このジョルノ・ジョバァーナには『夢』がある!とは、ジョルノ・ジョバァーナの夢を表明するセリフである。
ぼくの夢はギャング・スター
ジョジョの奇妙な冒険Parte5「黄金の風」に登場する、ジョルノ・ジョバァーナのセリフ。
序盤ではたびたびこのセリフが発せられ、ジョルノはこの「夢」を叶えるために行動を起こす。「このジョルノ・ジョバァーナには正しいと信じる夢がある」というセリフでも表しているように、ジョルノにとってこの「夢」とは揺るぎない正義となっている。
その夢とは『ギャング・スター(ギャング構成員)』。自ら犯罪的な組織に身を置こうとするその理由は、ジョルノの凄惨な過去に起因する。
彼の心にはさわやかな風が吹いた‥‥‥
ジョースター家の宿敵、ディオ・ブランドーが日本人女性に産ませた子供がジョルノであるが、ディオの首から下の肉体はジョースター家の青年であるジョナサン・ジョースターの肉体を奪ったもので、血統的には正義の心を受け継ぐジョースター家の子孫でもある。
しかし、その生い立ちはかつてディオが悪の道へ進ませたのと同じく不幸なものであった。母親は幼いジョルノに愛情を注がず夜遊びに出かける女性であり、1~2歳のジョルノは夜中目を醒ましても母親がそばにいないことにとても恐怖と絶望を受けた。
ジョルノが4歳の時、母親はイタリア人男性と結婚し共にイタリアへ移住したが、イタリア人の義父は母親の見ていないところでジョルノを虐待していた。これらの事が原因でジョルノは他人の顔色をうかがう性格になってしまい、こうした態度はますます義父の虐待や町の悪ガキどものイジメの対象になった。このままではジョルノが心のネジ曲がった人間に育っていく事は、誰が見ても時間の問題だった。
しかし、ある事件がきっかけでジョルノは救われる事になる。
ある日ジョルノが学校からの帰り道、石壁の陰に男が血だらけで倒れているのを発見する。ジョルノはまだ知らない事だが、その男は『ギャング』であり、他のギャングに銃で撃たれていたのだ。「自分と同じようにひとりぼっちでさびしそうだな」と倒れている男に共感したジョルノは、倒れてる男を探しているギャングの男たちに尋ねられた時、恐怖も感じずに別の方向に逃げたと匿った。(この時、ジョルノのスタンド能力「ゴールド・エクスペリエンス」が無自覚に発現してギャングの男を草が伸びて覆い隠し、ジョルノのウソは守られた。)
およそ2か月後、ジョルノの前に倒れていたギャングが現れ、ジョルノがかばってくれた事を覚えていて、そしてこう言った。「君がしてくれた事は決して忘れない」。そしてギャングの男は義父や悪ガキたちの暴力をやめさせ、遠くから静かに見守るだけだが、他人の顔色ばかりうかがっているジョルノに対して、ひとりの人間として敬意のある付き合いをしてくれた。
奇妙な事だが、両親から学ぶはずの「人を信じる」という当たり前の事を、悪事を働き法律を破る「ギャング」の「仁」を通じて知り、ジョルノの心をまっすぐにしてくれたのだ。もうイジけた目つきはしていない。彼の心にはさわやかな風が吹いた。
名も知らぬギャングの男は決してジョルノを『ギャングの世界に巻き込まない』という厳しい態度をとっていたが、政治家が汚職をやり警官が弱者を守らないネアポリスの町の環境では、ジョルノの見出した「希望」と「正義」を止めることはできなかった。
こうして「ジョルノ・ジョバァーナ」はセリエAのスター選手にあこがれるよりも‥‥‥
『ギャング・スター』にあこがれるようになったのだ!
余談だが、上記の引用部のセリフと共に出されたジョルノのポージングは、ジョルノを代表するジョジョ立ちであり、各種パロディにも使われやすい。
おまえの気高き『覚悟』と‥‥‥黄金のような『夢』に賭けよう
ジョルノは初登場時こそ、旅行者である広瀬康一をだまして荷物を盗むといった、ディオの息子の名に恥じぬ「悪」っぷりを見せつけた。
しかし、ギャング組織「パッショーネ」の男ブローノ・ブチャラティが、子供に麻薬を流す現状の組織の在り方に疑問を抱いていることに気づき、自らがギャングを乗っ取ることで街を平和にする夢を語り、ブチャラティを味方につけた。
また、広瀬康一は荷物をだまし取られたにもかかわらず、「さわやかなヤツ」と感じ取り、実際にギャングを乗っ取る夢を聞いたことで、今まで出会ったジョースターの血統の「正義の心」をジョルノの中にも受け継いでいることを感じて、ジョルノを信用した。
そしてその夢に向かう『覚悟』は、組織の幹部であっても道を阻み無関係の人間を巻き込んで殺害する人間であれば容赦なく立ち向かい、まだ信用を得ていないブチャラティの仲間に対して率先して行動し危険に乗り込んでいく事で信用を得て、『夢』への道を前進していく。
ディオのような悪の道を進みながらも、そこに希望を見出してジョースター家の黄金の精神を発揮させる、まさにジョルノ・ジョバァーナを表した名セリフといえよう。
ついでの知識
- ギャング・スターと表記されているが、本来のギャング構成員をあらわす単語はギャングスタ―(gangster)で、ギャング(gang)はその短縮形であり、正しくは中黒を表記するものではない。ここでのギャング・スターとは、セリエAのスター選手やジョースターのシンボルである星(star)をかけた造語であると思われる。
- ジョルノを救った名も知らぬギャングは、ジョルノのプロフィールにおいてヒーローであると紹介されている。幼い頃に出会ったことで希望や正義の心を与えた存在としては、東方仗助のヒーローであるリーゼントの少年と近しい存在である。
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