３歳ステークス3着　'75:シンザン記念、他皐月賞(八大競走)3着　'76:天皇賞(春)(八大競走)、函館記念、京都記念(秋)、他サンケイ大阪杯3着、鳴尾記念3着　'78:京都記念(春)、鳴尾記念、宝塚記念

• バローネターフ
  
  • '77:中山大障害(春)、中山大障害(秋)、東京障害特別(春)、東京障害特別(秋)　'78:中山大障害(春)、他中山大障害(秋)2着　'79:中山大障害(春)、中山大障害(秋)
  • '77最優秀障害馬
  • '78最優秀障害馬
  • '79最優秀障害馬
  • 史上初の中山大障害5勝
  • 史上初の最優秀障害馬3回選出
  • 獲得賞金世代最多

• ロングホーク
  
  • '74:デイリー杯３歳ステークス3着　'75:スプリングステークス、朝日チャレンジカップ、阪神大賞典、他皐月賞(八大競走)2着、弥生賞2着、京都新聞杯2着　'76:日本経済新春杯、サンケイ大阪杯、他天皇賞(春)(八大競走)2着、宝塚記念2着、阪神大賞典2着、天皇賞(秋)(八大競走)3着

• ハーバーヤング
  
  • '75:クモハタ記念、他スプリングステークス2着、セントライト記念2着、皐月賞(八大競走)3着、菊花賞(八大競走)3着　'76:毎日王冠、他天皇賞(秋)(八大競走)2着、日本経済賞2着、金杯(東)3着、京王杯オータムハンデキャップ3着、目黒記念(秋)3着　'77:金杯(東)

• ロングファスト
  
  • '75:東京優駿(八大競走)2着、菊花賞(八大競走)2着、きさらぎ賞2着、NHK杯2着　'76:スワンステークス、他マイラーズカップ3着、京都記念(秋)3着　'79:小倉日経賞

• ファンドリナイロ
  
  • '77:京都大障害(春)、阪神障害ステークス(秋)、京都大障害(秋)　'78:中山大障害(春)、阪神障害ステークス(春)、京都大障害(春)

• ゴールデンリボー
  
  • '75:南関東競馬三冠[羽田盃、東京ダービー、東京王冠賞]、他黒潮盃3着、東京盃3着
  • 史上2頭目の南関東三冠馬

• ホクトライデン
  
  • '75:南関東アラブ三冠[千鳥賞、アラブダービー、アラブ王冠賞]、ブルーバードカップ、楠賞全日本アラブ優駿、全日本アラブ大賞典　'76:新春盃
  • 史上2頭目の南関東アラブ三冠馬

• そのほかの活躍馬
  • タイホウヒーロー　札幌記念など
  • ライジン　阪神３歳ステークス
  • イシノアラシ　有馬記念(八大競走)
  • ウラカワチェリー　サンスポ阪神牝馬特別
  • コクサイプリンス　菊花賞(八大競走)など
  • グレートセイカン　サンケイ賞オールカマーなど
  • マツフジエース　朝日杯3歳ステークス
  • ヒダロマン　ビクトリアカップ

 ※当時の格付けは全てオープン重賞。太字は現在のG1級競走。

関連項目

• 競馬
• 競走馬
• 競走馬の一覧

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脚注

1. *トウショウボーイが同世代以外に先着された例は2回しかなく、しかも勝って達成したのはグレートセイカンのみであったため
2. *菅原ジョッキーはその後取り損ねた菊花賞をミナガワマンナで勝利してクラシック完全制覇を果たしている