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永い後日談のネクロニカとは、つぎはぎ本舗が2011年8月19日にJGCにて先行発売したTRPGである。既に正式版がリリースされ、Amazonなどで入手可能。
舞台
全面戦争によってあらゆる環境が激変、荒廃し、文明は尽く破壊され、人類や既存の生物がほぼ死に絶えた世界。
数百年前の戦時中に生み出された異形の生物や器械、死者を蘇らせ使役する狂気の技術「ネクロマンシー」により生み出された動く死者、アンデッド達…、未だ死なず彷徨う人の形をしたもの、既に人ですら無い形のものが、壊れ朽ちた舞台で観客も居ないまま、狂気と悪意に満ちた悲劇と喜劇を道化のごとく永いエピローグを続けている。
ドールはネクロマンサーによって生み出され、思考とココロを与えられた生ける屍。ネクロマンサーの手の上に居ながらも、ドールはそれぞれの想いのままに動き、戦い、そしていつか壊れる。
ドール達は、ネクロマンサーの狂気と悪意に晒されながらも、同じドール達と姉妹の絆を結び壊れそうになる心をお互いに癒しながら、心のかけらを求め、終わりの無い狂気が満ちる…いや、既に終わってしまった世界を歩んでいく。
ご用意頂くは10面体のサイコロ1つ。
そんなわけで鉛色の空の下、お茶でもしながらひとつ、長い――永い後日談を語ってみようじゃありませんか。
概要
資源枯渇に端を発する全地球規模の大戦の末、大地や自然、人類の築きあげた文明が既に終焉を迎えた世界。
その荒廃した世界において、死者すら蘇らせる技術、ネクロマンシーを用いる者達「ネクロマンサー」によって創りだされた少女型のゾンビ『ドール』が織りなす、破滅に向かうまでの冒険譚…、もとい後日談を演じる作品である。
プレイヤーが生ける屍という特色上、腕や腹を吹き飛ばされても死ぬことは無いというのもこの作品の色濃い特色である。戦闘で部位が破壊されていくルールを思いつき、ロボット物はもうあるだろうと色々な相談の結果、ゾンビ少女がぼろぼろになりつつも戦う設定に決定、オンラインセッション用に短時間で終わるようシステムデザインされた。さらにさくっと終わるよう「文明いらないよね」と世界が滅びた設定にしたという。
シナリオ作りには世界観もあってかセンスが問われるが、最初は単に戦闘だけを行って寵愛を渡し、慣れてきたら難しい要素やギミックは使わずいくつかのポイントと心のカケラ(と少々の狂気)をいくつか散りばめ、適度に探索させた所で手駒をぶつけて区切る(そして寵愛を渡す)という所から始めるといいかもしれない。滅びた後の世界設定からして、おどろおどろしい雰囲気で行わなければならないという事では無く、「とりま蜂の巣ー、いえーい!」とか「お姉さま…(きゅん)」とか「腕とんだわー!w」「脳がいてぇよー!」「私のはらわたー」とか(これはこれである意味狂気だが)、そんな感じでプレイしても一向に構わない。
初期のネクロニカ卓動画などで利用されている物は、β版として先行販売されたものが使用されていたものが多かったが、ルールブックは2011年9月1日よりAmazonにて正式に発売された。
世界観やそれに根ざしたシナリオ作りについては、詳しくはルールブックやリプレイをご覧あれ。
ネクロマンシーとネクロマンサー
本作において、ネクロマンサー(NC)はGM兼ラスボス。元人間、元ドール、人工知能、生物兵器…様々な知性としての形式や外観を持っているが、共通しているのは何らかの狂気に囚われている事だろうか。…まあ、ある意味正気失わないとGMなんてやってられ(ry
ネクロマンシーはオカルティックな魔法や呪術の類ではなく、純然とした体系化された技術。それを可能にしたのは、知性発生の根源を解明した自我次元論の確立と、高度なナノマシン技術、そして動力を兼ねた粘菌コンピュータ技術であり、動く死体の類が流す血のような液体は全て粘菌である。
機械と生体(死体)部品との接合や制御も粘菌が介在する事によって実現している。自我次元論と人格や技能の移植技術、死体と粘菌、その周辺に関する調整、操作、接合、その他諸々を取り扱う技術を総括して「ネクロマンシー」と呼び、そのネクロマンシーを修めたのがネクロマンサー達である。
ネクロマンサー同士は習得したネクロマンシーにより自らの王国と軍団を築いてひきこもった。彼らには横のつながりなどはなく、周囲は自らの創りだしたアンデッドの集団で固められている。彼らはある時期から一斉に同じような遊びや行動を始めた。何かの目的により開始したり、はたまた偶然の産物である場合も無くも無いが…その遊びとは、記憶は封印されつつも生前と同じ自我を持ったドールを作り出し、荒廃した世界へ放り込みつつ、手駒を差し向けたりし、時には手助けをしながら、その姿を観察する事である。
何、折角のドールが全て壊れてしまった? 今度は匙加減を間違わなければいい。
ドール
PLの分身たるドール達は、殆どはネクロマンサーの被造物。自我次元論による人格移植技術により大戦以前の精神を宿しているが、破壊と文明の残滓と狂気に満ち溢れた世界にそのまま放り出してはすぐに心が壊れてしまう事から、丁寧に丁寧に記憶が封印されており、狂気への耐性を得ながら徐々に記憶を取り戻せるようデザインされている。
そして、一人では狂気を癒すこともできず遅かれ早かれ確実に発狂する事から、何体かを一緒に目覚めさせて姉妹(RPGにおけるパーティ)として同行するよう仕向ける。ドール達は心身を苛む狂気を姉妹との会話で癒し、時には「たからもの」や記憶のカケラを得ながら、旅を続ける事となる。
ドール達はただのゾンビとは比べ物にならない、工芸品・職人的技術の粋を集めて手間暇をかけて創り出されている。(遭遇自体が既に稀だが)標準的な人間より遥かに頑丈で強靭、自我次元論を応用した技能移植により並のゾンビ兵なぞただの雑魚。そのドール達を、ネクロマンサーは目的の為、愉悦の為、偶然あるいはたまたま、悪意を込めて手駒を差し向け弄び、壊れず残ったドール達を観察・寵愛するのである。
ポジションとクラス
ネクロニカのドール(PC)の能力は、6種類のポジション(ドールの性格。他作品での「種族」に該当)とクラス(戦闘の傾向。他作品での「職業orクラス」に該当)の組み合わせで表現される。
全てのドールはポジションから1つ、クラスから2つ(重複可能)選び、そこから決定される能力値に基づいて「パーツ」を選択していく。パーツは攻撃・支援等戦闘での行動手段とHPを兼ねるもので、「日本刀」「アンデットガン」などゾンビ物御馴染の武装から、「しんぞう」「おとこのこ(!?)」などの身体特徴、「よぶんなあたま」「血みどろ」などのグロ系までバラエティ豊か。こうして選んだパーツと各クラスごと習得する「スキル」によってドールの能力は決定される。
ポジション一覧
アリス:日常を忘れない「普通」の少女。対話判定に関するスキルを持つ。フレーバーに反し前衛向きのスキルが多い。
ホリック:心の赴くままに衝動を募らせる少女。狂気点を増やして行動するスキルが特徴的。
オートマトン:心を凍らせて機械のように動じないふりをする少女。狂気に強い性質を持つ。
ジャンク:現実を諦め受け入れた上で足掻く少女。スキルは敵地でこそ真価を発揮する。るるぶの笑顔が素敵。
コート:知識を武器に狂気に立ち向かう少女。優秀な支援スキルを持つ支援特化、舞台の名が入るスキルを持たない。
ソロリティ:責任感を持ち、姉妹を率いる少女。リーダーらしく姉妹に効果が及ぶスキルが多い。
クラス一覧
ステーシー:頑強な盾役。姉妹を庇い、損傷しても行動し続けるゾンビらしいゾンビ。
タナトス:武器を振りまわす前衛。攻撃の全体化や一度に武器を叩きこむ必殺技がある。その破壊力はNC泣かせ。
ゴシック:死者を威嚇する捕食者。妨害や修復スキルが多い。使いにくい特化型が何かと不遇扱い。
レクイエム:武装パーツ特化の後衛。射撃攻撃を前提としたスキルが多い。砲撃攻撃の事も忘れないでください。
バロック:変異パーツ特化の異形。肉弾戦に強く、防御にも優れている。PLとNCの悪意が光る。
ロマネスク:機械パーツ特化の人形。行動力の高いオールマイティ型。機械パーツも含め非常に優秀。
サイケデリック:現実を歪める異能者。『歪曲の舞踏』で追加。専用スキルは超強力だが、パーツが少なく脆い。
手駒
手駒とは、ネクロマンサーが用意する手下たちの事で、ドール達にとっての敵である。悪意というパラメータによって、大まかな強さが測れるようになっており、強すぎず弱すぎずと慎重に悪意を図りつつ、ドールたちの前に立ち塞がるよう配置する事となる。
手駒にはドール達に薙ぎ倒される集団としてのレギオン、強い悪意が込められた単体敵のホラー、ネクロマンサーの従者たるサヴァントに分類される。
姿形は多種多様。大戦中に徴兵されたものの成れの果て、昆虫型や動物型の生物兵器、植物兵器、大戦で使われた自動機械、大戦中の主力であったゾンビ兵士や兵器、はたまたネクロマンサーが捨てた失敗作など、人の形、獣の形、植物の形、機械の形、様々な姿を持つ。往々にして、強い悪意がこめられた手駒は、それだけでも複数の要素が混ざった異形と化す事が多い。
レギオンはゾンビに代表される通り場所や状況に反応する程度の知性しかない。ホラーは自動機械や獣程度の判断能力を有し、高い戦闘能力や特殊能力を持つ。サヴァントは人並みの知性を有し、歪められた精神はさておき、ドール並の手間をかけて造られた為に高い能力を有する。
その中の我らがアイドル、ゾンビクイーンちゃんはサヴァントの中でもより一層の手間をかけて造られたエリートであり、幾ばくかのネクロマンシーをも習得している。与えられた高度な技術、高品質なパーツを使った身体…それらに根ざした高いプライドとネクロマンサーへの忠誠心を持って、ドールたちの前に強敵として立ちふさがるだろう。所詮は手駒でしかないのだが。
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関連項目
外部リンク
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